カルチャー系動画メディア・アーティストビジネスのlute(ルーテ)、シリーズBラウンドで8,000万円を調達——アイ・マーキュリー、TLMらから

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カルチャー系 Instagram Stories 動画メディア「lute(ルーテ)」の運営や、アーティスト向けにプロダクション機能を提供するスタートアップ lute は3日、シリーズ B ラウンドで8,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、アイ・マーキュリーキャピタル、CS 放送「ミュージック・エア」や音楽教則 DVD の制作で知られるアトス・インターナショナル、TLM。

これは同社にとって、2017年11月に実施したシードラウンド(gumi ventures などから8,000万円)その後、2018年に入って実施した資金調達(調達先、金額、ラウンドは非開示)に続くものだ。今回の調達を受けて、これまでの累積調達金額は2億円程度に上るものとみられる。同社では今回調達した資金を使って、国内外のアーティストとのマネジメント契約を行うほか、メディア領域の拡張やキャスティング事業を推進するとしている。

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Image credit: lute

lute は2016年、オンラインメディア「ライフハッカー」の編集・翻訳に携わった五十嵐弘彦氏(現 lute CEO)がエイベックスデジタルの社内ベンチャーのメディアレーベルとして立ち上げ。2017年8月にスピンオフし、独立したスタートアップとして lute が設立された。これまで動画メディア「lute」を最前面に押し出してきた同社だが、今後は、アーティストのキャスティングや事業開発を強化する方向へコアビジネスをピボットする。メディアとしての lute はそんなアーティストたちのブランド価値や広告価値を最大化するための手段という位置付けに移行するようだ。

動画メディアのローンチから約1年、五十嵐氏は lute が持つ強みとスイートスポットを確信したようだ。メディアにアーティストが集まってくることで、メディアが音楽で言うところのレーベルに近い位置付けや力を持ってくるのではないか、という。レーベルは所属するアーティストの集合によって価値を形成しているが、レーベルそのものをマネタイズすることは難しい。クライアントやお客の多くは、アーティストにお金を払うからだ。しかし、レーベルがアーティストを発掘し、アーティストはレーベルに所属することで箔がつく。この構図は動画メディアでも同じ構図になるのではないか、という仮説だ。

以前、アーティストは音源販売から収入を得ていたが、ストリーミングやサブスクリプションの普及に伴って、その多くをライブやマーチャンダイズなどに依存するようになった。アーティストビジネスのモデルが変革する中で、動画メディアによってアーティストの広告価値を向上させることができれば、業界にとってもアーティストにとっても新たな収入源を開拓することができる。

スーパスターの事例を挙げるなら、カニエ・ウェストとアディダスのコラボスニーカー「YEEZY BOOST」のようなものだ。あらゆるものの D2C 化が進み流通構造が変化する中で、多品種少量生産も可能になっているし、このようなコラボ事例は増えていくのだろう。これまでアーティストのマネジメントは、その活動領域に応じて広告代理店・レコード会社・芸能事務所などが担ってきたわけだが、あらたなビジネスモデルが出てきたことで、lute のようなスタートアップがその一翼を担うのかもしれない。

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