先週の大型調達のまとめ——Origami、FiNC、ユーグレナ、AlpacaJapan、ABEJAなど

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Image credit: 123RF / Dmitriy Shironosov

先週は大型資金調達のラッシュとなった。簡単におさらいをしておきたい。

Origami(シリーズ C ラウンドで66.6億円を調達)

QR コードによるキャッシュ決済「Origami Pay」を運営する Origami大型調達。Alipay(支付宝)や WeChat Pay(微信支付)が日本への本格進出を伺い、日本の銀行勢も QR コード決済への進出を準備する中で、Origami は日本におけるこの分野において、古株の存在と言えるだろう。資金調達先は、SBI インベストメント、トヨタファイナンス、信金中央金庫、銀聯国際(UnionPay)、クレディセゾン、日本ユニシス、ジェーシービー、大垣共立銀行、三井住友カード、DG Daiwa Ventures。

また、みずほ銀行、三井住友銀行、大垣共立銀行、青森銀行、ゆうちょ銀行、SBJ銀行、じぶん銀行、静岡銀行、第三銀行、三重銀行、北越銀行、みちのく銀行、みずほ銀行との連携により、これらの銀行にあるユーザの口座から QR コード決済時にリアルタイムで代金を引き落とせるようになった(一部は予定)。来年には、海外で銀聯国際のネットワークを通じ Origami Pay を、また国内で Origami 加盟店で銀聯 QR 決済が可能になる見込み。台湾の JKOPAY(街口支付)との提携で、台湾訪日客が日本でJKOPAYを利用できるようになった。

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FiNC(約55億円を調達)

ヘルステックスタートアップの FiNC は約55億円を調達した。参加したのは、ロート製薬、日本電気、第一生命、資生堂、中部電力、帝人フロンティア、INTAGE Open Innovation Fund、アトラ、江崎グリコ、SOMPO ホールディングス、FinTech ビジネスイノベーション、講談社、J-WAVE、竹中工務店、みずほ証券プリンシパルインベストメント、広島ベンチャーキャピタル、横浜キャピタル。

FiNC は今回、CTO である南野充則氏の代表取締役就任(代表取締役 CEO の溝口勇児氏は、現在の職位を維持)、社名の FiNC Technologies への変更を発表しており、既存ビジネスにより多くの技術を取り入れる方向へと舵を切る意図を示唆しているようだ。同社では今回の調達資金の使途として、ディープラーニング、機械学習をはじめ、運動、栄養、睡眠領域における行動変容のためのAI(人工知能)開発や、アプリ「FiNC」のマーケティング・プロモーションや海外進出、ハードウェアの開発や M&A に充当するとしている。

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ユーグレナ(50.5億円を調達)

ミドリムシスタートアップのユーグレナは、SMBC 日興証券向けの新株予約権割当により約50億5,000万円を調達した。資金使途として、シナジーや顧客基盤の強化が見込まれるヘルスケア分野などで M&A、PR戦略による顧客基盤の強化、新規素材開発などの研究開発を推進を挙げている。同社では、「グループ連結売上高300億円の達成」と「国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化」の2年後の達成を経営目標に掲げており、資金使途はこれらに沿ったものとなる。

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AlpacaJapan(シリーズ A ラウンドで約6.5億円、資本性ローンで1億円を調達)

AI フィンテックスタートアップの Alpaca(法人としては AlpacaDB と AlpacaJapan があるが、今回調達の主体は AlpacaJapan)は、三菱 UFJ 銀行、SMBCベンチャーキャピタル、イノベーティブ・ベンチャー投資(NEC キャピタルソリューションと SMBCベンチャーキャピタルのファンド)、価値共創ベンチャー(NECキャピタルソリューションとベンチャーラボインベストメントのファンド)、D4V、アーキタイプ、複数の個人投資家からシリーズ A ラウンドで総額約6.5億円を調達。加えて、日本政策金融公庫から1億円の資本性ローン調達した。

調達した資金の使途として、同社では Global Capital Market における AI ソリューション事業とデータベース技術の更なる研究開発、「AlpacaForecast」、「AlpacaRadar(新規プロジェクト)」、今年5月末にBloombergとの協業により実現した「AI Prediction Matrix」のさらなるプロダクト開発を挙げており、今後、日本内外の金融機関・事業会社に AI ソリューション事業(データサイエンスと人とのコラボレーション)を積極的に展開するとしている。

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また、新規調達ではないが、AI スタートアップの ABEJA では、NTT ドコモベンチャーズから NTT ぷららへ、NTT グループ内の株式譲渡による株主異動が発表された。これは NTT ぷららと ABEJA が協業関係を構築したことに由来し、NTTぷららが運営する映像配信サービス「ひかりTV」へのサービス向上や効率化、高機能プラットフォームの構築・運用に ABEJA の AI・ディープラーニング技術を活用するとしている。

先週にはこのほか、パーソナルモビリティの WHILL が50億円、口コミ評価サイト運営の Vokers が22.5億円の調達を発表している。

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