Plug and Play Japan「Batch 1」のデモデイで、国内外44チームがピッチし大企業との協業内容を披露——次期「Batch 2」の募集は今日まで

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.9.14

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シリコンバレー・サニーベールに本拠を置くアクセラレータ Plug and Play の日本プログラムである Plug and Play Japan は5〜6日、アクセラレーションプログラムの BATCH 1(第1期)のデモデイを都内で開催した。「Plug and Play Japan Expo」と題したイベントにはのべ1200名を超える参加者が訪れ、3ヶ月間に及んだアクセラレーションプログラムの成果や、大企業パートナー各社との協業成果に注目を集めた。

BATCH 0(第1期)の際と異なり、BATCH 1 では大企業パートナーの増加と共に、4つのバーティカル(Fintech、Insurtech、IoT、Mobility)が設定され、国内外53社が採択された(うちバッチ登壇は44社)。本稿では、参加者投票などの結果、受賞に至ったスタートアップについて、バーティカル毎に紹介したい。プログラム採択・ピッチ登壇スタートアップについて、バーティカル毎の次の3つの賞が設定され表彰された。

  • 【EXPO Winner】 聴衆の投票により、最も得票を集めたスタートアップを表彰。
  • 【PnPJ Award】国内スタートアップの中で、世界展開の可能性が高い企業を表彰。受賞社には、Plug andPlayシリコンバレー本社で、VC / 海外企業の前でのピッチ機会を無償提供。
  • 【Global Startup Award】海外スタートアップの中で、日本市場への展開可能性が高い企業を表彰。

【EXPO Winner – Insurtech】SQREEM(シンガポール)

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Sqreem は、ターゲットとする顧客層へのオンラインリーチを高精度に実現する、AI に基づいたデジタル広告プラットフォームだ。サーチエンジンに投げられる問い合わせ内容などから、人々の行動パターンを予測分析。例えば、「来月、自動車保険を変えるのは、どういう人か?」を予測し、45万通りのライフパターンの中からターゲティングできる。

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インターネット上に存在するさまざまなプラットフォームと API 連携することにより、ターゲット層に直接リーチすることが可能。アメリカの大手保険会社に導入したところ、顧客からの反応がそれまでの300%まで改善した実績があるという。

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【PnPJ Award – Insurtech】justInCase(日本)

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justInCase は、モバイルアプリで申し込むだけで簡単に入れるスマートフォンの破損をカバーする「スマホ保険」、山登りや釣りイベントなどでのケガをカバーする「ケガ保険」を提供している。テクノロジーによって、保険をより効率的に提供すできるのが特徴。

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今後、旅行を予約後にそのまま旅行保険に加入できるサービス、E コマースで家電を購入した後にそのまま家電保険に加入できるサービスを計画している。いずれの場合も、ユーザの同意を受けて、旅行予約や商品購入の完了動線で保険の申込画面に遷移するため、ユーザは個人情報を再入力する必要がない。

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【Global Startup Award – Insurtech】Eltropy(アメリカ)

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Eltropy は、メッセージングアプリケーションを介して顧客の関心を引き、企業の収益を伸ばす営業支援ツールだ。LINE などのメッセンジャー上で動くボットを使って、さまざまな商品やサービスの購入へ顧客を誘導する営業活動は増えつつある一方、保険の勧誘や営業にボットが活用されている事例はまだ少ない。

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保険業界にボット導入が進まない理由は、メッセンジャーでのやりとりにより企業側のガバナンスが利かなくなる、既存のビジネスインテリジェンスツール(CRM など)とのインテグレーションが難しい、などの理由が挙げられる。Eltropy では、メッセンジャー上でのやりとりから24のデータポイントで顧客のデータを取得、AI エンジンで情報解析し潜在顧客を予測する。

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現在、PoC を協業できる企業を募集しており、シリーズ A ラウンドでの資金調達を実施中だ。

【EXPO Winner – Mobility】【Global Startup Award – Mobility】what3words(イギリス)

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whats3words は、世界中を3メートル四方の空間に分け、たった3つの単語で位置情報を表わすシステムを開発している。自動車やドローンの自動運転においては、住所ではなく正確な位置情報が必要がある。番地だけでは複数の住居が存在する場合もあるし、国や地域によっては地番が整備されていないケースがあるからだ。

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緯度と経度の値があれば正確な位置を指定することができるが人間には覚えにくい。この問題を解決するのが whats3words で、「tables.arena.runners」など有機的な言葉を組み合わせることで、緯度・経度に変換する API を提供している。人間はこの3つの単語だけを覚えればよいので、カーナビはもちろん、ロードアシスタンスやピザデリバリなど用途は多彩。約600社のパートナーで利用されている。

【PnPJ Award – Mobility】Trillium Secure(日本)

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Trillium は、自動車や保険会社が必要とする、自動車向けサイバーセキュリティの自動アップデートのシステムを提供。コネクテッドカーは便利になる一方、同時にハッカーからの距離に関係なく攻撃に合う可能性も増すことになる。このような攻撃に対抗するセキュリティ対策は、V2I(vehicle to infrastructure、主にモバイルキャリアが提供)、Smart Firewall、IVN(in-vehicle networks)の3つの領域で提供されているが、Trillium は IVN の分野、つまり車に搭載されているネットワークにセキュリティを提供する。

エンド・トゥ・エンドの暗号化/認証技術と鍵管理技術を完全ソフトウェア・ベースで CAN(ECU が接続している Control Area Network)に実装することに成功(SecureCAN)。さまざまな ECU メーカーが出しているチップ向けに対応したプログラムを供給することで、インターオペラビリティ(相互互換性)も確保している。今後、自動車保険会社、ワイヤレスキャリア、セキュリティプロバイダなどを通じて、OTA アップデートを含むサブスクリプション・ベースのセキュリティ・サービスをコネクテッドカー・ユーザに届けたいとしている。

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【EXPO Winner – IoT】【PnPJ Award – IoT】ノバルス(日本)

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ノバルスは、電池出力コントロールや電池電圧・電流モニタリングを可能にする乾電池活用 IoT 電池ソリューション「MaBeee」を開発。MaBeee は単三型乾電池の形状をした IoT デバイスで、ユーザは乾電池で稼働する製品に MaBeee を装着することで、スマートフォンから BLE(Bluetooth Low Energy)経由での操作が可能になる。

6月に発売した「MaBeee ビーコンモデル」は、乾電池駆動のデバイスに入れるだけで、そのデバイスをビーコン発信機にすることができる。乾電池残量の減り具合や利用回数などが遠隔モニタできるので、高齢者の見守り、装着されたデバイスのメンテナンス時期や乾電池の交換時期を特定することが可能。インテリジェントな乾電池の開発加速に向け、電池メーカー各社との共同開発も進めている。

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【Global Startup Award – IoT】Motionloft(アメリカ)

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MotionLoft は、あらゆるユースケースを想定した、ユニークなデータを用いたデータアナリティクスプラットフォームだ。世界中の人や車の動きを CV 能搭載のカメラセンサーを通して取得・分析し、即時有用なデータとして提供する。例えば、渋谷駅前のスクランブル交差点で、一秒間に何人の人々が歩いているかなどもリアルタイムで計測可能だ。

不動産事業者、ショッピングモールなど、多くのスポンサーを獲得しているが、アクセラレーションプログラムを通じて、交通事業者と人の移動を分析する PoC を実施しているほか、保険会社ともリスク変化をモニタする手段として MotionLoft が使えるかどうかの PoC を実施しているという。

【EXPO Winner – Fintech】【PnPJ Award – Fintech】GINKAN(日本)

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GINKAN は、AI とトークンエコノミーを用いた新しいグルメ SNS「SynchroLife(シンクロライフ)」を運営している。投稿情報の正確性や透明性をブロックチェーンのしくみを使って担保し、ユーザは投稿内容の評価に応じて、トークン「SynchroCoin」によって世界共通価値となるユニバーサルなインセンティブが得られる。SynchroLife には現在17万件以上のレビュー、42万枚の写真が掲載されており、全登録ユーザーのうち約20%がレビューを投稿している。

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SynchroLife は現在、世界155カ国のグルメ店舗に関する投稿に対応しており、現在82ヶ国からユーザ登録があり、48ヶ国からレビュー投稿がなされている。Plug and Play Japan Batch 1 への参加を通じて、GINKAN は東急不動産との協業により SynchroLife の PoC を「東急プラザ銀座」で実施することが明らかにされた。約1か月間にわたり、東急プラザ銀座のレストラン21店舗において、店舗送客、SNS グルメサービスの特徴を生かしたマーケティング手法、QR コードを活用した飲食代金のトークン還元などを実施するという。

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【Global Startup Award – Fintech】Quantstamp(アメリカ)

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Quantstamp は、サンフランシスコを拠点にスマートコントラクトのセキュリティ問題解決を目指すスタートアップだ。Ethereum スマートコントラクトにおける脆弱性を見つける、初の自動化セキュリティ監査プロトコルを開発している。

日本で Plug and Play Japan Batch 1 への参加を通じて10社と NDA(情報非開示契約)を結び協議を開始。日本の大企業と MoU(覚書)を締結、名称非開示の日本のゲーム会社 SoW(作業範囲記述書)に漕ぎ着けたという。

ストラテジックラウンドで、日本の大手企業(名称非開示)から出資を受けたことも明らかになった。8月には、Modular と共同で Smart Contract Security Allinace のローンチを発表している。

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Plug and Play Japan が現在募集中の Batch 2(第2期)では FinTech、IoT、InsureTech、Mobility をテーマに約40社が採択される予定だ。Batch 2 からは、大企業パートナーとして、これまでの11社に加え、オリックス(FinTech)、マクニカ(Mobility)、三井住友フィナンシャルグループが参加することが明らかになった。

採択されたスタートアップには、Plug and Play のメンターによるメンタリングやシリコンバレーでのピッチ機会が提供されるほか、東京・渋谷のコワーキングスペース「Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産」をプログラム期間中は無償で利用できる。

募集は9月14日(日本時間で、本日23時59分59秒)まで実施され、プログラムは11月27日から開始される。

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