インドのAgShift、自律型食料品検査システムを開発し世界的なフードロスを削減

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AgShift 設立者兼 CEO Miku Jha 氏

毎年人間が食べるために生産される全食料のおよそ3分の1(約13億トン)は、食べられずに失われ無駄になっている。この損失は工業国では6,800億米ドル、途上国では3,100億米ドルに達している。

食料品の廃棄を削減させることは、世界中の多くの組織にとって頭の痛い問題である。近年、食料品分野ではかなりの技術的進歩が見られたものの、食料品廃棄への取り組みに関してはそうでもない。

インド生まれの起業家 Miku Jha 氏は最先端の技術を使いこの巨大な問題を解決したいと考えている。彼女のスタートアップ AgShift は食料品廃棄を大きく削減するソリューションを開発しており、自律的かつ客観的で標準化された検査結果をサプライチェーン全体にもたらすとしている。

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AgShift の設立者兼 CEO であり農業分野の経歴も持つ Jha 氏はこう述べた。

現在の食料品検査プロセスは紙ベースの冗長なものであり、継続的な個人のトレーニングを必要としています。一貫性がない主観的な検査によって、所管する組織は毎年156億米ドルの損失を蒙っています。数百万米ドルの立替支出やクレーム処理、そして関連企業によるブランド価値の毀損といったものも、さらに追加されます。

同氏はこう付け加えた。

AgShift では、作業の効率化のためにモバイルファーストなアプローチを使って製品規格をデジタル化することから、ディープラーニングを活用して検査を自動化することまで、様々な場面における食料品検査を再考しています。弊社の目標はサプライチェーン全体で食料品検査を標準化し、一貫性がない食料品の品質判断の結果として生じる、食品廃棄を削減することです。

Jha 氏が2016年にアメリカで設立した同社は、本来は農家の膨大なコンプライアンスレポートや生鮮食品の評価を手助けするアプリを開発している。同社のチームは間もなく、作物の迅速な等級付けを手助けし、リソースの管理を自動化するアプリを提案するとしている。

私が農業に強い親近感を抱いているのは、インド北部で育った経験によるものです。ムンバイに引っ越す以前は、私の家にはたくさんのマンゴーの木がありました。

AgShift のしくみ

AgShift のソリューションはディープラーニングとコンピュータビジョンを組み合わせ、農作物やその他の商品を自動で検査し、不良品を検知するものである。品質評価を行い、アメリカ農務省や特定の組織の規格に適合しているかどうかを判断する。特許を取得しているディープラーニングモデルはサンプル画像から不良品を検知し、サンプル全体の品質を予測するのだ。

このプラットフォームは精選された広範囲な画像データセットを使い、ソフトウェアが一貫性を持ち正確な不良品分析をできるよう教育している。このソリューションによって、サプライチェーン全体に渡り客観的で一貫性をもち標準化された品質判断を提供する手動検査が補強されている。

AgShift の可視化データ一覧によって、サプライチェーン全体から集まった検査データを詳細に分析できるようになる。組織内では実現可能な決定のために指数、検査報告、欠陥マップが公表され、リアルタイムでパターンや市場の状況を明らかにする。

Jha 氏はこのように述べた。

弊社の食品検査アプリケーションは大規模で一貫性が高い品質評価をお届けできます。食料品業界のクレーム率や返品率を削減することができるのです。こうすることで、弊社は組織が出す数百万米ドルの立替支出や、食料品の不安定な品質によるブランド価値の毀損を防ぐのです。弊社のソリューションは世界的な食料廃棄に対して最大級のインパクトを与えるものです。

彼女の考えでは、私たちは先天的な必要性として、自分たちが良い品質の食料品を確実に購入できるように、新鮮な果実や野菜を徹底的に検査しなければならないとしている。しかしながら、手作業の食料品検査を大規模な商業的スケールで行うのは、時間もかかり主観的になってしまう。その結果、一貫的ではない食料品品質検査の余地が生まれてしまうことになる。

この問題へのソリューションは、人工知能の力を利用することで食品検査のプロセスを自動化することにある。

今年3月、AgShift は製品開発の強化のため、そしてより多くの顧客にリーチできるようするために、シードラウンドで Exfinity Ventures などから200万米ドルを調達した。

天候スマート農業を通じて農家のさらなる成長を手助けすることから、人工知能(AI)を使う食品加工機器で新鮮な作物を流通業者や小売業者へと分配、そして流通業者や小売業者は AI を使ってプロセスを自動化するというところまで、技術は食品のサプライチェーン全体に関わるようになっている。今日の世界では、農園から出荷された食料品が消費者の皿に乗るまでに数百マイルを移動することも珍しくはない。それゆえに、サプライチェーンのあらゆる段階で、食料品の品質と安全性の維持に努めることが必須となっている。

【via e27】 @E27co

【原文】

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