アラン・プロダクツが創業2年の占いC2C「MIROR」を買収ーー数億円規模【追記あり】

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ユナイテッド傘下のアラン・プロダクツは10月31日、占いのマーケットプレースMIRORを運営するラップスの全株式取得による子会社化を公表している。株式取得にかかった費用は開示されていない。

またこれに伴いラップス代表取締役の和田崎達也氏が10月31日付でCPO(Chief Product Officer)に就任したことも伝えている。

ラップスの創業は2017年1月。約1年10カ月でのスピード売却となった。本誌取材で関係者の話によると買収にかかった費用は数億円規模。アーンアウトなどの条項が付いており、今回CPOに就任した和田崎氏らの今後の成長に期待が持たれての買収という説明だった。また同社の株主には個人投資家として、インターネット事業の起業経験者が名を連ねているという話も聞いている。

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買収したアラン・プロダクツは髪の悩みを解決する「ヘアラボ」や性の問題を扱う「Palette」などのメディアを展開する一方、今年10月にはサービス開発のGlasspodを買収するなどM&Aに力をいれている。

同社代表の花房弘也氏は2014年にファッション系のコマースアプリでスタートアップした起業家。その後、現在運営するメディア事業を拡大させて2016年9月に総合インターネット事業を展開するユナイテッドに約8億円で買収された。花房氏は現在、ユナイテッドの執行役員も務める。

親会社であるユナイテッドはフリマアプリのメルカリ創業期に出資したことから、今年6月に実施した新規株式公開で大きな含み益を獲得した。一部は売り出ししており、126億円の営業利益を計上している。

これに関連して、今年8月には中期計画としてUNITED2.0」を公表。グループ全体として今回の買収もその一環と考えられる。買収の経緯など詳細については現在、花房氏にコメントを求めているので届き次第追記する。

10月31日18時追記しました

20代前半の起業家同士によるスタートアップ買収案件が明らかになった。株式取得にかかった費用も、本誌取材先の話で「10億円には満たない額」という、決して「お友達ディール」ではない規模になっている。

今回、子会社化を発表したラップス和田崎氏は24歳。花房氏とは同年代で、キュレーションメディア「KAUMO」では取締役COOを務めたこともある人物だ。10月に公開されたもう一つの買収案件「グラスポッド」の河西智哉氏と共に「再現性のある」新たなコンシューマー向けの事業開発を進めるという。本誌は2人に取材機会を得たのでショートインタビューを掲載する。(太字の質問は全て筆者。回答は記名、敬称略)

とある関係者から「10億円までには満たない規模感」と聞いている。正確な買収金額は

花房:「本件についてはノーコメントとさせてください」。

では和田崎さんに。ラップスのこれまでの支援者はどういった方がいるのか

和田崎:「創業期に赤坂(優)さん(エウレカ創業者)、笹森(良)さん(フンザ・チケットキャンプ創業者)の支援を受けています。特にコンシューマー向けのプロダクトで再現性のあるものを作ろうと進めて現在の「MIROR」が生まれました。その後、ミクシィの笠原(健治)さんやヘイの佐藤(裕介)さんやバンクの光本(勇介)さんにも出資頂いてます。花房さんも投資いただいてます」。

補足しておくと、ラップスの運営するMIRORは占い師のC2Cマーケットプレースだ。占い師と占って欲しいユーザーはこのプラットフォームで占いサービスを売買できる。ビジネスモデルはC2Cのプラットフォーム手数料。

グラスポッド(10月)に続いて月内2件目、前回はCTOのタレントバイが狙いにあり、今回も和田崎さんはCPOというポジションを担う。改めて今回の事案についての具体的な目的をお聞きしたい

花房:「まず事業性があります。シンプルにこの事業は伸びると強く感じました。そういう意味ではアランの次なる中核事業を買ったと言えます。その上で、和田崎がどうしても必要だったんです」。

CPOという役割に何を期待する

花房:「エンジェルでも入ってもらっている赤坂さんや笹森さんのような、圧倒的なプロデゥーサー、事業家としての才覚に強く惹かれました。事業を再現性持って創り上げることができる人間って滅多にいないんです。そういう意味では「事業性と人」の2軸でこの買収を進めました」。

今回の買収でアラングループとしての体制はどの程度の規模になった

花房:「50人〜60人ぐらいの規模になりました。この体制で新規の事業を3本から4本ほど走らせています」。

今後の計画を聞きたい。今後も買収は続けるのか、そうであればどういう企業を買収していくのか、明らかにできる範囲を教えてほしい

花房:「まずは『スタジオアランから生み出す事業+買収事業』を徹底的に伸ばすのが大前提です。その上で今後も買収企業を模索していく、という中で言えばやはり『収益性の高い事業』がタイプです」。

具体的には

花房:「3年後には収益が上がっているはずです!という未来すぎる事業にはあまり興味がありません。既存事業とのシナジーもあまり興味はないです。デイティングやOTA、HR、不動産、ITからアナログまで、わかりやすく収益性の高い事業や企業は積極的に買収対象に入れたいと考えてます」。

和田崎さんや河西さんのようなタレント買収は

花房:「グラスポッド買収のような例外を除いては副次的に考えているので、それよりも事業性をしっかりと見極めて、適宜買収検討を進めます」。

ありがとうございました。

直接会って話をしてみると2人ともインターネットサービスが好きで、事業を伸ばしたい、わくわくするものを生み出したい、という起業家特有の「匂い」のようなものを感じた。これは笹森氏や光本氏らベテラン勢の創業期に感じたものと通じる。

投資やインキュベーション、アクセラレーションとも違う、新しい事業創造スキームをこういった若い世代が自ら生み出しているというエコシステムも興味深い。メルカリという大きな資産を次の発展に活かせるか、大いに注目すべき動きと感じる。

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