Deep Northのスクールセキュリティシステム、AIとカメラで脅威を検知

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Image credit: Deep North

シリコンバレーのスタートアップで中国とスウェーデンに拠点を持つ Deep North(元 VMAXX)は、学校が直面する暴力や「その他の安全性の問題」を防ぐため、人工知能(AI)を活用しようと考えている。Deep North は本日(9月25日)、厳選した公共施設で危険を検知するオブジェクト認識技術やコンピュータ画像認識技術を実地試験するプログラムを発表した。

同社はすでにテキサス、フロリダ、マサチューセッツ、カリフォルニアなどの校区や大学と連携しており、米国下院議員 Pete Sessions 氏(テキサス州選出・共和党)からも支援を受けている。

Sessions 氏は声明でこう述べた。

学校を安全にする実現可能な方法の中で AI は代表的なものであり、他の方法より価格も手頃です。

Amazon Web Service の Rekognition、IBM の Watson Visual Recognition、Microsoft の Azure Face API と同じように、Deep North のプラットフォームは、高機能レイヤーを従来の既製品カメラ(解像度は最低で320p 程度)に適用し、映像が入り次第分析を行う。環境に応じて人の行動や動作をインフレームでモニター、検知、判断し、放置されたバッグや武器のような物体など学生や職員の脅威になりそうなものを認識する。

潜在的脅威が認識された場合、学校管理者はアラートを受け取る。

Deep North の技術は特許出願中であり、もともとは店舗販売の小売業向けに設計された。複数のカメラにわたるトラッキングを活用して、群衆をスキャンし、入口、出口、人が密集するような「要注意エリア」をモニターする。Deep North によると、同社の技術は学生や教員が特定できるような個人情報は共有せず(身体的特徴に基づいた無数のハッシュタグシステムを使用する)、誘拐を防止したり、「施設のレイアウト向上」やインフラの向上、歩行者交通の管理などにも利用できるという。

当社の動画 AI とディープラーニングの専門知識で学校を安全な場所にできるのは、予想外であり驚くべきことです。

Deep North の社長兼 CEO である Michael Adair 氏は語る。

当社のソリューションを活用することで、学校は「不審物等を見かけた際はお近くの職員にお知らせください」というコンセプトを、人間の警備では単純に対抗し得ない方法で、自動化・拡充できます。学校が法外な費用を支払ったり、金属探知機などのストレスを伴う手法を採用することなく、安全警備を改善できることの功績は決して小さくありません。

この種のシステムは初めてではない。今年、中国東部の高校が顔認識を利用して学生の授業参加状況をリアルタイムで分析する「インテリジェント教室行動管理システム」の試験を行った。あるパリのビジネススクールでは、LCA Learning の Nestor が提供する AI と顔分析を利用し、学生がクラスに集中しているか判断する。

一方で、Shielded Students などの企業は、カメラや統合マイクロ波レーダースキャナ、コンピュータ画像認識ソフトを使用し、学校に銃やその他の武器が隠されていないか識別しようと考えている。

ただ、このようなシステムには、当然反対する人もいる。AI ドリブンの監視システムが学校で機能すると評価した公的なデータは、皆無かそれに近い、と批評家は言う。また、顔認識 AI は、バイアスや誤認識に特に影響を受けやすいと指摘する。

ACLU は7月、Amazon の Rekognition が一定の方法で調整した場合に現下院議員28名を犯罪者と誤認することを実証した。2012年の研究では、ベンダーである Cognitec の顔認識アルゴリズムでアフリカ系アメリカ人の場合に白人の場合よりも5~10%精度が落ちたという。最近では、ロンドン警視庁が配備したシステムで、ヒット1件に対し最大49件の誤合致が起こることが明らかになった。

アメリカ最大のボディカメラサプライヤー Axon の CEO である Rick Smith 氏は、今夏、顔認識は法執行機関での応用には正確性がまだ十分でない、と発言した

Smith 氏はこう述べている。

顔認識は運用上の決定を行うレベルに達していません。時期尚早に導入した結果、技術的欠陥により悲惨な結果を招いたり、意図しないユースケースにより技術の長期利用が大衆に受け入れられなくなったりしてほしくないのです。

しかし、Adair 氏は Deep North のシステムの正確性に自信を持っており、真に貢献する可能性を秘めていると述べる。

このプログラムへの取り組みを拡大し、アメリカ中の学校の警備を強化して安全上のリスクを軽減し、学生や教員を長期にわたって守ることができればと考えています。舞台裏で活躍するソフトウェアドリブンのオプションを先頭に立って提供できることを誇りに思います。近い将来、そして長期的に、真の変化をもたらすことのできる選択肢です。(Adair 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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