IBMのWatson農業プラットフォーム、作物の価格予想や害虫対策なども可能に

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2018.10.6

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Image Credit: アメリカ合衆国農務省

本当に、琥珀色の穀物の波だ。アメリカ本土には約200万もの農地が点在しており、農場経営者の決断は食料サプライチェーン全体に影響を及ぼす。ある研究によると、アメリカのブロッコリー生産量のわずか5%が収穫されないだけで、9,000万ポンド(約4万823トン)以上のブロッコリーが手付かずになるという。

予測不可能性のため頻繁に緊迫する市場を安定させるべく、IBM は本日(9月24日)、人工知能(AI)、IoT、クラウドソリューションを結集し「証拠に基づいた」洞察力を生み出す新しいプラットフォーム Watson Decision Platform for Agriculture をローンチした。マネージドサービスとして提供されるほか、カスタマーサービス、人事、製造現場、マーケティングのユースケースを事前訓練した、IBM の新しい同梱ツールセットの一部として提供される。

アーモンクに本社を構える IBM はプレスリリースで次のように述べた。

農業は常に複雑な事業です。生産者が下す決断は、シーズン前とシーズン中のものが網のように絡まり合っており、それを管理しなければなりません。一方で、自然のなすがままでもあります。農業機械、環境センサ、遠隔入力装置からのデータの急増により、生産量の変化要因を理解したり生産者に指導したりする際、直感や従来の技術に頼るのは非現実的となりました。このギャップを埋めるため、Watson AI をデータに適用し、意思決定サポートを生成することで、生産者が証拠に基づいて自信を持って決断ができるようにしています。

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(上)農作物の衛星画像.
Image Credit: IBM

Watson Decision Platform for Agriculture は、IBM の予報バックエンドの力を利用し、土壌の温度や湿度レベル、作物にかかるストレス、害虫、病気など、作物の生産量に影響する重要な要因を浮き彫りにする。生産者はドローンを展開し、写真を IBM Cloud に送信して AI の流行分析情報を得たり(作物の病気の兆候を見つけるなど)、植物を接写した画像を病害検出用コンピュータ画像認識アルゴリズムに送信したりすることができる。

大規模農場はプラットフォームを利用し、収穫時期やグローバル市場での販売量を予測できる。また、送信されてきたデータを照合することで、ベストな灌漑、植付け、施肥、労働者の安全管理だけでなく、その年における理想的な作物販売時期も見極められる。

IBM が農業の分析に着手したのは、Watson Decision Platform for Agriculture が初めてではない。IBM Pairs Geoscope のプラットフォームでは機械学習を利用し、衛星画像や気象データ(IBM の子会社 Weather Company から一部提供)、国勢調査データ、土地の利用状況、事業拠点データ、作物予測を分析している。ブラジルでは、IBM の研究者が、AI とモバイルアプリを利用して土壌や水のサンプルを分析するプロトタイプ AgroPad を構築した。ケニヤでは、Twiga Foods と提携し、農業従事者や食料ベンダー向けのブロックチェーンを利用した小規模貸付プラットフォームを試験している。

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(上)IBM Watson のコンピュータ画像認識 API を利用したモバイルアプリ.
Image Credit: IBM

もちろん、AI を農業に応用する会社は IBM だけではない。テルアビブを拠点とするスタートアップ Prospera は、コンピュータ画像認識ソフトウェア、インフィールドカメラ、気候センサと堅固なクラウド処理プラットフォームを活用し、特定の場所の植物にどれくらい水を供給すべきかなどを計算している。一方、Descartes Labs は、衛星データで訓練した機械学習モデルを使用し、州全体またはアメリカ全体のトウモロコシ収穫量を予測している。Abundant Technologies は、コンピュータ画像認識とセンサフュージョンを自動イチゴ収穫機 Harvest Croo に導入している。

イノベーションは、待ったなしだ。国連は、地球人口が急増する中で食料を供給するには、食料生産を21世紀中頃までに50%増加させる必要があると予測する。運が良ければ、人工知能が業界に必要な生産増をかなえてくれるだろう。

本日(9月24日)ローンチした Watson の新しいソリューションやサービスは他にも、顧客のリクエストに対する関連情報をリアルタイムでカスタマーサービス担当者に提供する Watson Discovery for Salesforce や、パフォーマンス上位の従業員のバックグラウンドを分析し有望な応募者にフラグを立てる人事ツール、IBM Watson Assistant for Marketing、IBM IoT Building Insights、気象データや交通情報、規制情報を組み込み、グローバルサプライ関連問題の「全体像を提供」する Watson Supply Chain Insights などがある。

IBM は、Watson AI ソリューションを20業界80ヶ国の顧客の「何千もの事例」に導入したと語る。顧客には、Deluxe Corporation、BuzzFeed、H&R Block、Ingersoll Rand、Subway をはじめ、10大自動車メーカーのうち7社、10大石油ガス会社のうち8社が含まれる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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