ビットコインの大半は取引所の外には出ていない?ーーブロックチェーンの公開データが示す実際の「暗号通貨利用状況」

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本稿は11月18日から20日まで東京ミッドタウン日比谷で開催されるブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿

ピックアップ:Majority of Circulating Bitcoins Stored in Investment Wallets via Cointelegraph

コラムサマリ:流通しているビットコイン(BTC)の大半は取引所のウォレットなどに保管されたままーーこんなレポートを暗号化の業界分析ニュース「Diar」が伝えている。レポートによるとビットコインの55%が200BTC以上(時価で130万ドル程度)を詰め込んだ「投資用ウォレット」に保管されたままの状態にあるという。また、記事を掲載しているCointelegraphによると、今年1月にはビットコインの供給上限の80%にあたる1680万BTCが既に採掘済みとなっているそうだ。

話題のポイント:振り返ってみれば昨年の2017年は暗号通貨元年といわれ、取引所という「個人とトークンを繋ぐ仲介企業」を通して多くの方々が初めて暗号通貨を「実際に持つ」という体験をしました。

今回Cointelegraphにて取り上げられていたのは、暗号通貨を初めて所持した後にその通貨が「どうなったのか」という行方に関するものです。

暗号通貨界において分析業務を行っているDiarのレポート「Circulating Bitcoin Majority Remain Sequestered to Investment Wallets」によると、200BTC以上保有しているアカウントの3分の1以上が一度も取引されていない、とされています。

その理由はあくまで想像するしかありませんが、いわゆるプライベートキーの消失により資産にアクセスできないパターン、または昨年12月のバブル時(BTCが200万円を超えていたあたり)に購入したため投機的に動かさないほうが賢明と判断してるパターンのいずれかが考えられます。

近年ではDEX(Decentralized Exchange、分散型取引所)が徐々に一般化してきてはいるものの、未だ一般的な暗号通貨の入手方法は企業を通した取引所を利用する方法です。言い換えれば、200BTC以上もの資産が保管されているウォレットの多くは取引所内にあり、実質的に個人のウォレットにおいて保有している状態がやってくるのははまだまだ先と言えるでしょう。

冒頭で述べた、暗号通貨を「実際に持つ」の現段階における一般的な解釈は、暗号通貨を購入したことがあるか、または無いかで判断されていると感じます。しかし、実際は暗号通貨自体は通貨としての利用(特にBTCは)前提ですから、実際に持つ=いつでも取引可能な状態であるべきなのでは…と思いつつも、取引所のウォレットで保管が十分というのもこういったデータをみると納得してしまいます。

また今回のレポートにあったように、ブロックチェーンの特性上様々なデータをオープンにチェックすることが可能です。今後、色んな観点からブロックチェーンのデータを解析することによって見えてくる、技術面以外での理解が増えてくるかもしれません。(執筆:増渕大志

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