大手銀行提携に日経FinTechでの優勝ーー給与日払い「Payme」のリリースから見える、スタートアップが社会と信頼を構築する方法

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2018.10.9

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ピックアップ:給与即日払いサービス「Payme」が、67つの勤怠・給与システムとサービス連携をスタート!

ニュースサマリ:給与の日払いサービス「Payme」を提供するペイミーは10月9日、新たなサービス連携先として6社、7サービスが追加されたことを公表した。勤怠管理の「AKASHI」「クロノス」「TimePro シリーズ」と、給与計算の「MFクラウド給与」「ジョブカン給与計算」「TimePro シリーズ」「PCA給与DX」が対象。同社と提携する企業はこれで10社11サービスに拡大した。

話題のポイント:ペイミーのリリースが続いていますね。同社のリリース(※)を確認するとほぼ毎週のようになんらかの提携リリースが掲載されています。実はこのリリースラッシュ、同社を取材する側のひとりとして「ある効果」を感じていましたのでそちらをお伝えしたいと思います。ポイントは次の3つです。

  • 公開当初のPaymeは「ややグレー」と言われるモデルだった
  • 直近1カ月のプレスリリースは5回で業務提携や受賞など「相手があるもの」
  • 難しい「モデルチェンジの説明コスト」削減効果

Paymeの公開は昨年9月。THE BRIDGEの池田さんが取材した記事は大きな反響があったと同時に、支払うべき給与を「貸してるのと同じ」と見られかねない手数料モデルに「グレー」という評価も聞こえてきました。

<参考記事>

彼らの公開に先立って話題を振りまいたのが「CASH」です。質屋モデルでありがならあくまで古物流通であるという主張で質屋業(質屋営業許可)を取得しておらず、物議を醸したのは記憶に新しいです。しかし両社とも共通しているのはその後、しっかりと適法なモデルに修正した、という点です。

私がPaymeのモデルが適法に修正されたのを知ったのは「日経FinTech」主催のピッチステージでの出来事でした。詳細は割愛しますが、一言で言えば「給与支払いの金銭授受や手数料にペイミー社は関わらない」ようなモデルに転換していたのです。

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新しいモデルは純粋なシステムの利用料、つまりSaaSモデルです。図にある通り、Paymeのシステムを使えば給与の前払いが楽に実現できます。この利点は日払いが多い外国人労働者などを抱える事業者や飲食店に受け入れられ、今では170社が利用するまでに拡大しています。

しかしこういったモデルの変化というのは大変説明が難しく、私たちのようなテック専業ブロガーでもすぐに理解するのは困難です。そこで彼らのリリースが光ってくるわけです。前述の通り、彼らが提携した先にはセブン銀行やマネーフォワードなど、社会的な信頼が厚い企業も含まれています。日経ブランドの賞レースで優勝したこともお墨付きになるでしょう。

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こういった企業やメディアは曖昧なモデルには手を出しません。しかも隔週ほどのペースで情報が公開されれば、当然、ここにかかる「説明コスト」はどんどん削減されます。難しいモデルがなぜOKなのか、それをいちいち説明する必要がないというのは、大きなメリットです。

実際、同社代表取締役の後藤道輝さんにも聞きましたが、やはりこの一連のリリースラッシュは意図して実施していたというお話でした。

テクノロジーや社会構造(シェアや分散型など)が複雑になればなるほど、スタートアップする方への説明責任や説明コストは膨れるばかりです。しかしここから逃れても社会との正しい関係は結べませんし、一時期は楽しく使ってもらっても社会の公器として認められた法人としての発言、関係性を持てない企業に永続は見込めないでしょう。

ペイミーのリリースはひとつひとつ取れば、そこまで大きな話題ではないかもしれませんが、点ではなく「線」で見た時、スタートアップとしての説明責任を果たそうとする姿が見えてくるのです。

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