クラウドファンディングサイト運営のREADYFOR、初のエクイティ調達で5.3億円の資金を獲得——企業向けソーシャルインパクト事業を立ち上げ

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後列左から:山本絢子氏(GCP)、菅野薫氏、小泉文明氏、石川康晴氏、松尾豊氏、渡邉賢太郎氏(Mistletoe)
前列左から:今野穣氏(GCP)、元田宇亮氏(READYFOR)、米良はるか氏(READYFOR)、樋浦直樹氏(READYFOR)、草原敦夫氏(READYFOR)
Image credit: Readyfor

クラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」を運営する READYFOR は17日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、Mistletoe、石川康晴氏(ストライプインターナショナル代表取締役社長兼 CEO)、小泉文明氏(メルカリ取締役社長兼 COO)から約5.3億円を調達したと発表した。

今回の調達とあわせ、7月に READYFOR に参画した弁護士の草原敦夫氏が執行役員 CLO(Chief Legal Officer)に、GCP の今野穣氏が社外取締役に、またアドバイザーとして石川氏、小泉氏、Mistletoe の孫泰蔵氏、東京大学特任准教授の松尾豊氏が就任。さらに READYFOR のブランド強化を目的として、電通エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/クリエイーティブ・テクノロジストの菅野薫氏が、クリエーティブアドバイザーとして参画する。

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Readyfor は2011年3月、米良はるか氏が東大発ベンチャーのオーマの事業の一つとしてサービスを開始。2014年7月には米良氏が代表取締役となって新法人 READYFOR を設立、オーマから Readyfor の事業を引き継いだ。スタートアップとしては重鎮の感さえある READYFOR だが、エクイティファイナンスによる資金調達は今回が初めてなのだという。READYFOR は、これまで既存の方法では資金が行き渡らないプロジェクトに資金を供給するというビジョンを掲げ、頑なまでに地道に事業を拡大してきた。

事業を始めた2011年頃は、クラウドファンディングと言っても誰も知らなかった。広告を出しても、すぐにグロースできるような状態ではない。もちろん、事業スタートの段階で投資を受けるという方法もあったかもしれないが、そうすると、(利益追及のために)事業が違う形になっていたかもしれない。モデルを検証して、それをグロースさせるという姿勢に徹してきた(米良氏)。

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Image credit: Readyfor

資金調達をしない状態で既に5期目を迎える READYFOR は、売上も右肩上がりで黒字での健全経営が続いている。このタイミングでの資金調達は、機が熟したという判断によるものだろう。今回調達した資金の使途として、READYFOR が示しているものは大きく3つ。

一つは、ファン・リレーション・マネージメントができる SaaS の開発。クラウドファンディングによる資金調達は、プロジェクトがローンチされたタイミングでの一過性のものが多い中で、プロジェクトオーナーに継続的な資金調達の手段を提供しようという試みだ。プロジェクトオーナーと支援者がつながれるしくみを作り、自己実現のためのプロジェクトに、お金が集められるコミュニティ形成を支援したいとしている。

もう一つは、ローカルパートナーシッププログラムの強化。ふるさと納税に活用できるガバメントクラウドファンディングなどのサービスを提供している READYFOR では、地方企業との協力関係を強め、全国でのクラウドファンディング活用を促進する。地方では社会インフラやコミュニティ醸成のための資金需要が顕著化する一方、国にはふるさと納税や地方還付の資金を減らそうという動きもあり、READYFOR はそれを民間主導の新しいやり方で補おうとする意図も持っているようだ

最後にもう一つは、企業の SDGs 関連事業に向けた支援体制の拡充だ。READYFOR はこれまでにも、アサヒグループ、J-COM、パナソニックなどと提携し、社会性の高いプロジェクトに企業の CSR 支援金を提供する「マッチングギフトプログラム」を展開してきた。近年、SDGs 貢献が求められる企業からの需要が増えており、これに応えるため READYFOR では「ソーシャルインパクト事業部」を立ち上げる。

READYFOR には現在80人ほどの社員がいるが、ビジネスモデルが確立されグロースの素地が整ったこと受け、事業拡大に向けビジョンに共感してくれる人材の確保に注力する考えだ。

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READYFOR の社員の皆さん
Image credit: Readyfor

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