自動車向け衛星ラジオのSiriusXM、35億米ドル相当の全額株式交換により音楽ストリーミングのPandoraを買収ヘ

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Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

自動車向け衛星ラジオ企業 SiriusXM は、36億米ドル相当の全額株式交換によって Pandora を買収する計画を発表した

SiriusXM が4億8,000万米ドルでPandoraの株式15%を取得してから1年と少しが経過した頃に今回の買収が持ち上がってきたが、その当時は SiriusXM が Pandora を完全に買収するという噂があった。

Pandoraはこれまで、基本的には各ユーザごとにカスタマイズされたステーションを提供する、インターネットラジオプラットフォームとしてビジネスの大半を行ってきた。しかし昨年、アメリカで Spotify や Apple Music に対抗すべく、オンデマンドのプレミアムサービスをローンチした。これによって短期間で自宅とモバイルの音楽ストリーミングサービスに進出できることから、SiriusXM が Pandora 買収に動き始めたものと思われる。最近 Adswizz を1億4,500万米ドルで買収したことからも、Pandora がオーディオ向けのアドテクノロジー企業になるべく動き出していることがわかる。SiriusXM にとっては、プログラム化された「セルフサービス型」の広告購入モデルが主なセールスポイントとして映ったようである。

SiriusXM CEO の Jim Meyer 氏は次のように語った。

多くのユーザを惹き付ける、人気のサービスを提供してきた Pandora とそのチームに対しては、長年尊敬の念を抱いていました。Pandora の戦略の進め方や実行力の高さにも感銘を受けていました。

Pandora と SiriusXM が互いのビジネスを補完し合うことで、両社の株主に新しい価値を提供する大きなチャンスが生まれると信じています。アメリカ最大級の広告付きラジオサービスを持つ Pandora を加えることで、SiriusXM の収益源が多様化し、当社の技術面も強化されます。また、今回の買収によって、カーオーディオ以外の分野への進出をさらに推し進めることができるようになります。

現金を伴わない全額株式交換による買収が物語っているのは、Pandora 株が現在9米ドル付近で取引されており、2011年の IPO 時の価格である16米ドルを大きく下回っているということである。今回の買収には Pandora 株主の承認が必要となるが、注目すべき点は、興味を示す別の企業からの提案を Pandora が引き続き求めていることである。ゴーショップ条項(編注:買収における対象企業が、別の、より有利なオファーを求めるための時間的な猶予を与えられる条項)によって、Pandora は買収が決まるまでの間、他の買主を探すことができる。これによって SiriusXM は一番初めに目安となる買値を提示した企業という立場に置かれることになる。

SiriusXM によると、同社が買収することになれば、Pandoraのブランドと製品は今後も使われ続けるとのことである。

Pandora CEO の Roger Lynch 氏は次のように語っている。

SiriusXM のコンテンツ、カーオーディオ分野における立ち位置、優れたサブスクリプション製品、さらにアメリカ最大級のオーディオストリーミングサービスという強力な組み合わせによって、世界最大級のオーディオエンターテイメント企業が生まれることになります。

今回の取引によって株主に大きな恩恵がもたらされるだけでなく、SiriusXM の強力なブランド力、金融資産、結果を伴った実績によって会社の成長にも参加してもらうことができるようになります。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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