サービス業への戦略を加速させるWeWorkーー保険スタートアップ「Lemonade」と提携

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ピックアップ : WeWork taps Lemonade to offer insurance to WeLive members via TechCrunch

ニュースサマリー : コワーキングスペースを運営する「WeWork」が家財保険スタートアップ「Lemonade」と提携。WeWorkが会員向けに運営する家具および家事手伝いサービス付き宿泊施設「WeLive」の居住者向けにLemonadeのサービスが提供される。

居住者は月額5ドルから家財保険に加入可能になる。記事によるとWeLiveは2人部屋で1375ドルの価格から利用できる(現在3人部屋も新設されているので価格設定は異なる)。現在ニューヨークとワシントンD.C.の2拠点を保有。2020年春までにシアトルに新拠点をオープンする予定。

話題のポイント : Lemonadeとの連携によって、フリーランスはより柔軟性高く仕事ができる環境を手にします。

たとえばニューヨークで働いているWeWork会員は現在、仕事場から住居まで提供されている状態です。もしこの会員が(2020年以降)シアトルへ転勤が決まったとしても、WeLiveを継続利用すれば生活コストをほぼ維持したまま移住が可能です。移住の際に支払わなければならない家財補償などのスイッチコストも、Lemonadeを利用することで低額に抑えられます。このようにWeWorkは仕事だけではなく住環境の流動性をあげることで、「生活コスト」を圧倒的に抑える戦略に打って出ていることが伺えます。

ここでポイントとなるのはWeWorkが不動産からサービス業態へと移行している点です。会員の生活環境に柔軟性を持たせるため、顧客との接点にあらゆる新規サービスの導入/もしくは導入検討をしています。2つ事例を挙げます。

1つは小売店舗。BusinessInsiderの記事によると、会員企業の販売する小売商品を扱う店舗「WeMRKT」の店舗数を、現在の3店舗から500にまで拡大すると報じられました。WeWorkに入居する小売企業は、販売商品の売れ行きから大まかな売上予測を立てることが可能となるでしょう。また、地域に応じた属性データの獲得も可能となるかもしれません。

全米のどの地域で商品を売れば良いのか、中小企業が低リスクで市場リサーチできる環境を整えたのがWeMRKTの強みです。もちろんデザイングッズを販売するようなフリーランスも同様の利用価値を見出せるでしょう。ちなみに今の所、店舗は会員しかアクセスできませんが、非会員であっても利用できるようになればWeWorkにとっても大きな新規会員の集客チャネルとなりえます。

また、2018年10月には女性向け洋服レンタルサービス「Rent the Runway」との提携を発表。女性会員はビジネスミーティングやパーティーに招待される際など、定額で高級ドレスを借りられるようになりました。女性会員の生活体験を考えた上での、需要の高い提携案件と言えるでしょう。

SoftbankがWeWorkの株式を過半数保有する計画があると噂されている背景には、2018年前後になって急激に会員向けサービスの強化へ動き出し、最終的には定額であらゆる生活ニーズを満たす企業になる長期戦略があるからだと思われます。

投資コストの高い不動産業を抑えたWeWorkにとって、サービス面を充実化させることにあまり時間はかからないように思えます。この動きを狙って、各分野の2C向けサービスがどのような動きを見せるのかに注目が集まりそうです。

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