Doc.ai、Crestle.aiを買収し医師のAI革命への参加を促す

SHARE:

doc

自身の医療データをデータサイエンティストによる予測 AI モデル作成のためにシェアする人に仮想通貨を用いて支払を行おうとしている企業 Doc.ai は、迅速な AI 展開プラットフォーム Crestle.ai を買収した。Doc.ai は Crestle とヘルスケア業界の人々のためのトレーニングを組み合わせ、提出されたデータを基により多くの医師や医療関係者が予測 AI を作ることができるようにするつもりである。

Crestle のプラットフォームは Jupyter Notebook でディープラーニングパッケージをワンクリック展開するために作られたものであり、現在1万1,000人のデータサイエンティストと AI の実践者が使用している。

取引の金額に関しては明らかにされていない。

Doc.ai は2017年秋に、イーサリアムの共同設立者 Anthony Di Iorio 氏が一部を支援したトークンセールを通じて1,000万米ドルを調達した。それ以来、同社はユーザがイーサリアムベースのトークンを受け取ることができるよう、アプリとデジタルウォレットをローンチしている。Doc.ai は現在、アメリカの監督官庁からのコンプライアンスに関する情報を待っており、ユーザにトークンで報酬を出せるようになることを望んでいると、COO の Sam De Brouwer 氏は VentureBeat に語った。

Doc.ai の最初のデータトライアルには1,700人以上の参加者と、ヘルスケア企業の Anthem らが関わっており、周期的なアレルギーの予測を行なった

De Brouwer 氏が VentureBeat に語ったように、Doc.ai は患者、医師、データサイエンティスト、そして「ちょっと革命に参加」したいヘルスケア企業の誰であっても、ヘルスケア業界における AI の状況を前進させ個人の参加者とヘルスケア業界の両方に利益をもたらすようなデータをシェアすることで、参加を呼びかけている。

同氏はこう述べた。

AI はステークホルダーがつながりを持つための主な共通言語の1つとなるのではないかと感じています。医師とデータサイエンティストが医療用データで共に働くことに対しては莫大な需要があります。こここそが、確実につながりを生み出すべく弊社が注力したいところです。ヘルスケア業界内のステークホルダーの間には調和が作られつつあります。

AI モデルのトレーニングのために健康のプロをトレーニング

Crestle に関するニュースの一部として、Doc.ai は医療の専門家に特化したコースを2019年1月にローンチすると発表した。Doc.ai のアドバイザーとハーバード大学生命情報科学助教の Chirag Patel 氏ならびに教員の Arjun Manrai 氏がコースを主導する。

Crestle と Doc.ai の両者ともが Fast.ai と強いつながりを持っている。同社はプログラマーがもっとディープラーニングにアクセスしやすいようにするという目的に打ち込んでいるスタートアップだ。

Fast.ai は Jeremy Howard 氏が主導する7週間のディープラーニングの初級コースを提供している。同氏は Doc.ai のチーフサイエンスオフィサーでもある。このオンライン教育の取り組みは AI を民主化するため、そして基本的なコーディングの知識がある者であれば誰でも AI モデルをデプロイできるようトレーニングするためにデザインされており、世界中から数十万人が受講している。PyTorch 1.0で Fast.ai のディープラーニングライブラリをどう使うのかといったような他のコースも利用可能である。

Crestle は Fast.ai のコース受講者向けに特化して、元受講者である Anurag Goel 氏によって作られた。Fast.ai のコースから生まれたその他のスピンオフには、目が不自由な人が対象物を見分けるよう手助けするアプリ Envision や、コンピュータビジョン駆動の Not Hotdog アプリなどがある。Not Hotdog は HBO で放送された TV ドラマ『シリコンバレー』に登場したアプリで、エミー賞にノミネートされた

スケール可能なようにプラットフォームをリライトしたことで、Fast.ai のコースの参加者にとって Crestle は最良の選択肢になると Howard 氏は考えている。

Howard 氏はこう述べた。

受講者が使用する際に、すべてのスケーラビリティがきちんと機能するようにしなければなりません。ですが現時点では、ワンクリックの Jupyter Notebook のアプローチに対しては、最良の選択肢であるのではないかと思います。そして、フル Linux 環境のアプローチですが、弊社は現在 Google Cloud を推奨しています。Google Cloud の価格は本当に素晴らしく、そして Fast.ai の受講者向けに特化した環境がそろっているためです。

Google Cloud Platform は Fast.ai のライブラリ、データセット、そしてレッスンを組み込んでおり、コース参加者に向けて Linux サーバのソリューションを用意することもできる。Fast.ai のコースのマテリアルをサポートする AWS SageMaker は、今後数週間のうちに利用できるようになる予定だと Howard 氏は述べた。

この秋の Fast.ai Live のコースと2019年1月の Fast.ai MOOC の参加者は、AI モデルのトレーニングのためにクラウドで Crestle GPU を無料で使えるようになる。

Crestle は現在 Google Cloud が提供している。以前のバージョンは AWS から提供されていたと、同社の広報担当者は VentureBeat に語った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録