自動運転配車サービスのRidecell、シリーズBラウンドでの調達金額を6,000万米ドルに拡大

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Image Credit: Ridecell

カーシェアリング、ライドシェアリング、ライドヘイリングを提供する企業にはある共通点がある。これらの企業は極めて洗練されたバックエンドシステムを用いて車両を時間通りに運航させる。Ridecell はこのようなサービス型ソフトウェア(SaaS)ソリューションを提供する企業で、LG やソニーといった投資家の注目を集めている。

サンフランシスコに拠点を置く同社は13日、5月に完了した2,800万米ドルのシリーズ B ラウンドをおよそ2倍以上の6,000万米ドルに拡大することを発表した。現在 Activate Capital がリードするこのラウンドには、Munich Re の ERGO Corporate Venture Fund、LG Technology Ventures、BNP Paribas、Sony Innovation Fund、Ally Ventures、Khosla Ventures が参加する。

これらの投資家が、初期の投資家である Cox Automotive、Initialized Capital、デンソー、Penske、Deutsche Bahn、三井物産の列に加わることになる。Activate Capital との取引の一環として、マネージングディレクター兼共同設立者の Raj Atluru 氏が Ridecell の取締役会に加わることになった。

Atluru 氏は次のように述べた。

Ridecell への投資、および同社の素晴らしい戦略的投資家の皆さんの一員に加われることを発表できるのを大変嬉しく思います。輸送業界はその根本から、またあらゆる面において一気にディスラプトされています。世界規模で都市化が進む中、モビリティサービスは個人で車を所有するという意味を揺るがし、車両の電動化と自動化もさらに広がっていきます。Ridecell のプラットフォームはこれを実現するのに必要な、参加者のエコシステムの橋渡しと構築を行っています。

Ridecell の共同設立者である Arun Elangovan 氏と Aarjav Trivedi 氏は二人ともジョージア工科大学の卒業生である。当初は、Y Combinator の支援を受けた Uber や Lyft と同じようなライドシェアサービスだと見られていた。彼らは Summon(元 InstantCab)を2012年にローンチし、2015年までサンフランシスコ、オークランド、バークレー、エメリービル、イーストベイの一部でサービスを提供していた。しかし、競争が激化したため車両管理に軸足を移すことにした。

CEO を務める Trivedi 氏は、Ridecell のテクノロジーを「クラウドベースのモビリティ」エンジンだと説明する。同社の20社以上におよぶ顧客には、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、3M、SouthWest Transit、BMW、Groupe Renault、Ferrovial、AAA Northern California, Nevada & Utah が名を連ねる。これらの企業は Ridecell のサービスを利用して車両の位置やメンテナンスのスケジュールを管理している。

たとえば BMW の ReachNow は、サービスを提供している都市(現時点ではシアトル、ポートランド、ブルックリン)で3シリーズセダン、Mini Cooper、または i3の充電量がしきい値を下回った場合、充電スタンドで止まるようカーシェアリングの利用者に通知してくれる。また、夜間よりも日中の方がカーシェアリングの需要が高いといった有用な情報を利用状況データから引き出している。

一方で、Ridecell のクライアントであるカリフォルニア大学や、バークレーとサンタクララバレーの交通局などは、バスの乗車率を上げるために同社のサービスを利用している。

同社は初期の勢いをそのまま利用して、自動運転を使った運行管理という新しい市場に打って出ようとしている(最近ではサンフランシスコで電動スクーターの認可を申請している)。2017年、カリフォルニアに拠点を置く無人バス開発企業 Auro Robotics を買収した。Trivedi 氏によると、この買収によって、テーマパークやビジネスパーク、リゾート地、高齢者居住地区といった私有地で同社の自動運転製品群のテストができるようになるという。

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Auro の無人運転シャトル
Image Credit: Ridecell

買収以前には、Auro はバッテリー駆動型でライダーを搭載したレベル4のバスをアメリカ国内の複数の大学でテストし、サンタクララ大学ではキャンパス内に車両を走らせていた。これらの車両は現在も毎日運航している。

Ridecell は最近、カリフォルニアの公道でバスを走らせるための認可を取得した。このバスは自動運転を使った運行管理プラットフォームによって最高時速25マイルで走り、乗客を乗せて特定の地域内を行き来する。このプラットフォームを使えばバスをガレージに戻して日常保守を行ったり、現場で発生した問題に対応するためのサポート車両を派遣したり、バスに乗車できる人員を管理したりすることができる。

Ridecell は成長に向けて絶好の位置にいると Trivedi 氏は言う。2030年までにすべての移動距離のうち3分の1はシェアリングサービスが占めるようになるという。Fujitsu America の最近の研究でもこれと同じような予測をしており、今後12年でカーシェアリングの利用率は50%以上になるとしている。

同氏は車を所有するにはコストがかかりすぎるとも指摘する。ガソリン車の1マイルあたりの平均コストは0.70米ドルである(車両の価格、ガソリン代、維持費を含む)。

クラウドベースのモビリティプラットフォームと自動運転車両という新しいテクノロジーには既存の価値基準を打ち砕く可能性があり、このことに気付き始めた投資家たちは、その関心を日に日に高めています。今後も自動運転モビリティの実現に向けた大きな目標を達成し続けていきます。今も、単一のクラウドベースソリューションを使った、有人および自動運転のオンデマンド車両サービスのサポートを行っています。(Trivedi 氏)

Ridecell はアメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアのオフィスに120人以上の従業員を抱え、2,000万マイル以上にわたって2,500万件以上のライドとレンタルを処理してきた。現在までに合計で7,000万米ドル以上を調達している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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