旅行中ツアーを即時予約できる「タビナカ」が総額3億円の資金調達、海外子会社の複数展開でグローバル進出を加速

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写真左より財務担当の高橋宏治氏、同社代表取締役の三木健司氏、取締役の今野珠優氏、同社フィリピン法人元代表取締役の千葉史生氏

ズボラ旅TRAVEL Nowと旅行領域サービスが次々に登場し、盛り上がりを見せる2018年。そんな中、タビナカは2014年4月から海外旅行中のアクティビティツアーを提供している、5年目選手のスタートアップだ。

同社は11月11日、総額3億円の第三者割当増資の実施を発表した。出資は複数回にわかれて実施されており、総額2億円超で1回とそのほか数回。引受先となったのは、ソースネクストおよびベクトルと複数の個人投資家だ。株式比率は公開されていないが、取材時の話では「今回の資金調達では個人投資家が多くを占めている」ということだった。各調達タイミングや調達額および払込日などの詳細は非公開となっている。

<公開されている引受先となった個人投資家一覧>
・Hey代表取締役の佐藤裕介氏
・スガシタパートナーズ代表取締役の菅下清廣氏
・楽天元最高財務責任者の高山健氏
・Drone Fund General Partnerの千葉功太郎氏
・ストームハーバー証券元取締役社長の那珂通雅氏
・クレディ・スイス証券元最高経営責任者のPaul Kuo氏
・レオス・キャピタルワークス代表取締役社長兼最高投資責任者の藤野英人氏
・アイランドクレア代表取締役の吉田行宏氏

海外現地のツアーやアクティビティを提供する「タビナカ」を運営する同社。サービス開始当時はガイドが旅行者に対してツアーを提供するCtoCモデルをとっていたが、自社でツアーを制作するD2Cモデルに切り替えた。現在ではツアー用の車の手配などを含め、全て同社もしくは子会社が企画や制作を実施している。

現時点での提供ツアーは約5000種類、月間の申込額は約1億円に及ぶ。セブやバリ、台湾といったリゾートのツアーが人気で、申込者は外国語が話せない、海外が不安という人や旅の快適性にお金を払う層が多いということだ。

集客はオンラインがメインだが、即時予約機能の公開をきっかけに飛行機の機内誌など旅行中に目にするオフライン広告にもマーケティングを進めている。

今回の資金は海外拠点の設立やM&Aおよび在庫適時管理システムの開発推進に充当。在庫管理システムは、ツアーの管理を独自システム化し、何月何日に何人がツアー参加できるかを割り出せるようにしたもの。これにより、ツアー申込後に確定まで時間がかかっていた部分を即時予約で対応可能にした。

海外展開をスタンダートとして戦うスタートアップ

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同社の海外子会社は現時点でインドネシアのバリ島、フィリピンのセブ島、台湾、メキシコのカンクン、アメリカにある5社。すでに他の残り5カ国の拠点への進出も調整中だ。同社代表取締役の三木健司氏は海外拠点の設立やM&Aについて次のように話す。

「ユニクロや星野リゾートのように、弊社ではツアーという海外にすぐに展開していける在庫を多く抱えています。セブ島のマーケットだけを見ても、日本の旅行者は半分程度、残り半分の外国人観光客にもアレンジして同じツアーを提供できます。これを世界各地で実施し、タビナカマーケットで世界一を目指しているのが僕らです」(三木氏)。

同社のメンバーは元起業家や海外で事業を立ち上げて売却した経験を持つ人で構成されており、取締役の今野珠優氏も事業売却の経験を持つ。三木氏や今野氏だけでなく、海外ビジネスに強いメンバーが海外を数泊ずつ渡り歩いていくことで、子会社設立を進めるスタイルをとっているそうだ。

今回の資金調達では、「シリーズAに相当するラウンドで個人投資家が引受先の中心となっている」という話であったが、なぜこのような株主構成になったのかも三木氏に聞いてみた。

「グローバルで戦っていける領域と戦略でビジネスが成り立ってきていること、海外での会社立ち上げを日本人がするのは難しくても、ローカルに馴染んでストレスなく進められるメンバーがいることが、応援してくれる人たちに評価していただき、巻き込めていけているからだと思っています」(三木氏)

今後はタビナカ内だけでなく、保有する在庫を他社プラットフォームで販売することも検討中。将来的にはツアー以外のタビナカサービスも視野に入れている。

 

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