Facebookの元CIOが設立したスタートアップWoven、カレンダーの機能強化を目指す

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Image Credit: Woven

Tim Campos 氏は、カレンダーは使えないものだと思っている。Facebook の元 CIO として、知っているのだろう。6年間、無数の電話会議や重役会議を調整する中で、実に「融通の利かない」「発達しない」カレンダープラットフォームをいくつも使ってきたのだから。

カレンダーがしないことは、たくさんあります。

Campos 氏は VentureBeat に電話インタビューで語った。

実際、調整はしないのです。驚きですよね。私たちは、カレンダーに記入するということを活動の1つと捉えていますが、実際の調整は e メールやテキストメッセージで行うのですから。意外にも、会議の準備やフォローアップではカレンダーを使わず、他のツールを使っているのです。それに、どのような時間の使い方をしているのか、カレンダーに質問することもできません。

このような不満や他の不満もあって、Campos 氏と Facebook や Google の元主任技術者である Burc Arpat 氏は、Woven という、ナレッジワーカーのための〝インテリジェントカレンダー〟を作成した。マウンテンビューを拠点とする Woven は8日、Battery Ventures がリードし、Amplify Partners、Felicis Ventures、その他未公表の個人投資家が参加する480万米ドルのシードラウンドを発表した。

Battery Ventures のゼネラルパートナー、Dharmesh Thakker 氏は以下のように話している。

Tim 氏と Burc 氏は、テック業界の中でも最も頭脳明晰な方々の中に入ります。Facebook と Google では、二人とも職場の生産性を最高レベルにまで向上させることに密接に関わってきました。今、より幅広い時間管理に取り組むことで、同じことを私たちみんなのために行っているのです。今回ローンチした Woven のアプリは、スケジューリング全体を完全に再考するための第一歩にすぎません。このアプリは生産性を劇的に向上させるために AI を使用しています。

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Woven Calendar アプリ内からミーティングの場所を地図上に表示しているところ
Image Credit: Woven

Woven Calendar アプリは11月第2週からウェブと iOS で無料で利用可能だが、最終的には G Suite(まもなく Office 365も)を専用のグラフ技術に接続し、他の人とも「簡単に接続」できるようにすると Campos 氏は述べる。他のカレンダーともだ。Woven Calendar では、e メールやスケジュール、資料をカレンダーの予定に添付することができる。添付は自然言語のリクエストを認識する会話ボットを通すか手動で行うことができ、Woven の人工知能(AI)の提案エンジンがガイドする。

Campos 氏は次のように語る。

弊社が重視している領域は、情報資産としての時間です。弊社のソリューションは、カレンダーはどこにもいかないという前提で始まっています。Microsoft とGoogle が構築したカレンダー製品は……おそらくここにとどまる可能性が高い、というものです。

Woven Calendar は一見するとプラグインのように動く印象なのだが、それは完全に間違いというわけではない。ウェブでは、いくつかのショートカットアイコンがついたサイドバーがスクリーンの左側に広がっており、隣にあるカレンダーを一部見えにくくしている。だが、目に映るよりはるかに洗練されている。

2名間で提案されたミーティングの場合、Woven Calendar アプリか、前述したチャットボット([email protected])に転送した e メールから始まり、Draft Events に表示される。まだ正式なスケジュールになる前の、進行中の予定項目のリストだ。各エントリーには、Gmail から取り込んだ、ミーティングに関するタイムスタンプの入った e メールのスレッドが入っており、自由自在に作動させることができる。

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Woven Calendar 内で e メールをスレッド表示させることができる
Image Credit: Woven

Woven は、日付とミーティングの長さをお互いの空き具合や学習した好み(AI の結果)から提案するが、X.ai などの自動会議スケジューラーと異なり、時間が固まっていない参加者に定期的に通知したりしない。これは設計上の配慮だと Campos 氏は説明する。

私たちは、カレンダーへ記入するということを社会的な活動だと考えています。人々の間の関係性を保つことは重要です。必ずしもテクノロジーを人々の間に導入するのではなく、むしろ傍に寄り添う形で導入したいと考えています。

ミーティングが記入されるとすぐ、Woven Calendar のアプリやテキストメッセージ、e メールのいずれかで参加者全員に通知が送られる。また、Woven はミーティングから地理的なビューを Google マップの上に作成し、物理的なミーティング場所と最適なルートをハイライトする。

ロケーションフィールドに記載された電話番号やテレビ会議ブリッジは、自動的に抽出し、リンクにする。将来的には、Woven のボットがカレンダーのエントリーにカンファレンスブリッジを追加できるようになるという。

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モバイルの Woven ボット
Image Credit: Woven

Campos 氏はこのように話す。

移動の視点から、どのような影響を及ぼすか見ることができます。1日がどういう風になるかわかるのです。

では、ぎりぎりでキャンセルされたらどうなるのか?Woven は、ここもカバーしている。Woven Calendar で予定を削除すると、すべてのカレンダーから削除し、関連する情報はそのままで下書きの状態に戻す。添付資料や時間に関する元々の提案、e メールのスレッドさえもそのままだ。

ビジネスモデル

Woven は常に無料枠を提供する予定だと Campos 氏は説明するが、将来的な機能のいくつか(サードパーティのシステムやアプリとの統合など)は、有料化するという。その1つが分析機能だ。Woven は、将来的に会議の参加者の履歴や行動の洞察を提示してくれるかもしれない。例えば、以前に何回会っているかというようなことだ。

最終的には、Campos 氏は企業ごとにグラフ技術をカスタマイズして提供しようと考えている。

弊社の長期的なビジネスモデルとしては、Woven Calendar を導入の一種として使用し、皆さんがいくつかの機能を試すチャンスを提供したいと思っています。同様のものを会議室や設備の制約が多い企業に提供することを想像してみてください。管理者のいない組織では会議室を探すのは非常に難しいのですが、このような技術を使えば、本当に、本当に、シンプルにできます。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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