CADソフト最大手のAutodesk、建設工事の入札・調達管理プラットフォーム「BuildingConnected」を2億7,500万米ドルで買収

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デザイン特化ソフトウェア会社 Autodesk は、一ヶ月の間に2つ目の工事関連スタートアップを買収した。同社は、不動産オーナーや契約事業者が、調達入札を実施したり優れたベンダーを調達したりできるプラットフォーム「BuildingConnected」を買収することで合意したと発表した。現金取得控除後の買収金額は、2億7,500万米ドルとなる。

このニュースが届く1ヶ月前、Autodesk は工事業界の生産性ソフトウェア企業 PlanGrid を8億7,500万米ドルで買収することに合意し発表したばかりだ。また、Audodesk は PlanGrid の買収を12月20日に完了している。Autodesk はまた、工事ソフトウェア会社の Assemble Systems を2018年7月に買収している。

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Autodesk は CAD ソフトウェア製品群を販売しているが、その顧客は建築家からエンジニアリング、製造業、建設業界へと及ぶ。前述した一連の買収を通じて、同社が設計分野だけでなく、より広範にプロジェクトの着手から完成までを一環して扱うサイクルへと進出しつつあることが明らかになった。

Autodesk CEO の Andrew Anagnost 氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

我々は、工事のワークフローのデジタル化や自動化に投資を進めている。Autodesk の目標は、設計、建設、運用までの一連の工事プロセスをつなぎ合わせることだ。

BuildingConnected は、名刺ホルダー、ホワイトボード、メール、スプレッドシートから、簡単に使えるデジタル入札プラットフォームへと変化する中で、その多大な価値を顧客に証明してみせた。

建設業界の生産性の低さ

建設業界は、その効率性で有名というわけではない2016年に発表されたマッキンゼーの報告書では、建設業は生産性が最も低い業種の一つにランクされており、これはデジタル化が十分ではないことに起因していると報告書は伝えている。10兆米ドル規模の建設業界に多くのプレーヤーが参入しているのは、そういう理由からでもある。

2012年にサンフランシスコで設立された BuildingConnected は、関係者の全てが調達入札を実施したり、ベンダーを確認したりできるソフトウェアを通じて、工事業務の下準備の効率化を目指している。BuildingConnected には入札をまとめて管理できる CRM
機能が備わっているほか、サードパーティのカレンダーアプリと連携して、アポやスケジュールの管理も支援する。

BuildingConnected

BuildingConnected は創業以来、昨年実施した2,200万米ドルの調達をはじめ、総額でおよそ5,300万米ドルを調達している。多くのスタートアップが建設業界をディスラプトすべく奮闘を続けているが、その中でも、工事会社のプロセス管理や情報集約を支援すべく、さまざまなソフトウェアや分析プロダクトを提供しているパリ拠点のスタートアップ Finalcad は2018年12月中旬、4,000万米ドルを調達したばかりだ。また、OpenSpace という別のスタートアップは、ヘルメット搭載のカメラを使って工事現場やチャートから進捗状況を記録できる Street View 風の技術を開発した

Autodesk は BuildingConnected を買収したことで、工事の下準備ソフトウェアのラインアップを強化し、リスク分析、調達入札の実施をカバーできるようになる。

BuildingConnected の共同創業者で CEO の Dustin Devan 氏は、次のように付け加えた。

入札が建設プロジェクトの最初のステップとなるため、入札管理は工事の下準備において重要だ。我々が提供する、これまでになかった下準備ツールは、顧客の時間とお金を節約する。

Autodesk は上場してから30年以上経つが、前 CEO の Carl Bass 氏が2017年2月に退任以来、同社の株価は急上昇している。それ以来の数ヶ月間で、株価は60%以上上昇し130米ドルをつけた。

Autodesk は、BuildingConnected の買収が2019年1月末に完了する見込みであると述べている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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