インフルエンサーやライバーマネージメント事業のCoupe(クープ)、「藤田ファンド」から出資を受けサイバーエージェントグループ入り

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左から:サイバーエージェント・キャピタル 代表取締役 近藤裕文氏、サイバーエージェント 代表取締役 藤田晋氏、Coupe 代表取締役 竹村恵美氏、サイバーエージェント・キャピタル インベストメントマネージャー 北尾崇氏
Image credit: CyberAgent

Coupe は4日、サイバーエージェント(東証:4751)の藤田ファンド(若手経営者応援を目的とした活動の通称であり、正確にはファンドではない)から出資を受けたことを発表した。サイバーエージェントが Coupe の株式を取得したことにより事実上のグループ入りとなる。

藤田ファンドからの出資金額、サイバーエージェントによる Coupe の株式持分などについては明らかにされていないが、関係者によれば、Coupe にはサイバーエージェントグループ以外の企業とも取引関係があることや、将来的なイグジットの可能性を考慮して、完全子会社にはしていない模様。Coupe の共同創業者兼代表であり、自らもエンジニアでモデルである竹村恵美氏が、今後も同社の経営指揮をとる。

Coupe は2012年5月、当時女子大生だった竹村氏らが、サロンモデル探しを簡単にするウェブサービス「Coupe(クープ)」させたのが始まりだ。この際、サイバーエージェント・ベンチャーズ(現在のサイバーエージェント・キャピタル)からシード資金を調達している。現在、登録サロンモデルは710名、利用する美容師は8,000名、累積マッチング数は15,000件を超えているという。

Coupe のサロンモデル探しのサービスは好調で、登録している人の中には、月に15万円〜20万円稼いでいる人現れている。ただし、サロンから支払われる報酬は Coupe がほぼ介入せずにモデルに支払われるため、Coupe にとっては売上には大きく貢献しない状況が続いていた。そこで着手することになったのが、インフルエンサーやライバーのマネージメント事業だ。

インフルエンサーやライバーマネージメント事業が売上の核に

COUPE MANAGEMENT 専属モデルの3人。左から:齋藤天晴氏、相馬理氏、新納侃氏
Image credit: Coupe

1年ほど前、Coupe はマネタイズ強化の観点からインフルエンサーやライバーマネージメントの事業「COUPE MANAGEMENT」を立ち上げ、17 Live、OPENREC.tv、SHOWROOM、Pococha Live、MixChannel、LINE LIVE といった6つのプラットフォームとオーガナイザー契約を締結した。

これを可能にしたのは、Coupe に多く在籍する Coupe モデルの存在だ。竹村氏によれば、毎月400〜700名の新しいモデルの流入があり、Coupe モデルとしては常に700名ほどが在籍。特に男性モデルが多く、人気上位のモデル12名とは専属契約を結んでいるそうだ。芸能事務所などに在籍するパフォーマーとは対照的に、ライバーは個人が持つ情報発信力が高く、クライアントと良好な関係を自ら維持できる人が多いという。

ライバー支援をするプロダクション、広義で言えば芸能事務所にも、今後新たな価値の提供が求められるようになるだろう。ライバーが個人で自分を売り出せるようになリつつある以上、インスタグラマーのキャスティングだけに特化しているようなサービスは、やがてコモデイティ化してしまうかもしれない。Coupe では、素養のある人気ライバーの卵を発掘し、SNS を使ったファン付けなど、一から育て上げるような努力も始めているという。

ターンアラウンドマネージャーとしての北尾氏の存在

アナウンサー志望だった竹村氏が、美容師の友人が抱えていた悩みに耳を傾け、Coupe を作ったのが今から4年前。当初は大学卒業後には内定先に就職するつもりだったが、Coupe がユーザに広く受け入れられていくのを目の当たりにし、次第に手放すのが寂しくなり、内定辞退を決めて Coupe を会社登記したという。その後もユーザは成長傾向にあったが、売上が伸び悩む中で Coupe にとって分岐点となったのが2017年10月頃、サイバーエージェント・ベンチャーズ(当時)の北尾崇氏の参画だ。

出資元である VC の一担当者という役回りを超えて、北尾氏は Coupe のために政策信用金庫の融資を取り付けてくるなど、さまざまな経営支援を行った。竹村氏と北尾氏のスキルセットが全く異なることから、相互補完の関係を作ることができたのは良かったという。こうして、竹村氏や北尾氏が力を注げば注ぐほど伸びるという状態が生まれ、ライバーマネージメントの事業が順調に成長していった。

資金を他の VC や事業会社から調達する選択肢もあったと思われるが、竹村氏がサイバーエージェントグループ入りを決めた背景には、北尾氏らをはじめとするサイバーエージェント・キャピタルのハンズオンの存在があるようだ。もちろん、ABEMA TV などとの連携も考えられるが、所属するライバーたちの活躍の場を広げるという点では、なるべく多岐にわたるプラットフォームと取引関係を保てることが望ましい。今回のグループ入りが、業界全体の醸成に貢献する可能性も期待したいところだ。

今回の出資、グループ入りを受けて、サイバーエージェント 代表取締役の藤田晋氏、サイバーエージェント・キャピタルの代表取締役 近藤裕文氏が Coupe の役員に就任することも明らかになっている。

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