既存飲食店にテイクアウト送客・事前注文&決済アプリ「PICKS」運営、プレシリーズAで7,000万円を調達——今秋の消費税引き上げも追い風に

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DIRIGIO 経営陣と出資者の皆さん。右から4番目が CEO の本多祐樹氏。
Image credit: Dirigio

飲食店向けテイクアウト送客・事前注文・事前決済を提供するアプリ「PICKS」運営の DIRIGIO は4日、プレシリーズ A ラウンドで7,000万円を調達したと発表した。なお、この調達金額には政策金融公庫からの融資を含んでいる。

今回のラウンドに参加したのは、個人投資家の赤坂優氏、有安伸宏氏、Japan Angel Fund(赤坂氏と有安氏は、共に Japan Angel Fund の出資者である)、iSGS Investment Works。なお、DIRIGIO は2018年5月に個人投資家の西川順氏と、Klab Venture Partners からシードラウンドで数千万円を調達しているが、両既存投資家は今回のプレシリーズ A ラウンドにも出資している模様だ。

PICKS は中食市場をターゲットに据えたアプリだ。飲食店が店舗内での営業に加え売上アップを目指す場合、出前やテイクアウトの実施が考えられる。出前は配達要員を店舗で抱えようとするとコストがかかるし、繁忙時間帯には対応しにくい。Uber Eats や楽天デリバリーのようなサービスに集客や配達を依頼した場合は、飲食店は売上の平均35〜40%を手数料として持っていかれてしまう。そこで店頭での商品の引き渡し、テイクアウトや中食という言葉でカテゴライズされる市場に期待が集まる。

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「飲食店.COM」が行ったアンケート調査では、飲食店の45.6%がテイクアウトを実施していると回答。一方で、店舗にはテイクアウトの販促チャンネルが無い、事前に注文を受け付けるにも電話や FAX しかない、店頭注文の場合にはお客が待たせてしまうなどの課題があった。PICKS では、ユーザが自分の居場所をもとに付近のテイクアウトできる店舗を検索、事前に注文・決済し店舗に出向くだけで商品を即座にピックアップできる。

2018年5月のサービスローンチ以降、東京はもとより、沖縄や北海道を含め175店舗に導入。手数料が抑えられているため、飲食店に導入のハードルが低くなっているのも特徴だ(手数料を10%に設定しているが、無期限で手数料を無料にしている。ユーザグロースを優先し、将来的に新たなビジネスの開発を模索しているようだ)。今年10月からは消費税が10%に引き上げられるが、飲食店では同じ商品でもテイクアウトの場合8%の軽減税率が適用されるため、このことも PICKS の導入や普及に追い風となりそうだ。

これまで PICKS はユーザ流入をオーガニックなものに頼っていたが、今回調達した資金を使って、広告の適正出稿や集客メディア化に注力する。また、店舗開拓を図り、飲食店1,000店舗の確保、一店舗あたり一日の取扱高3,000円、年間流通額10億円を当面の目標に据えており、今後、フードコートやデパ地下、大手企業との協業などで事業拡大を図る模様だ。

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類似した業態としては、Showcase Gig の「O:der」や、広義では「DANX」や「TLUNCH」に代表されるフードトラックなどが挙げられる。これらのサービスとの決定的な違いとして、DIRIGIO CEO の本多祐樹氏は THE BRIDGE のインタビューに対し、Picks がネットワークエフェクトのあるプラットフォームを目指している点ではないか、と語ってくれた。便利さや人気店の情報が集まっていることがウケて、ユーザがユーザを呼び込むサイクルが既に生まれているのだという。飲食店にとっても「新たなシステムを導入するというよりも、売上を伸ばす仕組み」としての受け入れられ方が定着しているようだ。

DIRIGIO では、Kotolin for Android、iOS エンジニア、フルスタックエンジニアなどのエンジニア、店舗開拓のための営業人員の採用も強化したいとしている。

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