移動をインセンティブに変える「アルクコイン」のリアルワールドゲームス、UHA味覚糖、SNKから資金調達

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リアルワールドゲームス代表取締役の清古貴史氏

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿

ニュースサマリー:ブロックチェーンを用いた位置情報ゲームを開発するリアルワールドゲームスは2月12日、UHA味覚糖およびSNKを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は約7300万円で、累計調達額は約3億7000万円になる。各社の出資比率や払込日程などに関する詳細は非公開。

RWGの創業は2017年2月。健康促進を目的とした位置情報ゲーム「ビットにゃんたーず」のデモ版を昨年9月より運用している。同ゲームでは位置情報を利用した実世界における活動を通じて、同社が開発する仮想通貨「アルクコイン」を獲得することが可能。

話題のポイント:リアルワールドゲームスは現実世界における位置情報とブロックチェーンを結びつけることで、移動することに対するインセンティブを新たに作り上げようとしています。

例えばFoursquare社は位置情報とSNSをリンクさせることで、「位置をシェアする」ことに付加価値を付けることに成功しました。リアルワールドゲームスが取り組む事業では、これにブロックチェーンを加えることで、暗号通貨によるインセンティブ設計を可能にしているのが特徴です。

本稿ではリアルワールドゲームス代表取締役の清古貴史氏に今後のブロックチェーンゲーム界の展望と、企業としてのビジョンなどをショートインタビューしてきました(太字の質問は全て筆者、回答は清古氏/取材・執筆:増渕大志、編集:平野武士)。

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位置ゲーと暗号通貨は相性がよさそうに思えますが、第一に企業としてどのような未来を描いているのでしょうか

清古:歩いた結果貰えるコインが世界中のお店で簡単に使えるようになれば、人はもっと街を歩くようになると思うんです。私は街を再発見しつつ歩くことで人々が健康になり、地域が活性化する未来が理想だと思っています。

20年前から地域通貨やトークンエコノミーの可能性に魅せられていました。そのため、会社のビジョンである「健康で充実した毎日を提供する」を達成するために位置情報ゲーム、インセンティブ設計としての暗号通貨はベストマッチだと考えたんです。

技術的にブロックチェーンを採用した理由は

清古:ブロックチェーンのトラストレスをベースに、課題毎のトークンを設計・発行することで税金や会社の経費といった法定通貨を使わなくても課題解決に繋げられる可能性が出てきます。こういったことも技術としてのブロックチェーンに目をつけた大きな理由です。信用創造を通じた課題解決と適正な受益者負担及び貢献者優遇を実現したいです。

どうして位置ゲーを選んだんですか

清古:元々は歩いたらビットコインが貰えるリアルワールドゲームを企画したのが始まりです。ただ、その場合はビットコインの原資になるものが必要になります。そこで発行体として仮想通貨を発行する方法に変えたのが経緯ですね。

確かに自社が通貨発行体になればポイントのように自由な設計が可能になります

清古:原資が必要なくなるだけではなく、トークンエコノミーにより初期プレイヤーや提携企業等のパートナーに手厚いインセンティブが設計できるようになるのも魅力でした。そこでプラットフォームにはイーサリアムを選択しています。

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ところで清古さんは位置ゲーが好きなんですか

清古:ナイアンティック社が提供する「ポケモンGO」の前身である「Ingress」のプレイヤーなんです。リアルワールドゲームで地球半周分位歩いて健康になったんですよ(笑。

ポケGOで改めて思いますがIngressのファンは熱狂的ですよね。街中でモバイルバッテリー片手にしている集団をみるとポケGOかIngressどちらかと思ってしまいます

清古:その経験から、このリアルワールドゲームに仮想通貨のインセンティブを追加すれば多くの人々を税金や保険料から解放して健康にすることができると確信しました。

健康はインセンティブとして何物にも変え難いですね(笑。ちょっと技術的な話に話題変えますが、チェーンはどのような状態で運用されていますか?

清古:イーサリアムのメインネットでERC20トークンのアルクコイン(ARUK)を発行し、ユーザーに無償配布している状況です。

独自コインの発行はここ1、2年、センシティブな時期が続いています。注意されている点は

清古:法定通貨に紐づいたICOやプレセールのような方法は確かに規制されていますが、ARUKはあくまで無償のポイントを扱うようにしています。まず、プレイヤーが歩く目標物(ネコスポット)を申請し、承認された結果として無償でポイントを付与します。これを弊社が発行したARUKに一方向で交換する、という形式です。

これにより仮想通貨交換業に該当せず、メインネットの仮想通貨を用いたトークンエコノミーを日本で運用可能にしました。

イーサリアムを選択した理由は

清古:ERC20は仮想通貨交換業者で取り扱われる際に交換業者の技術者を含めた体制が整っています。外部的な要因に素早く対応する為には情報を発信する人を含めたエコシステム(正のネットワーク効果)を評価して判断します。

ARUKのコンセプトである「Proof of Walk」は広義の「Proof of Human-work」にあたります。真のProof of Human-workを実現することは大変困難ですが、自動化できれば、人の行動を大きく変えるインセンティブとなると思ってR&Dを進めています。

ありがとうございました!

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