ズボラ旅で「海外旅行」も行ける!ーーチャット旅行ガイド開始1年、有川氏が目指す「もっと旅に行けるサービス」の未来像

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ニュースサマリー:行き先を決めずにLINEチャットで旅行相談できる「ズボラ旅 by こころから」を提供するHotspringは4月23日、海外旅行の取り扱いを開始したことを発表した。今回追加となる海外の国々は10の国と地域で、以下の通り。

台北(東アジア)
グアム(アメリカ)
香港(東アジア)
バリ(インドネシア)
ソウル(東アジア)
セブ(フィリピン)
シンガポール(シンガポール)
ホーチミン(ベトナム)
バンコク(タイ)
ハワイ(アメリカ)

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約1年前にあたる2018年05月にリリースした「ズボラ旅」は、行き先や予算を決めずとも、チャットベースで旅先の提案から予約までを一括してくれるサービス。旅行に関わる下調べや事前知識など、意思決定にかける時間を出来るだけなくすことで、より「気軽に旅行に行ける」世の中を目指している。

話題のポイント:リリース時に3時間で数千件の問い合わせを受け、運営がパンクするなど注目度の高さが印象的だった同社。

約1年が経過した中でサービスにどのような手ごたえを感じ、「トラベル×テック」業界にどのような可能性を見出すことができたのか。今回は、ズボラ旅が目指していく今後の未来像や「トラベルスタートアップのこれから」を中心に、同社代表取締役の有川鴻哉氏に話を聞いた(文中の太字の質問は全て筆者。回答は有川氏)。

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ズボラ旅リリースから1年。サービスの現状はどうでしょうか

有川:すでに『ズボラ旅』によって旅行を実現されているお客さまからの反応はとても良く、積極的にSNS等で紹介していただけるなど満足度を高く保てているなと感じています。ただ、想定より狭い範囲の利用者層で止まってしまっている感覚があるのも事実です。そのため、今回の海外旅行の取り扱い開始をきっかけに、今まではリーチできなかった様々な層の方に利用して頂くサービスを目指していきます。

なるほど。トラベル×テックの性質上どうしても利用者層が固定してしまう課題点がある

有川:そうですね。そのため、海外旅行の取り扱い開始のためのリソース投下や、コンビニ後払いの提供を中止して純粋に「もっと旅にいけるサービス」として体験を作り込み、利用者様の幅を増やしていくことに専念しているのが現状です。

コアサービスの充実度向上にフォーカスしている、ということですね。では、海外旅行の取り扱い開始で期待することなどあれば

有川:様々な層といってもこれまで同様に、普段あまり旅行を実現できていないお客さまを想定していることは以前と変わりありません。特に海外旅行ということで、国内旅行よりも情報収集や予約のハードルが高いと感じるお客さまが多いという仮説を抱いています。そのため、実際に提供する旅行の内容はオーソドックスなものですが、そのようなお客さまが気軽に、そして安心して海外旅行を実現できるようなサービスを目指します。

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つまり国内旅行と海外旅行の選択肢を並列に考えられるようになったということですね

有川:その通りです。例えば、週末に温泉地に旅をしたいと考えるお客様はいても、並列に海外旅行を検討(≒比較)するお客様は少ないです。だけど、実はシーズンによっては身近な箱根や草津に行くのと同じ値段で韓国に行けたとか。結構な頻度で海外へ行くチャンスが知らないだけであったりするんです。ズボラ旅が海外旅行を扱うことで、”海外旅行潜在層”へ向けた新たなアプローチになることを期待しています。

リリース当初の『ズボラ旅』コンセプト(旅行に行くまでのサポート)は今まで通りなものの、”体験”をアップデートさせていく

有川:そうですね。もちろん旅行経験が豊富なお客様へのサービス提供も将来的には考えています。ただ、旅行の経験が豊富な方とあまり旅行したことが無い方が充実できるサービスの間には大きな隔離があると思います。そのため、まずはしっかりと足場を固める意味でも「より旅行にいけるサービス」を構築するため、そのエリアでの拡大にトライしている現状です。

なぜ旅の「意思決定」サポートが重要なのでしょうか

有川:例えば旅に行き慣れていると、どのシーズンのどの国・地域ならば比較的お手軽な価格で訪れることが出来るといった感覚を得やすくなると思います。私たちは、普段あまり旅行を実現できていないお客さまにもそのような「気付き」をチャットを通して提供し、さらにその後の予約までのフローも簡潔化させることがズボラ旅で達成できればと考えています。『情報へのアクセス』から『意思決定』のサポートを通して、より旅行に行きやすい世界観を作り出していきたいです。

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なるほど。チャットという手軽なツールを通して旅の提案をすることのメリット・デメリットは

有川:この1年間、ズボラ旅を通してあらゆる方にチャットを通した旅のご提案を差し上げる機会がありました。もちろんその気軽さは、私たちが目指す未来像にとっても重要なピースの一つです。

チャットだからこそ見えてきた『生の声』の細かなニーズや旅行者さんの意思決定の仕方など、今後スケールさせていく際に大きく活用したいと思っています。ただ、”チャット”を通すことで逆に細かな『意思決定』の場を増やしてしまっている、という気付きもありました。改善策を同時に練っていきたいと思っています。

日本におけるトラベルスタートアップのプレーヤーとして感じる市場感は

有川:まず最初にお話したいのが、この業界が想像していたより大きなマーケットサイズだということ。だからこそ、すごくマニアックなサービスに絞っても事業としては成立しやすさがある分野だと思っています。

つまり、スタートアップが挑戦する業界としては面白い

有川:当たり前の話ではあるのですが、あまりにサービスを絞りすぎると旅行業界自体へのインパクトや根本的なアップデートには繋がりにくくなる、といった課題はあるので難しいところです。2017年は非常にトラベル系スタートアップの市場が盛り上がった印象でした。ただ、事業撤退を検討されているというお話もちらほらと耳にします。

その背景にはやはり、マーケットが大きい分、ジェネラルにしすぎると既存プレーヤが多く、絞りすぎると業界インパクトが少なくなる。そのバランス感覚が難しいのが大きな原因なのではないかと推測しています。

挑戦しやすい反面、スタートアップの時間軸を掛け合わせると難しい面もある。なるほど。
では、最後に。ズボラ旅(Hotspring)は今後どこを目指していくのでしょうか

有川:お話したように、トラベル業界におけるスタートアップはバランスを取るのが本当に難しいです。ただその中で、最適なバランス感覚を見つけ出すためにも、企業として『旅行業界のアップデート』と高い目標は常に忘れず、スタートアップなりの考えで『もっと旅にいけるサービス』の拡大に努めていければと思います。

ありがとうございました!

 

 

 

 

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