フィリピン通信大手系のKickstart Ventures、Ayala財閥の1億5,000万米ドル規模CVCファンドを運用へ

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Ayala 会長 の Jaime Augusto Zobel de Ayala 氏
Image credit: Ayala

フィリピンの通信大手 Globe Telecom の完全子会社 Kickstart Ventures は、フィリピン財閥大手 Ayala Corporation(フィリピン証取:AC)が新たに立ち上げる1億5,000万米ドルのベンチャーキャピタルファンドを運用することになった。

Ayala Corporation Technology Innovation Venture(ACTIVE) Fund はイノベーションを起こそうとしているスタートアップの支援を目的としている。また、データと分析、機械学習、人工知能、クラウドコンピューティング、フィンテック、自動化、不動産、小売り、輸送、エネルギー、水道、健康、食品でキーとなるテクノロジー分野に関連する企業も対象としていく。

Kickstart は、革新的でスケーラブルかつ持続可能なソリューションを提供してデジタルと従来のチャネルをシームレスに統合する企業を見つけていくことになる。オンデマンドサービスやIoT、フィンテック、ブロックチェーン、eコマース、オムニチャネルだけでなく、人工知能や機械学習、ロボティクス、ビッグデータと分析、クラウドコンピューティングを対象とした自動化とオーグメンテーション用のアプリケーションなどが投資対象となる。

クリーンエネルギーやエネルギー貯蔵、分散型エネルギー、環境関連テクノロジー、廃棄物管理、自宅用スマートテクノロジー、建築、コミュニティ、プロパティマネジメント、小売り関連テクノロジーやその他の類似のユースケースといった、環境に配慮したインクルーシブテクノロジーを提供する企業も支援の対象となる。

同ファンドは「面倒な操作がなくなる未来」から「自動化からオーグメンテーション」、「不動産のイノベーション」、「豊かな世界」という4つの主要投資テーマで、シリーズ A からシリーズ C、または初期~中期の成長途中にある企業への投資を視野に入れている。

Kickstart の社長 Minette Navarrete 氏は次のように語った。

ACTIVE Fund では、フィリピンだけでなく海外のテック企業にも投資を行います。単なるテクノロジーではなく、システムやソリューションを提供する企業に注目していくことになります。

テクノロジーとイノベーションはそれ自体が目的ではなく、これから築いていきたい未来に良い影響を与える手段だという当社の考えが ACTIVE の投資テーマには反映されています。持続可能な形で規模を拡張し、公正さと戦略的なサポートを両立するソリューションに投資することで、Ayala Corporation の資産を別の形で活用していきます。それは面倒な作業が不要で、共生可能、格差もなく、とても効率的な未来を作り上げていくことです。

Kickstart はフィリピンのスタートアップエコシステムを支援するべく2012年に設立された。これまでデジタル関連企業に39件の投資を行い、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、米国、カナダ、イスラエルで83人の会社設立者を支援している。

Kickstart Ventures のチーム
Image credit: Kickstart Ventures

ACTIVE Fund は同社にとって3番目のファンドであり、これまでで最大規模のものでもある。

Kickstart は MediaCorp(シンガポール)、Anvil Publishing(フィリピン)、C88(インドネシア)、Coins.ph(フィリピン) などに投資している(編注:Coins.ph は今年1月、Go-Jek により7,200万米ドルで買収された)。

Globe の社長兼 CEO の Ernest Cu 氏は次のように付け加えている。

Globe は起業家精神にあふれ、顧客を大切にし、スピード感と正確性のある運営体制という企業文化を通じてデジタルトランスフォーメーションを活性化させていきます。Globe を単なる通信企業以上のものに変革していきます。

Globe は今や当社のビジネスパートナーが成長し、個人の顧客が最適なデジタルライフスタイルの選択肢にアクセスできる環境を提供するプラットフォームになっています。Kickstart Ventures によるコーポレートベンチャーキャピタルは Globe により多くのスタートアップパートナーシップをもたらすために欠かせません。

先日、Ayala は同財閥に含まれる企業の多様性を活用した ACTIVE Fund の設立を発表した。Ayala Corporation や関連企業の Globe Telecom、BPI、Ayala Land、AC Industrials、Manila Water、AC Energy、AC Infrastructure が同財閥傘下に収まっており、それぞれが各業界でトップを走っている。

Ayala Corporation CFO の Jose Teodoro Limcaoco 氏は次のように語った。

私たちは ACTIVE Fund を通じて、活力をもたらすとともに規模を拡張させ、様々な業界にわたるパートナーシップへの可能性を広げていきます。投資対象の候補企業にとっても企業運営がよりシンプルになり、当社にとってもより緊密に協力していくことができます。」

Ayala Corporation の会長である Jaime Augusto Zobel de Ayala 氏は次のように語っている。

私たちのグループは前進と成長を続けており、当社の事業部門はこれまで以上にフィリピンの人たちのニーズに応えています。また、新しいテクノロジーとビジネスモデルが様々な業界に世界中で変革を起こしていることも十分に把握しています。イノベーションは信じられないようなスピードで起こっているのです。Ayala Corporation は業界の変革をただ傍観するだけでなく、イノベーションを促進する役割を果たしていきます。

【via e27】 @e27co

【原文】

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