VISA加盟店で使える法人向けカード「paild(ペイルド)」開発のHandii、ニッセイ・キャピタルとCoral Capitalから約3億円を調達

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今回参加した投資家と Handii のチーム。後列中央が CEO 柳志明氏、その右が CTO 森雄祐氏
Image credit: Handii

VISA 加盟店で使える法人向けカード「paild(ペイルド)」を開発する Handii は25日、プレシリーズ A ラウンドでニッセイ・キャピタルと Coral Capital から約3億円を調達したことを明らかにした。

Handii は2017年12月、ニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーションプログラム「50M」に参加しており、この際にニッセイ・キャピタルから500万円を資金調達している。その後、同社は1億円程度を調達しており、今回のプレシリーズ A ラウンドを受けての累積調達額は約4億円となる。

Handii は、JP モルガン証券でテック企業向けの M&A や資金調達アドバイス業務に従事していた柳志明(Jimyeong Yu)氏(現 CEO)と、三菱東京 UFJ 銀行でデリバティブのプライシングライブラリ開発に従事していた森雄祐氏(現 CTO)らにより2017年創業。これまでほぼステルスでサービスを開発してきた。

paild のプラスティックカード
Image credit: Handii

Handii が手がけるのは法人向けカード(Handii ではウォレットサービスと呼んでいる)paild で、企業が経費精算や出張予約、取引先への支払などに利用できるものだ。従来の法人向けクレジットカードと異なり、企業の担当者は専用管理画面を使って、任意で必要な枚数のカードを発行し社員に配布できる。プラスチックカード以外に、番号のみのバーチャルカードの取扱えるので、発行後即座にその番号を使って取引をすることも可能。会社の必要情報登録後は、1クリックか2クリックでカードを発行できるシンプルな UI も売りだ。

THE BRIDGE の取材に対し、paild が解決しようとするペインについて柳氏は次のように語ってくれた。

クレジットカードでは、多くの支払(多額・多量)に使いたい法人のカードに限って、設立当初は個人のカードよりも限度額が低く設定されていることが多い。法人カードの場合、限度額は企業の売上高を元に設定されることが多いからで、(当初は売上の少ないスタートアップなどで)、現在のストラクチャーに合わなくなってきている。

また、従来に比べて社員が頻繁に入れ替わることが多くなった職場や社内異動で、その都度カードを発行したり、無効化したり、限度額を変更したりする作業は、今までの方法だと、カード会社に紙ベースや電話ベースで依頼することになり煩雑。これら一連の作業を Web で簡単に対応・管理できるようにしたかった。

Handii は今日から paild の事前予約を始めているが、実際のサービスをローンチするのは今秋になる模様。paild のカード発行は VISA ブランドのカード発行ライセンスを持つオリエントコーポレーション(東証:8585)との提携を実現していて、決済毎のオーソリゼーションの仕組みは Handii が開発・運営するとのことだった。開発は続行中のため仕様の一部は明らかになっておらず、詳細は今秋のサービスローンチを待ちたい。

paild はスタートアップのみをターゲットとしたサービスではないが、創業2年でバリュエーション26億米ドルをつけたことで注目を集めるアメリカの「Brex」にコンセプトが似ている部分もある。日本のフィンテックスタートアップ Kyash もまた、企業が自社カードを発行し、Visa 加盟店で利用可能になる「Kyash Direct」を今年初夏にローンチすると発表している

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