映像からユーザの感情を読み取る技術を開発する英Realeyes、NTTドコモVやGBらから1,240万米ドルを調達——日本市場に進出へ

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Image credit: Realeyes

ロンドンを拠点とする AI スタートアップ Realeyes は6日、シリーズ B ラウンドで1,240万米ドルを調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは、欧州のテクノロジー VC である Draper Esprit(ロンドン証取:GROW)と NTT ドコモベンチャーズが務めた。

グローバル・ブレインのほか、Realeyes の既存投資家である Karma Ventures と The Entrepreneurs Fund も参加した。Realeyes はこれまでに EU 中小企業支援機構からの助成金シリーズ A ラウンドなどを通じて2,140万米ドルを調達しており、今回のラウンドを含めた累積調達額は3,380万米ドルとなる。

筆者とのインタビューで、同社の技術をデモしてくれた Realeyes CEO の Mihkel Jäätma 氏

Realeyes は Mihkel Jäätma 氏(CEO)、Martin Salo 氏(CPO)、Elnar Hajiyev 氏(CTO)の3人が、共にオックスフォード大学在学中だった2007年に共同設立。ウェブカメラなどの映像から視線をトラッキングする技術によって感情を読み取り、対象人物の感情を評価・分析することができる Realeyes を開発している。

Jäätma 氏によれば、同社はこれまで10年以上の開発経験を通じて4億5,000万以上の表情データセット(顔と顔の部位、動きなどのパターン)を集めており、このデータ量の多さが競合に負けないアドバンテージの一つ。データセットの多くは欧米人種のものだが、全体の14%程度は東アジア人種のものであり、日本人の感情検出にも十分なデータ量を有しているという。

ダッシュボード
Image credit: Realeyes

Realeyes の顧客の三本柱はブランド、エージェンシー、メディアプラットフォームで、彼らに対して Realeyes を使った、よりコスト効率の高いマーケティングや広告キャンペーンの方法を実施するための判断材料を提供するのが特徴。AT&T、Hershey’s、コカコーラ、フランスのメディア大手 Publicis など、世界的な有名企業を顧客に抱える。

今回の調達を受けて Realeyes は日本市場に進出するが、日本で最初の顧客になるのは NTT グループの企業になるだろう。最初の具体的なユースケースは、NTT 各社がより効果的な動画広告を展開するために、Realeyes を使った意思決定材料を提供することになるようだ。

ブダペスト拠点にいるチームメンバー
Image credit: Realeyes

NTT グループへの導入後、Realeyes が日本でどの事業領域(バーティカル)の企業を攻めるかといった優先順位づけについては、現在、日本でマーケティングコンサルティング会社が調査を実施しており、そのフィードバックを持って具体的な方針を決め、今年後半以降で具体的なアクションにつなげたい(Jäätma 氏)、とのことだった。

Realeyes は、ロンドン、ニューヨーク、ブダペスト(ハンガリー)にオフィスを置き、3拠点を合わせた従業員の数は80名程度(国籍は15カ国)。技術会社らしくエンジニアが多くを占め、その大部分はブダペストで開発に従事しているという。ロンドンとニューヨークはビジネス開発拠点で、日本市場向けのビジネス開発拠点として東京にオフィスが開設される可能性もある。

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