テクノロジーで野菜行商人を支援するインドネシアのKedai Sayur、シードラウンドでEast Venturesなどから130万米ドルを調達

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Image credit: Kedai Sayur

インドネシアに拠点を置く Kedai Sayur は、テクノロジーを使って野菜行商人を支援するスタートアップだ。同社は East Ventures がリードするシードラウンドで130万米ドルを確保したことを発表した。

Kedai Sayur によると、今回の資金は、さらに多くの野菜行商人とパートナーシップを結ぶために使われる。

「Kedai Sayur」という社名にはインドネシア語で「野菜のキオスク」という意味がある。Triputra Group のビジネスプロセス・IT 部門の元副部長である Adrian Hernanto 氏、Ahmad Supriyadi 氏、Rizki Novian 氏によって2018年後半に設立されたばかりの会社だ。

野菜やフルーツ、肉、魚などはインドネシアの家庭では日々の生活に欠かせない。Kedai Sayur はこうした生鮮食品を高品質かつ安価で野菜行商人の販売商品として提供する。

インドネシアには2種類の野菜販売店がある。1つは典型的なキオスクタイプの店舗で、飛び込み客に生鮮食品を販売している。もう1つが行商タイプで、こちらは手押し車を使って生鮮食品の訪問販売を行っている。

生鮮食品の流通は、農家の集団から複数の中間業者に食品を引き渡すところから始まる。中間業者は受け取った食品を中央市場の複数の業者に流通させる。住宅地の顧客に再販するために、行商人と中間業者が会うのは真夜中になる。

顧客は日々の生鮮食品を得るために野菜行商人に完全に依存しているが、長い流通プロセスを経るうちに商品価格が何倍にもなり、行商人には品質の低い商品しか残らず、利鞘も少なくなる。

Kedai Sayur は商品調達や流通面で複数の農家やパートナーと直接協力することで、こうした長いプロセスを排除している。Kedai Sayur にパートナーとして参加した野菜行商人は「Mitra Sayur」と呼ばれ、彼らは Kedai Sayur アプリからワンクリックで商品を手配し、商品は最寄りの登録野菜販売店で受け取ることができる。

Kedai Sayur はパートナー向けに「Si Komo」と呼ばれる、これまでにない配達用車両も提供している(「Komo」は「Kedai on Mobile」の略)。この車両は顧客宅への訪問販売だけでなく、荷物の配達や食品の販売などのサービスにも利用できるので、追加収入も得られる。

また、資金面で車両の購入が難しいパートナーには融資プログラムも用意されている。

Kedai Sayur の CEO である Adrian Hernanto 氏は次のように語った。

私たちは生鮮食品市場に活力を与え、野菜行商人などのグラスルーツ経済でもテクノロジーを受け入れることで恩恵が得られることを証明したいと考えています。私たちの活動によって、行商人たちが不規則な時間に働かなくてすむようになり、生活全体が向上するだけでなく、複数の収入源が得られる道も開けると考えています。

大ジャカルタ都市圏ではこれまでのところ、Kedai Sayur に2,000人以上の野菜行商人がパートナーとして参加し、その数は毎月60%の勢いで増え続けている。パートナーのうち80%は積極的に商品を販売しており、同社の総流通総額(GMV)はここ4ヶ月で5倍になっている。

Kedai Sayur は East Ventures の2つの仮定にぴったりあてはまります。1つはテクノロジーを取り込むことで、十分な支援が受けられなかった業者がテクノロジーを利用できるようになること、もう1つはインドネシアのサプライチェーンの改善です。インドネシアには、従来型のオンデマンド野菜行商人の存続を助けるための知恵が昔からあります。私たちはテクノロジーに触れることでそういった文化を保護したいと考えています。

East Ventures のマネージングパートナー Willson Cuaca 氏はそう締めくくった。

【via e27】 @E27co

【原文】

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