悪化する違法児童労働への一手は「投げ銭珈琲焙煎マシーン」コーヒー農家向け「Bellwether Coffee」が4,000万ドル調達

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ピックアップ:Bellwether Coffee Raises $40M To Sell Its Coffee Roasting Tech Globally 

ニュースサマリー:コーヒースタートアップの「Bellwether Coffee」は4日、シリーズBにて4,000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはDBL Partners、Lyndon、Peter Riveが名を連ねる。加えてFusionX、Congruent Ventures、Coffee Bell、Tandem Capital、Spindrift Equities、XN Ventures、Balius Partners、Hardware lubらが同ラウンドに参加している。

Bellwether Coffeeは冷蔵庫型の自動コーヒー焙煎マシーンを開発し、珈琲ショップ向けにリース販売している。同社によれば、米国において大規模なコーヒー焙煎機を取り扱うためには認可を取る必要があり、焙煎のステップは比較的大規模な施設で実施するのが一般的だった。

Bellwether Coffeeは「焙煎」と「販売」が分離されていることで生じる運搬コストなどを課題に設定し、コーヒーの新鮮さに加えコスト面における効率化を同時に目指す。

話題のポイント:2019年はコーヒーとテクノロジーを絡め合わせたスタートアップが数多く誕生しました。以前取り上げたように、2018年における「コーヒースタートアップ」の総調達額は計10億ドルと2017年との比較だけでも4倍にも拡大しています。これは感覚値ですが、2019年も昨年と比較し数倍の調達額になるのではないでしょうか。

<参考記事>

さて、「Bellwether Coffee」の主要サービスは、比較的安価で場所にも困らないコーヒー焙煎機を製造・販売することです。たとえば個人経営の小さなコーヒーショップであっても、焙煎と販売を同時に行い新鮮なコーヒーを提供できる世界を目指しています。また、運搬作業がなくなるため、消費者に届くまでのコスト削減も可能とさせます。

特に着目すべきなのは、焙煎機に付属しているソフトウェアには、販売するコーヒーの生豆を生産・販売しているコーヒー農家にチップを直接送れるシステムが搭載されている点です。

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近年オーガニック食材の販売棚に、生産している方の顔写真が載っているお店が増えていますが、この点を完全にオンライン化。コーヒーを買いに来た人が生豆からその日のコーヒーを選択し投げ銭(チップ)を送ることを実現させました。

コーヒー農家は比較的発展途上国を拠点にしている傾向にあり、賃金を抑えるために未成年の子供や女性が低賃金で労働を強いられる環境にあります。

以下は、アメリカ合衆国労働省が発表した国際規約に違反し労働を強いられている子供が問題となっている地域です。カリビアンや南米、アフリカ大陸などコーヒー豆の生産地として著名な個所が挙げられていることがわかります。

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アメリカ合衆国労働省

この問題を実際に現地に赴いて実情を調べ上げたドキュメンタリーでは、大人の労働者が農家運営者に対し「少しでもお金を得るため子供も働かせて欲しい。でなければ、我々は働かない」と述べています。これにより、運営側も労力として子供を迎え入れなければならない負の連鎖が起きているといえます。

結局元をたどれば「貧困」に行きつくこの問題。これは、今まで生産者のコーヒー農家と消費者の私たちが繋がるきっかけがなかったことも一つの大きな理由かもしれません。

Bellwether Coffeeの焙煎マシーンを利用すれば、インターネットを通し、物理的距離を超えた解決策を提供できる可能性を秘めています。

特に欧米諸国ではチップ文化は一般的。最終消費者と生産者がお互いに支えあうエコノミー形成を、焙煎マシーンを通して提供できるはずです。世界規模の新たな「経済圏」が生まれることになるでしょう。

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