Uberが“モビリティ版AWS化”へ動くーー自社システムの外販事業開始

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ピックアップ記事Uber to Sell Software, Starting With Four-Van Transit Service

ニュースサマリー:Uber Technologiesは6月17日、カリフォルニア州のマリン郡の交通機関向けに自社ソフトウェアへのアクセス権を販売したと発表。今回を機に同社は、公共交通機関を始めとして、ライド・ハイリング事業技術を他の企業の提供を開始する意向だ。

本プログラム名は「Marin Connect」。7月1日に開始され、まずは4台の車いす対応バンの物流をサポートする。 マリン・トランジットおよびマリン交通局と提携し、郡内のUberアプリ内で公共交通機関のスケジュール確認や割引機能を連携利用できるようにする。乗り換え駅から目的地までのラストマイルを移動する利用者に移動手段を効率的に提供する。

Uber Transitの責任者であるDavid Reich氏によると、今回の提携販売は一回限りのものではなく、Uberにとって新製品となるという。

マリントランジットのゼネラルマネージャーNancy Whelan氏によると、2年間の契約で8万ドルの費用がかかるとのこと。過去にLyftやViaとも提携していることから、今回も試験的な位置付けでのコラボレーションとなる。

Uberは2019年春に株式を公開して以来、苦しい1年を過ごしてきた。Uberの株式はIPO価格を下回って取引されてきており、今ではパンデミックの影響でさらに事業衰退が進んでいる。そこで、Reich氏によると、Uberは自社ソフトフェアの二次利用へと舵を切った。最初の契約は小規模だが、将来的には長期契約という形で信頼できる収益源の始まりになる可能性を探りたいとしている。Uberは現在、世界数十の交通機関と話をしているという。

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話題のポイント:Uberが自社ソフトウェアの外販を始めました。

Amazonが3月、無人店舗「Amazon Go」の技術を外販する「Just Walk Out」の動きと同じです。外販を通じてデータ収集チャネルの拡大・プロダクト精度向上に走りたい巨大データプラットフォームとしての市場ポジション確立を狙っていることが伺えます。

Uberに関してもAmazon同様、「共創」による市場拡大の動きが伺い知れます。手軽に利用企業が必要機能を引き出し・連携できる“モビリティ版AWS”としての利用価値を訴求していると予想できます。

市場ではソフトウェア外販はトレンドです。

たとえば半自動レストランシステムを外販する「Brigtloom」もStarbucksと提携して、外食事業者向けのクラウドベースのソフトウェアを提供しています。注文から受け取り、顧客データ分析に基づくオペレーション最適化までの一貫したソリューションを提供しています。

自社で実店舗を保有するリスクが、パンデミックの影響で露呈しました。事実、データ企業「Sedond Measure」によると、UberおよびLyftの売上指数は2020年はコロナの影響で86%減少していることがわかります。予期せぬイベントとは言え、明らかにリスクを含む事業であることがわかっています。

そこで完全にソフトウェアの販売戦略を採用することで、より安定した収益を確保する動きが各市場で見られます。一度案件を獲得してしまえば、数年単位での契約となります。そのため、より売上予測をしやすくなるモデルへと転換できます。

今後は「2B営業 + SaaS」の事業戦略の元、データを集めてプロダクト開発スピードを加速させるAWSモデルの登場が各国で活発になるかもしれません。

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