Foursquare元CEO率いるRead AIがステルス解禁、Zoom連携で会議を分析するAIプラグインを公開

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Image credit: Read AI

AI を搭載したミーティング指標のためのプラットフォームを開発するスタートアップ Read AI は9月29日、PSL Ventures と個人投資家の参加を得て、Madrona Venture Group から1,000万米ドルのシード資金を調達し、ステルス状態から脱却した。今回の資金調達により、共同創業者で CEO の David Shim 氏は、Read のサービスを Zoom や Zoom のアプリマーケットプレイスで無料で利用できるようにするほか、Googleカレンダーとの連携も可能になると述べている。

新型コロナ感染拡大以前と比較して、ビデオ通話は日常生活の中でより大きな役割を果たすようになりた。例えば、過去12ヶ月間で、Zoom では会議時間が3,000%増加し、ビデオ会議プラットフォームの上位4社を合わせると、デイリーアクティブユーザは5億人を超えた。

しかし、バーチャル会議は完璧ではない。例えば、大人数に向けて放送する場合、発表者は通常、自分のプレゼンテーションデッキの脇にある数人の参加者のサムネイルしか見ることができず、参加者の反応を見るためにはスクロールする時間が必要になる。さらに、繰り返し行われる会議では、時間の経過とともに優先順位が変わり、毎度の1時間の会議でも、出席者によっては平日の時間を有効に使えなくなることがある。

Foursquare の 元 CEO である Sim 氏は VentureBeat にメールで次のように語った。

誰もが経験したことのある会議では、状況が悪化しそうだとわかっていても、間違った見方をしてしまうかもしれないと、行動を起こすのをためらってしまうものだ。現在のフィードバックメカニズムは、絵文字やチャットのメッセージで、会話を改善するというよりは、むしろ気を散らすことが多いのだ。

Read は「フィードバック2.0」であり、リアルタイムですべてのミーティングプラットフォームが共有ダッシュボードを持ち、直感をデータで検証することでコラボレーションを促進する。

AI を活用した会議

Image credit: Read AI

Read は2020年に Shim 氏によって設立され、長年の同僚であるRob Williams 氏と Elliott Waldron 氏と組んでプロトタイプを構築した。3人は以前、位置情報分析会社 Placed を立ち上げ、2017年に Snapchat に買収され、2019年に Foursquare にスピンアウトした。

Read は、AI、映像解析、自然言語処理モデルを活用して、会議分析のバックエンドを動かしている。Sim 蛆によれば、「国際的にも人口統計的にも多様なトレーニング例」で訓練されたというこのモデルは、出席者間のコラボレーションを促すリアルタイムのセンチメント、エンゲージメント、参加のメトリクスを提供し、ミーティング全体のメトリクスを集約する。

ミーティングプラットフォームに接続し、コンテンツを AI 分析するスタートアップは少なくない。例えば、Fireflies は、会議中の質問、割り当てられたタスク、主要なトピック、一般的なセンチメントを認識する。Kronologic は、「カレンダーの収益化」と称するツールを開発中で、こちらも AI を活用している。Read は、「第二の目と耳」になり、会議中の聴衆全体を見て、リアルタイムで反応を集約することができると Williams 氏は言う。

Read は、縦断的な認識を提供し、エンゲージメントやセンチメントが低下する場所を特定して、コンテンツや参加者のリストを調整し、業務効率と士気の両方を向上させることができる。企業の営業の現場では、Read はアカウント・エグゼクティブの場の空気を読む能力を強化する。

この製品は、ピッチが響いているかどうか、聴衆が新機能に興味を持っているかどうか、価格設定が好評かどうかなどのフィードバックをリアルタイムに提供する。このようなフィードバックは、エグゼクティブだけでなく、見込み客にとっても有益であり、売り手はリアルタイムでより生産的なミーティングを提供するための調整を行うことができる。(Williams 氏)

表向きは良心的だが、Read のトラッキング機能はすべての従業員には馴染まないかもしれない。近年、職場での監視が強化されている従業員の多くは、それに耐えなければならない。2018年の Gartner の調査によると、17%の組織が仕事用のコンピュータの使用状況を監視しており、16%が Microsoft Outlook やカレンダーの予定を追跡しているという。さらに、Accenture の最近の調査によると、62%の経営者が、自分の会社が新しいテクノロジーを使って従業員のデータを収集していると答えているにもかかわらず、そのデータを責任を持って使っていると確信していると答えた人は3分の1以下にとどまっている。

また、AI のバイアスによって会議の指標が歪められる可能性もある。Sim 氏は、Read のモデルは十分に多様なデータセットでトレーニングされたと主張しているが、Google や Facebook のようなテック大手でさえ、これまで欠陥のあるモデルを本番に導入してきた歴史がある。例えば、Zoom のバーチャル背景Twitter の自動写真切り抜きツールは、肌の色が濃い人を好まないことがわかっている。また、専門家の中には、顔を分析して人の感情を正確に評価することは、根拠が揺らいでいることを前提にしていると主張する人もいる。

しかし Sim 氏は、Read のプラットフォームが「プライバシーと透明性の基礎の上に成り立っている」と主張している。会議では、Read は会話を傍聴していることを出席者に通知し、出席者全員に会議の指標へのアクセスを提供する。また、Read は会議の参加者に対してオプトアウト機能を提供しており、会話の録音や書き起こしという形での会議の振り返りは行わない。

会議分析の未来は、録音や録画ではない。これからの会議分析は、録音や録画ではなく、リアルタイムで会議の進行状況を把握し、対話の成否を決める瞬間を把握することだ。(Sim 氏)

Read では、今後6ヶ月以内にチームの規模を2倍の30人以上に拡大する予定だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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