脱炭素支援のSustineri、インキュベイトFから5,000万円をシード調達——温室効果ガスの排出量表示API公開へ

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Image credit: Sustineri

企業の脱炭素化とサステナブル・トランスフォーメーション(SX)を支援する Sustineri は20日、シードラウンドでインキュベイトファンドから5,000万円を調達したと発表した。調達した資金は、サービス開発や事業推進メンバーの採用などに使用し、開発と顧客企業への導入を加速するとしている。

Sustineri は、企業がサプライチェーン全体をカーボンニュートラル化するための仕組みを提供している。まずは、企業の Web サイト向けに、リアルタイムで温室効果ガス排出量を表示できる API(カーボン・オフセットAPI)の提供から着手する。ShopifyStripe はそれぞれ、温室効果ガスのオフセット API の提供を始めるなど、欧米を中心にこの動きは加速しつつある。

この API では、e コマース、自動車保険、旅行・航空などの web サイトに数行のコードを書くだけで、商品・サービスの提供に伴う温室効果ガスを算定し、同量の温室効果ガス削減クレジットまたは再生可能エネルギー証書を自治体や森林組合などから購入することでオフセットできる機能を提供する。企業、または、エンドユーザ(消費者)が費用を負担するケースが想定されるという。

Image credit: Sustineri

電気以外だと排出量を削減できるところがあまりない。しかし、そこにオフセットという形で削減できる手段を提供できるのが Sustineri のメリットだ。(中略)

最初は、エンドユーザの環境意識の高そうなところから攻めていきたい。企業側も環境意識が高いところがファーストユーザになるだろう。(創業者で代表取締役の針生洋介氏)

アメリカでは、カーボンオフセット API を手がけるスタートアップが一つのブームになっている。電力・ガス大手の Southen Company は Cloverly というスタートアップをローンチ。今年2月に Andreessen Horowitz から450万米ドルを調達した Patch をはじめ、Carbon InterfaceCooler、カーボンオフセットマーケットプレイスの Pachama などが頭角を表している。

Sustineri は、十数年前からシンクタンクやコンサルティングファームで気候変動に関連した業務に携わってきた針生氏により創業。多くの企業が気候変動対策の必要性を認識しているものの、実際に対策を行う上では多くの制約と課題があると実感し、この事業への着手を決断した。排出量算定の API 提供で認知を高め、カーボンオフセットの量に応じた手数料でマネタイズを目指す。

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