THE SEED、2号ファンドに10億円を調達しセカンドクローズ——DeNA、SMBC VC、うるるなどが新LPに

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廣澤太紀氏
Image credit: Sekiko Suzuki

シードスタートアップ向け VC の The Seed Capital(以下、THE SEED) は、2号ファンドに10億円を調達しセカンドクローズを迎えたと発表した。 THE SEED は2018年に廣澤太紀氏が設立、10億円の1号ファンドに続き、今年3月には15億円規模の2号ファンド組成を発表していた。ファーストクローズは6億円であったことから、セカンドクローズまでに追加で4億円を集めたことになる。当初の目標に沿えば、THE SEED は今後さらに5億円を集める計画だ。

THE SEED は1号ファンドから16社に出資してクローズ、2号ファンドからはこれまでに14社に投資している。1号ファンドからは、AI カフェロボットの「√C(ルートシー)」開発の New Innovations、アグリテック SaaS「AGRI Suite」運営の AGRI SMILE、京都 の VR/AR ゲームデベロッパ CharacterBank といったスタートアップへの投資が明らかになっているが、2号ファンドの投資先の顔ぶれはベールに覆われたままだ。

事実、我々も THE SEED から資金調達を伝えるニュースはあまり多く書いていない。これは THE SEED が超アーリー期のシードを対象としたスタートアップであるため、投資後に事業ピボットを繰り返すことがほぼ前提となっているからだ。必然的に、THE SEED としても事業モデルの是非よりは、創業者の人間性や突破力などを評価して投資実行していると思われる。そして、PMF(Product Market Fit)を経て、世に出すプロダクトがある程度明確になった時点で、我々の目に触れる存在となる。

2号ファンドの LP には、大広、ギフティ(東証:4449)のほか、個人投資家として富島寛氏(メルカリ共同創業者)、松本龍祐氏(カンカク代表取締役)、適格機関投資家として村口和孝氏(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ ジェネラルパートナー)らが名前を連ねる。今回のセカンドクローズ発表では、ディー・エヌ・エー(東証:2432)、SMBC ベンチャーキャピタル(SMBC BC)、うるる(東証:3979)と名前非開示の個人投資家複数が新たに LP に加わった。

明確な統計があるわけではないので確認は取れていない情報だが、20代の投資家が運営するファンド(廣澤氏は現在29歳)にメガバンク系の資金が LP として参画するのは初めてはないか、と廣澤氏は BRIDGE の取材に対し語った。関西学院大学出身の廣澤氏は関西のスタートアップに対する思い入れは大きく、THE SEED からは東京に加え、大阪や京都のスタートアップへの出資事例も多いそうだ。以前は、京都・洛北にインキュベーションオフィスを開設していた時期もある。

SMBC ベンチャーキャピタルの所属する三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、ルーツの一つに旧住友銀行を持つことから関西方面への造詣が深い。今後、THE SEED と SMBC VC が共同で関西を重点的にディールソース展開するようなアイデアもあるようだ。THE SEED は最近、同ファンド初となるアソシエイト(田山凌汰氏)を採用した。同社主催の起業家や潜在起業家を対象にしたオンラインイベントは、のべ2,000人を集めるまでに成長しており、今後、より起業家に寄り添った活動を展開していくとしている。

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