クラウドで酪農を効率化するファームノート、人工知能を活用した牛向けウェアラブル端末「Farmnote Color」の発売を開始

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上:牛向けウェアラブル端末「Farmnote Color」 Credit:ファームノート
上:牛向けウェアラブル端末「Farmnote Color」
Credit:ファームノート

北海道・帯広を拠点にクラウドを使った牛群管理システム「Farmnote」を開発するファームノートは本日、人工知能を活用した牛向けウェアラブル端末「Farmnote Color」の発売を開始することを発表した。また、同社は牛に限らず農業分野全体での人工知能・IoT技術の活用を研究する「Farmnote Lab」を設立することも併せて発表した。

ウェアラブル端末「Farmnote Color」を牛の首に装着すると、牛の行動に関するリアルタイムデータが自動的に取れ、クラウド上で人工知能が解析した結果がユーザーのスマートフォンに通知される仕組みになっている。それによって、牛の管理者がより簡単かつスマートに牛を管理できるようになることを目指している。

特にユーザーにとっては牛の発情時期と疾病兆候を的確に知ることが、牛の管理の上では重要であるという。発情時期を的確に把握することで、排卵と人工授精をするべきタイミングが特定できるようになるからだ。

発情行動が見られたら、ユーザーのスマートフォンに通知がいく仕組みになっています。動く、寝る、反芻するといった様々な牛の行動データをFarmnote Colorから集め、活動量の変化をアルゴリズムが検知することで発情行動が特定できるようになります。

ファームノートの創業者、小林晋也氏はこのように説明する。

ファームノートが開発するアプリFarmnoteは、牛の行動状況をログに残し牛の状態をより正確に理解するためのアプリであるが、ウェアラブル端末「Farmnote Color」を使えばさらにリアルタイムな牛の活動情報を取得することができる。

人間が牛の行動状態を確定させる必要があるので、スマートフォン上でログをつける必要は今後もあるが、センサーデバイスが補完的な役割を担うことになる。

Farmnote Colorのバッテリーは3年持ち、3年間牛につけたままにしておくだけでよいという。

Farmnote Colorは2万9800円であるが「特にこれまで牛の管理がゆるかった牧場であれば売り上げ効果が2、3割増しになります」と小林氏は説明する。「牛一頭から年間100万円の売り上げがたち、10ー15万の純利益が出る」とのことなので、Colorへの投資で収益増加や高収益の維持が実現できるのであれば投資価値が高いと考える農家も少なくなさそうだ。

「Farmnote Lab」の設立ーー大量のデータを農業に役立てるために

現在は牛に特化してサービス開発を行っているが、最終的に同社が目指すのは「農業のグーグル」であると小林氏は言う。

「センサーから得たデータをクラウドに集約し、人工知能で解析してユーザーのスマートフォンに通知」するという仕組みを牛以外にも横展開し、また農業用のドローンや各種センサーなどの様々なチャネルから吸い上げた大量のデータをクラウドに集約し、解析することで農家にとってどういうデータが価値が高いのかを分析していきたいという。

そのために今回、グループ会社であり、法人向けにシステム開発を行うスカイアーク内部に農業分野での人工知能・IoT技術の活用を研究する「Farmnote Lab」を設立し、今後も研究開発を進めていく予定であるという。

なお同社は今回、帯広信用金庫と日本政策金融公庫の協調融資によって3億円を借入で調達した。これまで合計で6億円弱を調達している。帯広、札幌、東京のオフィスに19名のスタッフがいる。

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