スマホのユーザビリティテストを簡単・早く実施できるUI Scope、mixiのDeploy Gateと業務提携

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ユーザビリティ、ユーザエクスペリエンスといった言葉は以前より頻繁に耳にするようになったが、実際にユーザテストなどを行えている企業はまだまだ少ない、と話すのはUI Scopeを運営する代表の平石大祐氏だ。UI Scopeはスマホに特化した「早く」「安く」「簡単に」を掲げるユーザビリティテストの検証代行サービス。

同社は本日、mixiが運営するAndroidアプリ提供者向けテスト版アプリ配信サービスのDeployGateとの業務提携を発表した。DeployGateは開始7 ヶ月で世界93カ国4,000を超えるAndroidアプリの開発に利用されている。「DeployGate Scope」により、公開済みのアプリだけでなく、開発中のベータ版アプリなどに対しても、安全で効率的なユーザビリティー検証をリーズナブルな価格で行うことが可能になる。

昨年10月にサービスを公開したUI Scopeは、3名のフルタイムメンバーと、外部のフリーランスデザイナー、および大学院生のエンジニアから成るスタートアップだ。サービス開始にあたって、平石氏がご近所掲示板サービスのWishScopeを使って創業メンバーを募集したことで結成した。取締役で技術責任者である有山貴清氏が加わり、またデザイナーもWishScope経由で採用している。もともと別のデザイン系のアプリサービスを提供していたが、そこでユーザテストの難しさを実感。サービス提供者なら誰もが頭を悩ます課題であることから、UI Scopeを立ち上げることを決意した。

既存の類似サービスは粒度の高いものばかりで、そのため長い期間を要し、コストも高い。またスマホに特化したものもなかった。UI Scopeのクライアントの半数はリクルートやBiglobeなどの大手企業だが、最近ではスタートアップも増えているという。登録サービスの総数は200、クライアント数は40社に及ぶ。その利用目的は主にリリース前のテスト、またリニューアルする際のテストで、7:3でリニューアル時の活用が多い。

モニターは、年齢や性別のみならず、特定のサービスを使ったことがある人、最近旅行に行った人などと具体的にターゲティングすることが可能だ。UI Scopeを用いた平均的なユーザテストの期間は1週間で10人ほどをテストする。ジェイコブ・ニールセン氏によると、10人5人[1]への被験者にテストすることで80%の問題点を特定することができるという。

では、ユーザテストに参加するモニター(被験者)の流れはどうなのか。モニターには無料でスタンド式のウェブカメラが提供される。自宅という普段の環境にいながらにして、与えられたタスクを声を出しながら実践する。思ったこと、感じたこと、またなぜボタンを押したのか、離脱したのかといったことが、まるで隣に座っているかのように手に取るようにわかる。この動画のローデータがクライアントに提供される。基本価格は、モニター一人につき3,000円。多くの企業が5人ほどの被験者で始めるため、平均単価は15,000円ほどだという。オプションサービスに、追加の分析レポートの作成がある。

現在UI Scopeには日本中から4,000人以上のモニターが集まっている。より広く一般のユーザを集めるよう工夫をしており、モニターは厳選されている。週に2,3回のペースで全員参加できるダミーのテストを実施し、その内容を目視してリテラシーのレベルなどを把握した上で審査する。モニターには一回参加すると500円が支払われ、2000円貯まると口座に振り込みがある。紹介キャンペーンなどで集まった主婦も多く、また提携企業から中学生や高校生といった学生モニターも参加する。全国に40店舗ほどの高齢者向けパソコン教室「パソカレッジ」を運営するマミオンからは、高齢者も集まる。幅広い層のモニターを集めることで、様々な企業のユーザテストに対応できるのだ。

UI Scopeを活用したユーザテストの事例として、平石氏はリクルートのSNSに散在した写真を集約するiPhoneアプリ「Ambrotype」を例に挙げた。その特徴的な機能のひとつは、思い出を振り返る感覚で過去の写真をプッシュ通知して知らせてくれること。実際にユーザが使っている様子を見てみると、ログイン後のポップアップの確認でプッシュ通知を「受け取らない」と設定していることが判明。思い出を振り返ることもできるというアプリのコンセプト自体が伝わっていないことが発覚し、アプリへの登録時にチュートリアルを設けることで改善した。

今後の課題に関して、平石氏はこう話す。

ユーザビリティテストに関するそもそもの啓蒙活動が必要。スマホデザイン会議など、イベントやワークショップを定期的に行っている。またクライアントに提供するサービス改善もある。例えば、ユーザテストは1本10-15分、10人いれば閲覧するだけで100分かかる。今後はタスクを細分化して見られるような工夫をしていきたい。またモニターの更に細かいターゲティングも実現したい。

また、自宅での利用シーンだけでなく、移動中や店舗で使うといったケースにも対応したり、SNS要素のあるアプリなどでリアルタイムなコミュニケーションのテストにも対応することを検討しているという。UI Scopeでは4月いっぱい、モニターあたりの基本料金を半額の1,500円で行うキャンペーンを実施している。サービスの流れは以下の動画で確認できる。


  1. @david_z が間違いを指摘してくれたことに謝意を表する。 ↩

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