音楽を奏でるiPadケース――シリコンバレー発スタートアップのMiseluがワイヤレス電子楽器「C.24」を発売

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新製品 C.24 を披露する Miselu CEO の吉川欣也氏(右)と、 ソフトバンクコマース&サービス執行役員の松田広史氏(左)

シリコンバレーの音楽専業スタートアップ Miselu は今日、都内で記者会見を開き、MIDI over BlueTooth LE 対応のワイヤレス電子楽器「C.24」を発表した。ソフトバンクの子会社ソフトバンクコマース&サービスが展開する SoftBank SELECTION を通じて本日より販売が開始され、ユーザはオンライン購入することができる。価格は24,800円(税込)。

Miselu は昨年、Kickstarter 上で C.24 のクラウドファンディングを実施、9.9万ドルの目標に対し13万ドル以上の資金調達に成功し、市場の注目を集めた。Miselu  の創業者で CEO の吉川欣也(よしかわ・よしなり)氏は C.24 を開発した理由として、従来からある楽器には、物理的に配置場所の制約があったり、演奏方法を学ぶのに費用がかかったりするなど、いくつかの問題点があったと説明。小型化しつつも実物の楽器に近い使用感を出すため、光センサーを使って鍵盤の押し下げを検出したり、磁石の反発を使ってバネに代わる鍵盤の重さを出したりするなど、複数の自社特許技術を組み合わせて、今回のプロダクト開発が実現した。

C.24 の利用には Miselu から専用の無料アプリ「KEY」が提供されているが、「KEY」を使わなくても KORG の ModuleGadgetApple Garage BandFinger Piano Plus など、350種以上の CoreMIDI 対応アプリとも接続することができる。現在は iOS や Yosemite(MacOS X)にのみ対応しているが、2015年以降、同社では、Android 端末、Windows、各種タブレット、カラオケ端末、スマートテレビとの接続についても開発を進めていく計画だ。

記者会見には「あたりまえ体操」やロボット「Pepper」の楽曲制作で知られる、サウンドディレクターの樋口太陽氏が登場。C.24 の持ち運びの手軽さを生かして、砂浜や草原、音響効果が得られる鍾乳洞の中などで作曲活動に活用したいと語った。

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C.24 で演奏しながら「あたりまえ体操」を歌う樋口太陽氏。
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C.24 の発売にあわせて作詞作曲した「あたりまえMISELU」を披露する樋口太陽氏。

2008年に設立された Miselu は、元 Apple、IBM、MIT 出身のエンジニアやデザイナーで構成され、チームは現在16名。これまでに産業革新機構などから600万ドルを調達している。CEO の吉川氏は、ウェブ制作会社の草分け的存在デジタル・マジック・ラボに始まり、IP技術に特化したソフトウェア開発会社 IP Infusion をシリコンバレーで立ち上げるなど、これまでに数度の起業経験を持つ筋金入りのシリアルアントレプレナーだ。

C.24 の日本国内での目標販売台数などについては非開示とのことだったが、本日の日本市場向けの販売開始を皮切りに、Miselu は2015年1月からはアメリカ国内での販売開始を予定している。電波を使うことに関わるレギュレーションに関しては、すでに韓国や香港など複数の国や地域の当局から技術承認を得ており、世界的に販売が開始されるのも、そう遠くない将来のことになりそうだ。

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C.24 を4つ連結すると、8オクターブ弾けるようになる。これで、グランドピアノとほぼ同じ音域をカバー。

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