ニュー・クレジット(信用)は旅から生まれる

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ピックアップ:London-based Fly Now Pay Later raises £35 million Series A to provide flexible financing to travelers

ニュースサマリー:トラベルスタートアップ「Fly Now Pay Later」は18日、シリーズAにて4260万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家としてRevenio Capitalがこのラウンドを推進した。また、Shawbrook Bank並びにBCI Financeも同ラウンドに参加している。

同社はロンドンに拠点を置き、旅行業における決済サービスを展開。旅にかかる費用の月額分割払いのローンサービスを提供している。2015年に創業以降、同社はB2B型で後払いシステムを法人向けに提供してきた。今回の資金調達では新たに、コンシューマー向けに事業展開を開始し、ドイツ・フランス市場への参入を予定している。

話題のポイント:分割払いの先駆者と言えば同じ領域で米国に拠点を置く「Uplift」や、アパレル層をターゲットとした「Affirm」が挙げられます。いずれの場合も、提携企業に対し「後払い(分割)」システムを提供し、同社がユーザーの「信用」をレビューする形をとります。

今回取り上げたFly Now Pay Laterも同じフローを取り、100ポンドから3000ポンド(3600ドル)の範囲でローン対応をしています。利用条件は、1)18歳以上、2)イギリスに住所を持っている、3)イギリスの電話番号を持っている、4)イギリスに拠点を置く銀行のデビットカードを持っている、の4点でまだ国内向けのサービスとなっているようです。(今年中にドイツ・フラン在住者向けに対応予定)

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さて、分割払いという消費行動を「信用」に置き換えて考えてみましょう。Fly Now Pay Laterはいわば、旅する人に特化した信用情報を集めているとも言えます。

つまり、多種多様なユーザーの「基本情報+支払い能力+(旅の)行動履歴」に関するデータを積み重ねていき、今まではクレジットカード会社にしか入らなかった情報を手に入れることができるというわけです。こうしたデータを基に、企業側はパーソナライズした価格帯での旅程を提案したりすることが可能です。

支払い能力以外の面でのデータも持ち合わせるため、単にクレジットレベル(信用力)でクラス分けをするのでなく、各個人の特性に合わせたプランニングができるのも大きなアドバンテージです。今まで旅プロバイダー側はマスに対して値段層で分けた旅先やコンテンツの提案をすることが一般的でしたが、新しい「信用」データを利用することでコンシェルジュ的立場を取ることも予想されます。

ユーザー視点で見ても、支払い能力や職業に信頼性が低くとも新しい「信用」レベルが高ければ、例えば旅プロバイダーに向けて独自のプランと価格設定での逆オファーをすることもできるかもしれません。

もちろん個人で手配したほうが安く確保できる場合もありますが、旅のプロバイダー側が独自で抱えている市場には出回っていない在庫も数多くあり、うまくマッチすれば最適化が図れるはずです。

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