パキスタン初のテクノロジースタートアップインキュベータ「Plan9」と注目のスタートアップたち

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【原文】

plan9-team

自身が経験豊富な起業家であるNabeel A Qadeer氏率いるPlan9はパキスタンで最初のテクノロジー系スタートアップの支援プログラムであり、Punjab Information Technology Board(PITB)が運営している。他の多くのインキュベータと同様、Plan9はスタートアップに場所やメンターシップ、電気の提供と、法律上のサポートを行う。加えて、財政的な援助も行う。

正確にはどのくらいの資金援助が受けられるのか?

Plan9によると、スタートアップチームがまとまった援助金を一度に手に入れるのではなく、毎月定額の2万パキスタンルピー(204米ドル)が各チームのメンバーに6か月間支給されるとのことだ。

Plan9の職員は、パキスタンでは停電が1日に12時間も続くことがあるので、安定した電力の供給はお金と同じくらい魅力のあるものだと語った。Plan9のオフィスは、スタートアップ設立者らが一晩中、コーディングして働くことができるという望ましい仕事環境を提供している。

また、Plan9が持つアドバイザーのリストも幅が広い。そのリストには、Zafar Kham氏(Sofizar社CEO)、Khurram Zafar氏 (ラホール証券取引所、CIO)、Jehan Ara氏(Pakistan Software Houses Association社長)、Badar Khushnood氏(Googleのパキスタン担当コンサルタント)らが名を連ねている。Plan9は次のように語った。

「アドバイザーに加えて、Plan9はアーリーステージに特化した投資家と世界中のメンターのネットワークを現在構築しています。例えば、Hussein Kanji氏(エンジェル投資家)、Shoaib Makani氏(Khosla Venture)、Russell Smith氏(SmithDehnパートナー)、Jawwad Farid氏(Alchemy Technologies創設者)らは、第1回目のプログラム期間中にPlan9を訪問した人たちのうちの数人です。」

2013年、注目のパキスタン・スタートアップ10社

Plan9は2012年9月に第1幕を開けた。ラホール、カラチ、イスラマバード、そして(再び)ラホールで行われた4回のローンチパッドコンペから14チームが選考された。

選考されたチームは2012年11月、正式にPlan9インキュベータプログラムに参加したが、最初の2か月間で一定の基準をクリアしなければならないという条件付きだった。その結果、4つのチームが早期段階でプログラムから脱落し、以下に紹介するスタートアップ10社が今もプログラムを遂行している。

Eyedeus Labs

        :スマートフォンに「見る機能」を加えることでスマートフォンをより賢くしようとするスタートアップ。同スタートアップは、モバイル機器向けの「コンピューター・ビジョン」テクノロジー、特にAR(拡張技術)と、人とコンピューターの交流に関するテクノロジーを可能にしようと取り組んでいる。

Nosh Genie

        :国内企業レビュー&ソーシャル・レコメンデーション・エンジン

Piclome

        :1つのリポジトリ・データ・ストレージでイベントの写真をアップロードすることができ、関係者ユーザ同士のコミュニケーションを支援するアプリ。

Hometown

        :高級レザー商品を作って販売するためにパキスタンの職人と協業しているeコマース・スタートアップ。Hometownについては、私たち

TechinAsiaが以前、紹介記事を書いている

        ・LAMP:LAMPは「Location Aware Management Platform(位置情報を利用した管理プラットフォーム)」を表していて、位置情報を利用したデータを収集するサービス。ユーザ主導型アナリティクスのためのビジネスツールとカスタマイズ可能な管理ダッシュボードを提供。

Hybrid Signals

        :デジタル&ソーシャルメディアのマーケティング企業で、ブランドの宣伝キャンペーン投資収益率の算出を支援。

Peercloud

        :Pagifyを構築中。Pagifyはウェブベースのビジュアルデザイナーがドキュメントをすべてブラウザ内でデザインできるようにするサービス。

Geniu

        :システム統合とテクノロジープロダクトに取り組むスタートアップ。
        ・Travel Distribution Network:このスタートアップによると、このサービスはパキスタンで最初のB2CおよびB2B向け旅行プラットフォームで、旅行の情報や国内外の旅行予約サービスを提供している。

Roxcial

      :Facebookストアで、ユーザ企業のFacebookページを通じて注文を処理し集金もするサービス。

Plan9は年に2回のインキュベーションプログラムを行っていて、各回には15チームが選考される。次回参加するチームは3月にプログラムを開始する予定だ。Plan9のプログラムに参加する条件は、設立者がパキスタン国籍であること、そしてチームには2~5人のメンバーがいることだ。応募者は自分たちのビジネスアイデアを、ホール、カラチ、イスラマバードで行われるPlan9のローンチパッドコンペのいずれかでピッチし、承認されなければならない。

パンジャブ政府がなぜテックスタートアップのインキュベータプログラムに関わっているのかを聞くと、Plan9の担当者は、パキスタン全土にテック起業家にとって望ましいスタートアップエコシステムを築くことが理想なのですと説明した。

PITB会長のUmar Saif氏は次のように述べている。

「Plan9は私にとって非常に大切なものです。すべてのチームとは言いませんが、いくつかのチームが世界の市場で実績を残してくれることを願っています。」

現在、パキスタンには3000万人を超えるインターネットユーザがいる。この数はパキスタン人口全体の約16%を占める。パキスタンでモバイルインターネットを利用している人の数は1500万人だ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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