韓国のインキュベータ「ソウル・スペース」発の有望スタートアップ3社

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【原文】

ソウル・スペースを訪れたのに、スタートアップではなくプログラムのことだけを話題にするのは、本来の意図から外れている。私が会ったスタートアップのいくつかをここで紹介したい。

 

 

 

 


パーティーモンスター

パーティーモンスターは、韓国国内のクラブイベント、音楽祭、コンサート等のチケットを、週単位で小売価格の半額で共同購入できるサイトだ。彼らは、クラブが顧客リストを持っていても、実際に来店するのはその半数に過ぎない韓国ナイトライフ市場の現状にビジネスチャンスを見出した。集客したいクラブと、少しでも安く遊びたいお客とのギャップを埋めるため、パーティーモンスターは破格値でチケットを売り出す。ターゲットは、あまりお金をかけずにクラブ遊びを始めてみたいと思っている20代前半の若者だ。

パーティーモンスターのサイトは、クラブのオンライン宣伝プラットフォームとしての役割も持つ。

共同創業者のシン・ハヨン(심하영、英語名:Mike Sim)とピーター・ユン(韓国名不明)は、二人ともアメリカで教育を受けた後、スタートアップを立ち上げるため、生まれ故郷の韓国に戻った。彼らは5人の小さなグループからなり、メンバーには韓国各所のイベント会場との太いパイプを持つ、エンターテイメント企業の元CEOも名を連ねる。

パーティモンスターの創業者、ピーター・ユンとシン・ハヨン

ちょうど昨日(8月2日)、グルーポンに次いで2位の共同購入サイト「リビング・ソーシャル」が、韓国の同業「チケット・モンスター」の買収計画を発表した。シン氏は「パーティーモンスターなら、チケットモンスターよりももっと成長できるのに。都市ごとに、多くの営業スタッフをたくさん配置する必要がないからね」と述べる。

また、一度きりで終わってしまうグルーポンのような販売形態ではなく、パーティモンスターでは、金曜と土曜の夜だけでなく、イベントのコンスタントなチケット販売を毎週提供している。

顧客がチケットを購入できるように、パーティーモンスターは近く、ウェブに加え、iOSとAndroidの販売チャネルを持つ予定だ。パーティモンスターは、イベントのプロモーションのために、Facebookが持つソーシャルメディア・マーケティングの力を活用している。なぜなら、「地域、年齢、興味に沿って、マーケティングすることができるから」とシン氏は述べている。

今後、パーティーモンスターは、B2Bの顧客リスト管理ツールを開発したいと考えている。このツールを使えば、クラブのプロモーターが容易に集客のROI(投資収益率)を計り、経費を節約することが可能になるだろう。

パーティーモンスターは現在エンジェルからの出資を元に運営されており、まもなく、次のラウンドであるシード・ファンディングに移行する見込みだ。


スポカ

Spoqa – 모바일 소셜 포인트 카드, 스포카! from Spoqa on Vimeo.

先日、(中国の場合だが)共同購入サイトが生き残るのは困難で、そのためには、顧客の支持をベースとした新しい共同購入のビジネスモデルが必要となるだろうと書いた。韓国には、600の共同購入サイトがあり、いずれ同じ問題に直面するだろう。しかし、韓国のスタートアップ「スポカ」は、店舗を疲弊させるクーポンでお客が一度しか来ない問題の解決を目指している。

スポカの CEO で共同創業者のチェ・ジェソン(최재승、英語名:Richard Choi)は、次のように説明してくれた。「現在のソーシャル・コマースには多くの問題が存在する。ある調査によると、グルーポンで取り扱われたレストラン・ディールのうち42%で利益が出ていない。この問題を解決したいんだ。」

顧客の再来店が望めないところで割引する代わりに、スポカはリピーターを作り出すことに努力している。

そのしくみを説明しよう。まず、スポカのユーザーは、スポカのパートナーショップからピザや靴を購入し、モバイルアプリを使ってポイントを貯める。ユーザは商品購入後、フォースクエアに似た位置情報アプリを使って、どこで何を買ったのか、フェースブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワークを使って、友人に伝えることができる。

その友人が同じショップに行って何かを購入すれば、元のユーザーにも購入した友人にもポイントが付与され、ピラミッド型の紹介ポイントシステムが形成されていく。人々をブランドの伝承者にするわけだ。ポイントは、購入者とショップや商品を直接紹介した人にのみ付与される。(紹介者の紹介者、また、それより前の層の紹介者には付与されない)

「本来のソーシャルコマースは、どんな買い物であれ、ある人の買い物がその人の友人の商品購入の決断に影響を与えるようなしくみだと思うんだ。我々はゲームの要素を取り入れ、ポイントを貯めるためには、紹介されてから一定の期間/時間内に来店する必要があるようにしている。紹介から一年後に来店されてポイントを付与しても、お店にとってフェアじゃないからね。あなたがパワフルなツイッターのユーザーで、地元のレストランでおいしいスープを口にしたら、より多くの人がそのスープを求め、そのレストランが売上を早く伸ばせるようになる。こうすれば、リピート客やその友人をお店に誘導して、そのお店に価値をもたらすことができると思うんだ。」とチェ氏。

韓国人はコーヒー好きの国民だ。ソウルだけでも随所にカフェがあふれているが、チェ氏は、スポカが持つソーシャル・レコメンデーションの機能で人々に利益をもたらし、それらのカフェを差別化して、リピート客や新しい客を魅了したいと考えている。

スポカは現在のしくみから、お店が自らディールをアップロードでき、割引内容を自由に設定できるオープン・プラットフォームに移行する計画だ。当面このビジネスモデルはフリーミアムで提供されるが、ソーシャル・ネットワークと連携されたユーザの購入履歴のマネタイズを目論んでいる。

スポカは目下テスト中だが、既に購入ディールを提供しており、今まで共同購入で50%の値引を余儀なくされ、それにもかかわらずリピート客を獲得できなかった店からの反応は上々のようだ。

「スポカを航空会社がマイレージプログラムに使いたくなるようなサービスにしたい」と、チェ氏は冗談めかしく語った。


スキン・ヘブン

スキン・ヘブンは、チェ・ジョンテク(최종택、英語名:JT Choi)が経営する化粧品のEコマースサイトである。韓国は容姿を気にする国だ。地下鉄や街角に掲げられた美容整形の術前術後の写真広告を見れば、一目瞭然である。美容整形外科が立ち並ぶ通りまで存在するくらいだ。

スキン・ヘブンは、主に韓国国外、スイス、イタリア、アメリカから輸入したオーガニック化粧品を取り扱う。ウェブサイトはごくシンプルなEコマース・プラットフォームであり、注文を受けた日に数マイル離れた倉庫から商品を取り寄せ、お客に発送する。

チェ氏は、取扱商品が異なるとはいえ、多くのオンライン化粧品サイトと競うことは難しいと考えている。オランダ生まれ、現在はイベントをオーガナイズし、DJのブッキング・エージェントを務める。

【via Technode 】 @technodechina

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