インタビュー:バタビア・インキュベータ蛯原健氏「若き起業家こそ、インドネシアを築く」

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【原文】

バタビア・インキュベータは、2週間前に設立されたばかりの、インドネシアで最も新しいインキュベータの一つだ(関連記事)。 日本のインキュベータ、リブライト・パートナーズと、インドネシアの金融グループ「コルフィナ」によるジョイントベンチャーである。

バタビア・インキュベータのことを知り、インドネシアのスタートアップについての考察を深めるため、同社の共同創業者でジェネラル・パートナーである蛯原健氏 (@TakeshiEbihara) に、メールでインタビューした。彼はリブライト・パートナーズのCEOでもある。


Bukalapak.com の創業者にお話を伺ったとき、バタビアがC2Cコマースに強いことを強調していました。日本ではどのようなスタートアップに投資されているのですか。C2Cコマースが多いのでしょうか。


我々の投資は、コマースを含むインターネット/モバイルサービス全般にフォーカスしています。その多くは消費者向けのサービスですが、中には広告技術のような企業向けのサービスもあります。コマースは非常に重要で、インターネット・ビジネスでは、大きなサービス領域を占めます。多くの国々で、比較的インターネット・ビジネスが初期段階にある過程ではその傾向が顕著です。インドネシアでは、そのタイミングが近いうちに訪れるだろうと考えています。


どうしてインドネシアを選んだのですか。また、それ以前は、インドネシアについて、どのような考えを持っておられましたか。


コルフィナ・グループ(インドネシアの金融グループ。共同創業者でジェネラル・パートナーのスリヤント・ウィーアヤ氏が代表を務める)は、インドネシアのUKM(中小企業)投資の経験が豊富です。インドネシア政府は、同国の不動産業界を活性化するためのプログラムを通じ、コルフィナをサポートしてくれています。したがって、我々はインドネシア市場について、少しなりとも知識を持っていたというのがきっかけです。

インドネシアのIT市場の規模、発展段階、可能性が、投資やインキュベーションを始めようとする我々に合っていた、ということもあります。また、ミクロ経済的にも地政的にも、他のアジアの国に比べると安定しています。

これまでに多くの熱気あふれる起業家と会うことができました。学生もいました。これからのインドネシアのIT産業を築いていく人材は、層が厚く優秀であることがわかりました。彼らはインドネシアのIT産業の成長を確信させてくれる存在です。


バタビア・インキュベータは、Bukalapak.com を最初の出資対象に選択した理由は何でしょうか。同社に対して、今後どのように関わっていく予定ですか。


出資の理由は経営陣です。彼らがそう決めさせてくれました。スタートアップに投資する上で、常々、経営陣こそが最重要のファクターだと考えています。創業者が一人であるより、複数であるほうが望ましいです。

Bukalapak.com の経営陣は頭がよいだけでなく(経営陣はバンドン工科大学の首席の学生ら)、信頼や責任分担に基づいて協働するよいチームです。

我々が持つ戦略やメソッドを、Bukalapak.com の経営陣と共有しようと思っています。必要なときは、我々が持つネットワークを通じて、日本企業とのパートナーシップの構築を支援していきたいと考えています。


インドネシアのスタートアップにアドバイスをお願いします。投資を受けるための秘訣はあるでしょうか。


よく働き、素早く行動すること。グローバルにモノを考え行動すること。自分がやっていることに集中し、心から信頼できる共同創業者を見つけること。…ということでしょうか。

スタートアップの多くは、創業者たちが20代のうちに成功していて、それは彼らが自分たちの確信できる一つのことに集中し、仕事に対してハードに打ち込めるからでしょう。


バタビア・インキュベータの今後の計画をお聞かせください。あらゆるタイプのスタートアップを模索されているのですか。


シード・ステージのテック・スタートアップにフォーカスしています。若い起業家と共に仕事したいと思っています。学生でもOKです。創業者一人のスタートアップよりは、複数名からなる創業者チームの方が望ましいです。そして、チームの少なくとも一人は、ソフトウェアが書けることが望ましいです。


最後の質問ですが、バタビアというのはジャカルタの旧称です。社名にバタビアとつけたのはなぜでしょうか。


よく聞かれます。

ジャカルタがバタビアといわれた頃、旧日本軍は欧州の植民地から独立すべく、インドネシアの人々と共に戦いました。今日、欧米のIT企業がインドネシア市場に参入してきています。

私は日本の経験や知識を通じて、インドネシアに自前のIT産業を築くべく、インドネシアの人々と共に戦いたいと思っています。バタビアという社名には、希望の思いを込めています。

【via Penn Olson 】 @pennolson


著者紹介:ムハンマド・イルマン・アクバー
2006年からブログを始める。複数のインドネシアのオンライン・コミュニティーに関与し、インドネシアのスタートアップ・コミュニティ「StartupLocal」のメンバー。自身のスタートアップ「anaKUI.com」を運営。

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