日本の革新的な鉄道は有名である。「新幹線」が高速鉄道における飛躍的進歩を遂げたのは1960年代のことではあるが、ほぼ間違いなく、経済的な唯一の技術として存在している。東日本旅客鉄道株式会社((JR東日本)は、2001年にチケットレス支払いシステムの導入を開始した。このシステムにより、通勤者は、改札口にICカードをかざして、改札に入ることができるようになった。
この非接触支払いシステムは、携帯電話に組み込まれ、日本のほぼすべての路線で導入され、今では何万人もの通勤客が利用している。この成果は、最初に商業的に成功した、NFC(技術的には、FeliCa)の活用の一例である。そして今、さらなる進歩を目指してJR東日本は車内でのWi-Fiサービスの実験を開始する。
JR東日本は、10月中に「トレインネット」と呼ばれるサービスを試験的に始めると発表した。トレインネットはWi-Fiを通して、直接乗客のスマートフォンに電車に関連する情報を配信することを目指している。1カ月のテスト期間は山手線から開始予定だ。
ちなみに東京在住でない方のために説明しておくと、山手線は東京の中心地を取り囲むように循環する象徴的な路線である。山手線は一日に3千5百万の利用者が利用するとされ、東京の最も混雑した電車の線であり、新たなサービスをテストするには最も適しているといえる。
トレインネットは電車からWi-Fi経由で情報を発信する一方、外部のインターネットへのアクセスは提供しない。その代わり、山手線と利用者の位置に基づいた駅に関するリアルタイムな情報を提供するものである。試される情報サービスは次の通り。
・乗客の現在の駅と次の駅までの時間
・選択できる駅周辺のニュースや写真
・遅延や注意に関するリアルタイムな更新
・出口やエレベーターを表示する駅の地図
・各車内の気温と外気温度
・各車内の混雑状況
・駅構内のお店のクーポンや売店情報
・漫画、本、映画
・広告
JR東日本は、提供するサービスのいくつかの情報について曖昧であるが、実際のテストはこの発表から変わることもあるとしている。しかしながら、この実験は乗客とのより個人的なコミュニケーションに向けた一歩となる。
トレインネットで提供された多くの情報は、既に電車のスクリーンに示されている。しかしながら、トレインネットは乗客のリクエストに応じて情報にアクセスできる。同じく、このシステムはJR東日本にとって顧客の理解をより深め、更に直接的な宣伝の機会となるであろう。
更なる情報はJR東日本の公式ウェブサイトにて(日本語による)。
JR東日本のプレスがリリースしたイメージ画像
著者紹介:スコット・ハルコム
東京のインフィニタ社でモバイル関連のリサーチとコンサルティングをしている。モバイルや新しいもの好き。彼の Twitter アカウントは、こちら。メールは、こちら。
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