起業家のことは起業家に聞くべきークロノスファンド、EastVenturesの共同パートナーであり、私たちStartup Datingのアドバイザーでもある松山太河氏が主催するTokyoStartupSchoolの授業が開催された。30名超の若手起業家の卵を前に、5人の先輩起業家が先生となりその経験を語った。
衛藤バタラ氏ープロトタイプでもいい。何か出すことが大切
トップバッターの先生はmixiの元CTO、現在はEastVenturesで東南アジアを中心にスタートアップの投資、シードアクセラレーターとして活躍している衛藤氏だ。
mixiの立ち上げ時、当時人気だったソーシャルネットワークのフレンドスターを参考にした、という話題から「プロトタイプでもいいのでなにかを出すことが大切。プロダクトを出す前に資金切れすることもある」と語る。
具体的には「一個のサービスの開発は3カ月以内。参考になるサービスの機能を全部真似できるならいい。スピードを重視したほうがいい」とアドバイスした。
家入一真氏ーコンプレックスをバネに起業するのもいいんじゃないかな
あんまり人の話聞かなくていいんじゃないですか?と始まったのが二番手の先生、家入一真氏。引きこもりから上場IT企業経営者、飲食店オーナー、そして現在は個人投資家としての顔を持つシリアルアントレプレナーだ。
クリエイターとしての側面が強い彼は、ものづくりを通じて企業経営を考える。「デザインしたり、プログラムしたりしていて。そういうことを通じて会社の方向性をつくっていった。企業理念とか経営理念とかは考えてなかった。言葉にしなくても通じるものがあるよね、ものづくりを通じて伝わる。それで社員を増やしていく」。
現在力を入れるのが後進の育成だ。「コンプレックスをバネに起業するのはいいんじゃないかなと。とにかく会社をつくることでひろがる世界もある」と語る彼は、個人でやっていた投資活動を組織的にしようと準備中だ。「夢は悪ふざけコングロマリットをつくりたいなと。いろんな業態が一杯あって、ゆるくつながってる、とか」。
山田進太郎氏ー成功するまで打席に立ち続けろ
昨年の8月ウノウを数十億でZyngaにバイアウトした山田氏はヒットブラウザゲーム「まちつく」ができるまでの話題を元に、どうやったら成功するかを語った。その秘訣は「いかにしてやりたいことをみつけるか」だ。
「2004年に渡米して翌年に帰国。日本ではいろんなネットベンチャーとネットワークもあったので、調達や採用はスムーズだった」とウノウ立ち上げ当初を語る。しかしヒットするサービスはでるものの、ビジネスがなかなかうまくいかない時期が続いたそうだ。
そこで彼はモバイルとコンテンツという二つの方針を固め、まちつくのリリースへとつなげる。結果、mixiのオープン化とも相まって事業的にも大きく成功した。
彼が語る成功するための唯一の方法は「打席に立ち続けてとにかく諦めないこと」だ。「ひたすら打席に立ち続けてホームランを狙う。諦めたら終わり。打席に立ち続ければカンが冴えてくる。ここが勝負所だとわかるようになる」。
早剛史氏ー買いたいといわれたときが売り時
17歳で吉本NSCに入学したという異色の経歴をもつ起業家が早剛史氏だ。美人時計をバイアウト後、現在はサイブリッジベンチャーズ代表として投資家の顔を持ちながら、連続起業家としてファンアプリ代表も務める。
「ネットの広告の掲載期間が短くなってる。1カ月単位だったのが1週間、成果報酬になってきてた。何曜日の何時何分に広告をうちたいという時代がくるんじゃないか」という発想から生まれたのが美人時計。サービスを広めるために彼が取り組んだのが幅広い事業提携と多くのリリースだそうだ。
「とりあえずプレスリリースを沢山だそうと。ライブドアの堀江さんをみていて、毎日事業提携していてどこまでいくんだろうと」。ヒントを得た美人時計は事業提携をすすめて規模を拡大。バイアウトについては「元々創業者メンバーで話をしていた」と語る。「買いたいといわれたときが売り時だ」ー早氏はそうアドバイスした。
石原明彦氏ー300万も集められないのなら起業しないほうがいい
先生の中では最も若手となるワイアードの石原氏は、今年の4月に自身が手がけたシフト管理サービスのシフターをサイブリッジへ事業売却している。売却後はクーポン共同購入のポンパレプロデューサー、ポーカープレーヤーとしての顔を持ちながら「何回も起業したいと思っていたのでそろそろ次をやりたい」と、次のサービスを立ち上げるために準備中だ。
彼は「お金を稼ぐことは大切。お金を稼げるサービスには価値がある」とビジネスの重要性をはなす。また、起業のタイミングについても「本当にいまやるのがベストなのか。一回会社に入ってみるのも悪くない。お金の流れを給料もらいながら学べる」と、まず起業に必要な経験を積むことも大切と語った。
さらにシード期の資金調達についても「(自己資金で)300万も集められないような事業ならやめといたほうがいい。すぐになくなる」と自身の経験も踏まえて注意を促した。
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