D2Cから資金調達したAffle、中国・日本市場への参入はまもなくか

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

シンガポールのスタートアップ「Affle」は、数週間前にディーツーコミュニケーションズ(D2C)から新たな資金調達で1000万米ドルを獲得した。

筆者は、設立者兼CEOのAnuj Khanna Sohum 氏にお会いし、同氏の今後の計画や同社のビジョンについて話を伺った。話はおもしろく、Sohum 氏は確かに筆者がこれまでにお話を伺ったシンガポールテック業界の中でも経験豊かな起業家の1人である。

だが、まず始めに「Affle」とは正確にはどんな企業で何をしているのだろう? 「Affle」はモバイル業界の「メディアオーナー」と「メディアエクスチェンジ」のハイブリッドだ。Affle はメッセンジャーやモバイルマガジン、モバイルクーポンなどのモバイルアプリを開発・所有していることから「モバイルオーナー」であり、また同地域全体の通信業者やパブリッシャー(インドのAircel、インドネシアのTelkomselESPN など)の広告管理を支援していることから「メディアエクスチェンジ」でもある。

全体的にみれば、Affleのビジネスモデルはモバイル広告を販売することを軸にしている。だが、Sohum氏はAffleは決して InMobiやBuzz Cityのようなモバイル広告ネットワークではないと主張する。むしろ、Affleは優れた広告の在庫管理でCPMの高いサービスを、P&Gや CadBury、トヨタのような大企業へサービス提供している。なんだかんだ言っても、Affleが利益を上げている限り、会社の説明はそんなに重要ではない。そしてSohum氏によれば、同社はまさに儲かっているのだそうだ。

Affleにとって最も重要な市場はインドとインドネシアの2か国で、同社はそれらの地域で現地通信業者と独占提携を結び広告管理をしている。Sohum氏は、これらの2か国には独立事務所があるので利益が大きいと説明している。だが、積極的に事業拡大を進める中、シンガポールやタイ、べトナム、マレーシアなどの事務所を含むグループとしてのAffleはまだきちんと採算がとれていない状態だ。そして、Sohum 氏はインドとインドネシアだけに注力して快適な暮らしをすることもできると冗談も言い、その2つの市場がいかに上手くいっているかをほのめかした。

では、Affle は受け取った新たな資金をどうのように運用しようとしているのか? Sohum 氏の計画は非常に明確で、筆者の質問に答えるのもスムーズだった。まず、Affle は既存の市場(特にインドとインドネシア)を拡大するために引続き資金を注入する。第二に、新たな資金を R&D(研究開発)にも注ぎ、今後も最新のモバイル商品を作り続ける。Affle が開発したモバイル・メッセンジャー「Pinch」はSohum 氏と筆者が詳細に語り合ったAffle社の主要商品の1つである。

Whatsapp」や31SMS」などのアプリはスマートフォンをターゲットにしているが、このようなスマートフォンのみに使えるアプリは、アジアではあまり通用しないかもしれないとSohum氏は説明する。なんだかんだ言っても、アジアのユーザーのほとんどは、未だにフィーチャーフォンを使っている。だから「Pinch」はスマートフォンにもフィーチャフォンにも使えるように作られているのだ。

「Pinch」はフィーチャーフォンとスマー トフォン間(どんな機種でも)でもメッセージのやりとりができる。さらに、Sohum氏はユーザーのフィーチャーフォンがGPRSであろうと3Gであろう と、もしくは何もなくても問題ではないと説明している。「Pinch」では、メッセージはSMSとして送られて、受信者側では「Pinchメッセージ」として受信するので、きちんと機能する。

Sohum氏の3つめの目標に、筆者は多いに興味をそそられた。同氏は、Affle は世界でも最大のモバイル大国である中国や日本に参入する機会を待っていると語った。Affle が中国に参入するのはどのくらいすぐなのかと尋ねると、Sohum 氏は市場に参入するいいチャンスが得られれば明日かもしれないと答えた。Sohum 氏は中国でも同様の戦略をとるつもりだ。つまり、通信業者やモバイル関連企業などの現地企業と提携する予定だ。 Sohum 氏はさらに、志を同じくする企業を見つけることができれば、現地のスタートアップを買収する見込みは十分にありうると語っている。

Sohum 氏がAffleの将来図全体を立案したかのように、すべては順調のようだ。日本のモバイル広告業者「D2C」の投資を受けようと決めた理由を聞くと、Sohum 氏は今回の投資は投資というよりも提携のようなものだと説明した。同氏は、他の投資家からでも1000万ド ルを調達することはできたが、AffleとD2C両社のビジネスモデルや市場の専門性も合うことから、今回のD2Cの投資は提携をさらに強めることになったと語った。

D2Cの専門知識と大きなネットワークがあれば、Affle は日本で容易に成長することができる。D2Cは顧客にAffle が在庫している広告を提供すれば、特にインドやインドネシアでは、お互いにメリットのある商機を生み出せることになる。

関連情報として、Sohum 氏はAffle の資金はすべてベンチャーキャピタル以外から調達していることを明らかにした。その代わり、たいていその調達資金は、関係強化のための戦略的提携に集中している。Sohum 氏が説明したように、Affle は同氏とそのチームが取り組んでいる長期的なプロジェクトだ。イグジットについて尋ねると、Sohum 氏はそんなことは考えていないと述べた。もしAffle を買収したい人が出てきたら、買収に応じる前に「傑作のプロダクト」を安全な場所に移さなければならないと同氏は語り、買収の決定はどんな場合であっても同社のためにされるべきで、単にお金のためであってはならないと主張した。

「Affleが成長するかどうかの問題ではない。Affleが“どのくらい”成長できるかということなんだ」と同氏は自信たっぷりに語った。

【via Penn Olson 】 @pennolson

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