中国からスティーブ・ジョブズを生み出すには…

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

先日、Lee Kai Fu(李開復)氏は清華大学で、中国のモバイルや起業家精神について、いくつかの見解を語った(関連記事)。司会者(彼も教授)と聴衆の質問は、いやがおうでも、中国からスティーブ・ジョブズを作り出すことに焦点を当てすぎていた感は否めない。

Lee氏 は社会に出たばかりの人は、Innovation Works(創新工場)のインキュベータープログラムで成果を達成することはないと断言し、司会者は冗談混じりだろうが、Lee氏 のその意見に対して、清華大学と中国には次世代のスティーブ・ジョブズになりうる、やり手の若者が溢れかえっていると反論した。

しかし後になって、この司会者も適切な素質を備えた学生にまだ出会ったことがないので、次のスティーブ・ジョブズを育成するのは難しいだろうと白状している。そして、もちろん、中国の文化や教育制度に関するよくある非難もあり、それが中国での起業家精神を妨げていると言われている。

もちろん、これは個人的な意見だ。だが、筆者が少し気になったのは、中国の起業家精神に関して討論している間、終始スティーブ・ジョブズだけが議論の的になっていたことだ。それでは、Pony Ma(馬化騰)氏(Tencent 騰訊の創業者)、Jack Ma(馬雲)氏(Alibaba 阿里巴巴創業者)、Roin Li(李彦宏)氏(Baidu 百度創業者)などの有能な起業家らはどうなのだろう? 彼らはどうして「中国のスティーブ・ジョブズ」ではないのか? もしくは少なくとも中国市場によく貢献した、素晴らしいプロダクトを作り出した中国人として評価、言及されないのだろうか?

おそらく、アジア独特のことなのだろうが、興味深いのはアジア人が欧米人に対して尊敬の念を持っている。そして、時に欧米人を尊敬しすぎていると思うこともある。まるで自分達にほとんど自信がないかのように。最高の人を崇拝して、その人から学ぼうとすること自体はいいのだが、中国でスティーブ・ジョブズを新たに育成することをセッションの間ずっと聞くのは気にさわる。中国(その他の国も含め)で新たにスティーブ・ジョブズを育成することなんてできない。なぜなら、スティーブ・ジョブズは全く異なる文化に住み、独自の経験を通じてスティーブ・ジョブズという人間を形成したからだ。

滑稽に聞こえるかもしれないが、司会者があるところで、Lee氏に、Lee氏の子供が教育によって次世代のスティーブ・ジョブズになれるかどうか質問した。Lee氏は笑いながら、自分の子供は起業家的な性格ではないと答えた。

その通りだ。

人は、家系、育ちや訓練などでスティーブ・ジョブズになるのではないと、Lee氏は強調して伝えているのだと、私は理解している。天才的な起業家を創造したり、そうなるように仕込むことはできないのだ。「OK、次のスティーブ・ジョブズを養成するため、起業家にお金をかけ、アメリカ風の教育をして起業精神を植え付けるのだ」と言える勇気を持った人物はいないのだ。

起業家を奮い立たせるのは情熱であり、そしてその情熱は自然に育まれるものである。だからこそ全てが本質的でなくてはならない。スティーブ・ジョブズは2005年のスタンフォード大学の卒業式で述べたことに全てが集約されている。

「時間は限られている。他人のために生きて時間を無駄にするな。」

”Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.”

だからみなさん、自分の生きた証を残しましょう。

【via Penn Olson】 @pennolson

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