外国企業が中国進出で失敗する理由と、中国での成功の秘訣

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

携帯ゲームとゲーミフィケーションに特化したスタートアップIDF softのCEO Henry Hua氏は、先月シンガポール国立大学(NUS)のコンピューティング学科で講演し、外国起業家による中国市場への参入について話した。

多くの人々がすでに気付いているが、多くのインターネット業界の巨人たちが中国インターネット市場で足場を築くことに失敗している。これは悲しいことであるが、なぜこのようなことが起こるのであろうか? そしてなぜ後続の企業は、先人の失敗に学ぶことが出来ないのであろうか?

彼が引用した有名な例の一つは、完全に幕を下ろしてしまったGoogle Chinaだ。Googleと当局の関係を危機にさらしたハッキングに関する議論はさておき、両者は人々がウェブにアクセスする方法に関して全く異なった見方をしていた。不幸なことに、これによりGoogleは中国市場でのシェアを失い、現在は中国でのオンライン地図のライセンスに関して争っている最中である。

同様のケースが、ebay、Amazon、Yahoo、MyspaceおよびGrouponのような他のインターネット大手にも及んでいる。それらすべての失敗に言えるさまざまな要因とは何なのか。Hua氏は講演で、これら7つの内容を明らかにした。

外国企業の参入を不可能にする中国政府と政策

Henry氏は、特にインターネット業界に関しては外国の単独投資家(ジョイントベンチャーなし)では、インターネットコンテンツプロバイダー(ICP)のライセンスを取得することはできないであろう、との意見を述べた。中国の人民が「慎重に扱うべき」情報を外国のウェブサイトから入手することを避けるために規制される傾向にある。

そのため、外国からの参入者に共通するアプローチは、GrouponがTencent(騰訊)と結んだようなパートナーシップを結ぶことである。

それに加え、中国で事業を展開するには多数のライセンスを取得しなければならないという事情がある。どのような事業においてどのライセンスが必要なのかをきちんと判断しなければならないため、追加のライセンスの取得はとても高い参入障壁となっている。Henry氏の見解では、そういったライセンスが義務付けられている(部分的な)理由は、外国人の介入をより難しくするためだとしている。

イノベーションと知的財産の保護制度が弱い

中国では、イノベーションと知的財産(IP)に関係する保護制度などはほとんど見受けられない。実際、インターネットビジネスにおけるビジネスモデルとユーザーインターフェイスに関わる保護制度などは見受けられない。我々はクローンの例を2、3ほど見てきており、クローニングによってインターネット業界がいっそう促進性をもっていることは疑う余地もなく、ソースコードが様々なページやアプリから簡単に盗用・コピーされているのだ。

中国のインターネット市場において、いわゆる「コピー・ツー・チャイナ(C2C)」は、いまだに主要のビジネスモデルなのである。欧米で成功したサイトやサービスがあると、それらは中国でコピーされ、構築され、ローカライズされるのである。そのような手順が出来上がっているため、海外の企業のビジネスモデルは中国では簡単にコピーされてしまう結果となり、海外の企業が中国に進出していくことなどもはや無意味とも思われる。

粗悪なパートナーシップ

海外の企業が現地企業と合併事業を行うケースの多くでは、彼らが異なった課題や目的を持つ。海外の企業の主な目的は、ライセンスを取得し中国での事業のやり方を学ぶとことだ。一方、中国のパートナー企業にとっては活かせるスキルの獲得、国際的なパートナーから技術を学んでいくことが主たる目的だ。

しかし、彼らは目的を達成するや否や、合併企業解消を要請する。2社間の関係と信頼は弱まりいずれ絶たれる。合併事業は「結婚生活」に災いをもたらす子である、とビジネスマンが言う理由がここにあるのだ。

グローバル企業であることの問題

大手企業ではしばしば、意思決定が敏速に行われないことがある。意思決定する前に何段階もの手続き処理が必要となり、これが全体的な実行プロセスを遅くする理由である。多くのスタートアップと比較しても処理スピードが遅い理由がここにある。

それはさておき、海外の大手インターネット企業は常に世界的な基準を維持するよう努めているが、中国市場自体は非常に特異で細分化されているという大きな違いに気づかず、間違いに陥りやすい。大規模で成長を遂げている市場の常識を、中国国内でただ単にコピーをし実行するだけでは駄目なのである。

中国の逸材を誘引する能力の欠如

企業が従業員を選択するのではなく、今では才能を持つ人材が企業を選ぶ。昨今の中国では、トップ人材にとって政府部門で働くことが最も人気のある選択肢であった。なぜか。政府や政府支援の企業での職につくことで彼らは力とステータスを手に入れることができたからだ (また、長時間のランチ休憩時間も理由の1つ 。)

さらに、中国の給与が低いという認識は間違っている、とHenry氏は述べた。これは正しい見解ではなく、特に、素晴らしい技能を持ったひっぱりだこの人材に関しては確実に誤った考えである。今では、最も優れた人材は国際的な基準をもとに給与を与えられており、包括的な給与を手に入れている。

中国で成功を築き上げるには?

Henry氏は、中国で成功する企業を築き上げるには、まずは円滑な業務活動へとつなげていくことができる強みのある政府との関係を築き上げることが重要だと述べた。

強い関係を築き上げていくこと以外に、中国市場におけるルールにそって活動することが重要である。自分のウェブサイトが主にユーザーによって作り上げられていくコンテンツを含むものであれば、自分のサイトに掲載されるコンテンツを管理する専門チームを導入すると良いだろう。不適切なコンテンツを全て取り除くことで、ページがブロックされるという事態を避けるべきだ。これは、中国におけるウェブの世界で最も間違ったとらえ方をされている自己検問手順である。中国では、ウェブ企業自身がほとんどの規制を行っていくのである。

中国市場に向けて商品を開発したいと言いながら、中国にオフィスすら構えないのは誠意に欠ける。長期のコミットメントが必要だ。ローカルチームの編成、各都市の様々な文化の理解などをもって、自分の商品を上手くローカライズ化していくのも一案だ。現地の人々の方が自分よりも上手く自分の商品をローカライズしていくことができるため、海外・現地の従業員間の信頼感を深めることも大切だ。

海外の起業家への助言

Henry氏は、中国で誠意をもって事業を行い企業を立ち上げるのであれば、中国に基盤を置くべきと話す。可能であれば、まずは現地のスタートアップで働き、文化を十分理解した上で自分自身の事業を立ち上げると良いだろう。

将来の実業家を夢見る学生に対して、Henry氏は、中国のスタートアップ企業で彼・彼女自身のキャリアを始めることを勧めているが、中国で学習することは勧めていない。そう、間違いなく文化と言語を学ぶことはできるが、スタートアップの人材が全体的なスタートアップの航路において経験するであろう苦悩にどのように打ち勝っていくのかを学ぶことはできないからだ。

中国で事業を立ち上げることは容易ではない。しかし、なぜ海外の企業が失敗したのか、ということから学ぶこと、そして彼らが犯した過ちを繰り返さないことが大切である。これによって、中国で優良なスタートアップを築き上げていく道のりは非常に容易なものになる。

【via Penn Olson】 @pennolson

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