【ゲスト寄稿】サンフランシスコで開催された“LAUNCH Festival 2012”のレポート

by ゲストライター ゲストライター on 2012.3.14

この記事をゲスト寄稿してくれたのは、スマートフォン向けアドネットワークの株式会社medibaで海外戦略部部長を務めておられる、合田ジョージさん。合田さんは東芝、村田製作所を経て、2011年1月から mediba前身のNobotに参画し、海外展開・マーケティングを担当されてきました。昨夏のKDDIによるNobot買収に関する一連のニュースもどうぞ。


2012年3月初旬に、サンフランシスコ・デザインセンターで開催された「LAUNCH Festival 2012」の模様をお届けします。

イベント”LAUNCH”について

LAUNCHは5年前、サンフランシスコのパレスホテルで開催されたテックイベント「TechCrunch 40」にルーツがあります。TechCrunch 40(後に、TechCrunch 50) は、TechCrunch 創業者の Michael Arrington と、MahaloやThis Week in Startup(TWIST)などを経営するシリアルアントレプレナー Jason Calacanis によって開催されました。

以降、3回にわたってイベントは続きましたが、TechCrunch がAOLに売却されたことを機に MichaelとJason の関係は悪化。Michael は TechCrunch を退き、一方のJason は第2回目以降の TechCrunch 50 が開催されていたのと同じ会場で、LAUNCH を開催するようになりました。

“LAUNCH Festival 2012”

3月6日と7日、サンフランシスコのDesign Centerで開催された “LAUNCH Festival 2012” に参加して来ました。会場の様子やコンペティションの模様をレポートしたいと思います。何よりも、「それは大勢の人の問題を解決するものなのか?」という、スタートアップにとって非常に基本的で重要な課題が問われた二日間でした。

LAUNCH Festival は、サンフランシスコのTownsend StにあるZyngaのオフィスの隣のDesign Centerで開催されました。ブース出展が194社、42社がプレゼンするというかなり濃い内容でした。審査員には、日本でも有名なZapposのTony CEO、500StartupsのDaveさん、一度は聞いたことのあるサービスを提供する会社の経営陣などかなり豪華な顔ぶれです。これだけの面々を揃えられるのも、サンフランシスコ・シリコンバレーの強みと言えましょう。

Design CenterにてLAUNCH Festivalの入場を待つ人の列

展示ブースの様子

プレゼンの行われたメイン会場

最初のスタートアップのプレゼンが2セッション(計9組)終わった時点で会場からは歓声があがりました。驚いたことに、イスラエルのシモン・ペレス大統領が登壇されたのです。一通り主催者とのパネルディスカッションが終わって、皆でシモン氏のメッセージビデオを鑑賞。ラップのミュージックビデオのような創りなので、踊りだす人も出始め、最後はスタンディングオベーション。これもアメリカならではと思わせられる瞬間でした。

イスラエルのシモン・ペレス大統領のパネルディスカッション

2種類のコンペティション

LAUNCHのコンペティションですが、賞金の金額も非常に大きく、総額で1M USドル(日本円で約8000万円)です。また、その場で投資をしたいというエンジェルの審査員や、有名なインキュベーション“TechStar”が小切手を切る場面もありました。この臨場感もアメリカならではでしょう。

さて、コンペティションには2つあります。企業もサービスも新しく始めるスタートアップを対象とした Competiton 1.0。もうひとつは、既存企業が新しいサービスを立ち上げるCompetiton 2.0です。どちらとも審査委員が最も重視していたのは、「どれだけ多くの人の問題を解決できるのか」という点でした。

優勝したスタートアップ

Competition 1.0の勝者は、“Space Monkey” で、Dropboxよりコストが安く高速の同期が可能になるサービス。モデレーターのJason Calacanis氏の「Dropboxを使っている人?」という質問には、会場の90%ぐらいが手を挙げました。その後、「では、SpaceMonkeyが出たら使いたい人? 」と聞いたら6割ぐらいの人が手を上げました。Dropbox自体は素晴らしいサービスです。その改良版というのは技術的には高度でしょうが、サービスとしては地味なのかも知れません。しかしながら、多くの人の問題を解決する(費用が高い、同期が遅いという潜在的な不満があった)という点で課題解決型サービスの典型的な例ではないでしょうか。

他に、文章をOCRでエクセルに精度よく落とせる”Captricity” はCompetiton 1.0で技術賞を取っておりました。これも今更と思う人も多いかも知れませんが、多くの人の問題を解決するという点について審査員たちは何度も言及していました。

Competition 2.0の最優秀賞に選ばれた“Alltuituin”や、最優秀ビジネスモデルの“.docstoc”はアメリカに特徴のあるサービスでした。Alltuitionは、大学の費用をどのように工面するかの早見表、.docstocはスモールビジネス向けのドキュメントサービスです。審査員は、自分も大学の費用を工面する際によく分からず苦労した!と話をしていましたが、これはアメリカの大学に特徴的な問題点を解決するモデル。また、.docstocもスモールビジネスが多いアメリカでは有用なサービスでしょう。

サービスの良し悪しもありますが、プレゼン自体も面白く、バンド演奏あり、踊りあり、また翻訳のサービスでは、男女の恋愛に絡めたやり取りありと、聴衆を退屈させない趣向が凝らされていました。

プレゼンの前にバンド演奏で聴衆の驚きを誘うTopix社のプレゼン

最後に

また、ブースも賑わいを見せており、iPhoneがスクータの鍵になる Scoot Networksやテスラカーなど、ハードウエアに絡めた展示も散見されました。

Scoot Networks社の展示

テスラカーの展示

最後になりますが、今回のLAUNCH Festivalを通じて、サンフランシスコ・シリコンバレーの力強さと、アメリカの多様性を改めて感じることができました。また今回、韓国からの展示もありましたが、日本からブース展示や発表をしたチームは無く、今後日本からブース展示やプレゼンにチャレンジするチームが出てくることを切に願っています。

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