言葉は、アクセントが違うと人にはなかなか分かってもらえないもので、下手するとまったく別の言語にまで聞こえてしまう。私のオーストラリア訛りの英語は、はじめは北京のアメリカ人の友人たちに理解されなかった。しかし長いこと色んな人と付き合ってきたので、私の訛りは中和されて、アメリカ人にも同郷の者と思われるほどになった。
コミュニケーションは人生において重要だ。アップルのApp Storeで購入可能な”ICANSIA 中国語話者のためのアメリカ風アクセント”という新しいアプリは、人がお互いもっと分かり合える助けとなるべくリリースされた。このアプリで会話トレーニングのコツを学び、練習を通じて自然なアメリカ人のアクセントで喋れるようになる。
訛り矯正の市場はあまり広く認知されていないが、出張先の国や、当然ながらそこの人々に順応していきたいというビジネスの人間からの需要があるのだ。アメリカへの留学を考えていて、早く馴染みたいと思っている中国人学生にも役立つかもしれない。
驚くべきことに、このアプリはそもそもネイティブのアメリカ人が開発したものではないのだ。開発者はClaudette Roche、生まれはイギリスで今はロサンゼルスに住むアクセント・コーチである。Rocheは自分の持って生まれたアクセントに対する感性が、常日頃からいろんな訛りの混ざった環境にいたことでより研ぎ澄まされていったのだという。
イギリス系(コックニー、ロンドン、マンチェスター)、アイルランド系、ジャマイカ系、インド系、スコットランド系、イタリア系、フランス系(本土、モロッコ、ケベック州)、ギリシャ系、ロシア系、中国系、ポーランド系、カナダ系、ニューヨーク系、レバノン系などなどだ。Rocheはまた受賞歴を持つ女優でもあり、舞台や映像作品の場数を踏んだベテランである。”The Game”や”Cold Case and Without a Trace”などといったテレビシリーズにも出演している。
筆者も少しばかりこのアプリを使ってみたが、対話形式のアプリというよりは講義形式のビデオという感じであった。Rocheの最初に解説する単語はたとえば”or”とかであって、それを中国人のあなたならおそらくどう発音するか、そしてアメリカ人ならどう発音するかを教えてくれる。それからRocheの発音を真似て練習するのである。
当初のリリースは中国語が母語の人たちが、アメリカ人アクセントを学ぶことを目的にしていたが、日本語・朝鮮語・ヒンドゥー語・スペイン語・ロシア語などといった他言語バージョンも現在開発中である。
仮にあなたがアメリカ人そっくりに話すことが本当に必要になったら――もしくは単にアメリカ人の友達ともっとよく分かり合いたいとしたら――どうぞお試しあれ。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待