【ゲスト寄稿】インドネシアでユーザ数13万人のサービスをゼロから始めたストーリー[後編]

この記事をゲスト寄稿してくれたのは矢澤修さん。2006年に新卒としてYahoo! JAPANに入社し24ヵ月在籍。その後、価格比較サイトのECナビを運営する株式会社VOYAGE GROUP(以下、VOYAGE GROUP)に転職。主に新規事業を担当し、201242日に株式会社ソーシャランドを設立し代表取締役に就任。前編に続いて、後編をお届けします。

事業立ち上げの一番の鍵はTwitterFacebookのつながり

そんな出会いがあっただけでもかなりインパクトがあったのですが、今回の事業立ち上げで一番キーとなったことは、twitterFacebookのつながりが生んだ出会いです。とにかく、インドネシアの情報を収集したかった。インドネシア人や現地に住んでいる日本人とコネクトしたかった。モチベーションリソースはそれだけ。その時に取った行動は、「twitterFacebookPostして呼びかけてみる」でした。

そのPostを会社のクルーを中心にRetweetやシェアをしまくってもらえて、なんと翌日までに5名のインドネシアに精通のある方とコネクトすることができました!

そのときのtweet

実際にこの出会いでジャカルタ視察が決定したり、現地に住んでいる方をご紹介いただけたり、鮮度の高いリアルな情報を収集することができたわけです。はなっから「できない」だろうと思っていたら、何にもできなかったと思います。目の前に霧がかかっている時こそ、とにかく何でもやってみる。その思考が本当に重要だと再確認しました。そして、改めてソーシャルウェブのすごさに気付いた瞬間でもありました。この出会いがあってこそ、今の事業があります。

ソーシャルウェブ経由で沢山の方とコネクトでき、実際インドネシアにも足を運ぶことで、だいぶイメージが出来てきました。いよいよサービスづくりに着手です。サービスの中身についてはある程度固まっていたので、まずはそれをスピーディーに具現化すること。早くプロトタイプをつくり、市場に投下することが足元の目標でした。

現地語化のハードル、Facebookで適材と出会う

サービスづくりの中で難しかったのは現地語化。まずは日本語ベースでサービスを立ち上げ、そこからインドネシア語にローカライズする方法を選択しました。しかし、現地語化については単語レベルならある程度、辞書を活用して調べられるけどやはり現地に根付いた言葉選びが必要。例えば「男性」という言葉を一つとっても、「男」「男の子」「男子」と色んな単語があるように、インドネシア語も複数の単語がありました。

日本語のニュアンスをインドネシア語にするとどうなるのか?これはさすがに現地の方でも日本語のニュアンスをある程度知らないと難しいなと。そこで、ダメもとでtwitterやFacebookで知り合った方々へ問い合わせてみました。リクエストは「日本語とインドネシア語と英語ができる人」英語も加えたフルスペックです。

まあ難しいだろうなぁ・・・と思っていたのですが、すぐに見つかりました!

インドネシアはバリに住む高校生。なんと彼は日本人とインドネシア人のハーフで、日本語はもちろんのこと、現在はインドネシアに住んでいるのでインドネシア語や環境も知っているまさにぴったりな逸材でした。紹介いただいた方も実際に会ったことは無いらしく、twitterでのやり取りで仲良くなったとのこと。そのままtwitter経由で紹介してもらい、コミュニケーションをとりました。

彼のtweetを見ていたら、日本語、英語、インドネシア語を巧みに使いこなし、フォロワー達とコミュニケーションをとっていて、そのtweetから何となく人となりが見えてきました。会ったこと無い人でも、ある程度どういう人なのか、イメージできる。こういうところでもソーシャルウェブは便利だなと思いました。

決めたリリース日まで時間も迫る中、僕は他にすがるところもなかったので、彼に翻訳をお願いできないか相談したところ、快諾してくれました。さらに奇跡的にご家族が日本の銀行口座を持っていたので、報酬はその口座に支払うことで着地し、Facebookでもつながり、お互いに素顔を明かした上で取引開始。驚いたのは、1週間はかかるだろうと想定していたのですが、ものの3日で納品。はやい!更に丁寧なニュアンス解説もしてくれたり。彼の仕事ぶりのおかげで、翻訳については何一つ困ることなく、現地ローカライズをすることができました。

ちなみに、「現地」の「個人の学生」にお願いできたことで、日本の翻訳会社を一切挟むことなく出来たことは、コスト的にも嬉しい結果になりました。実に立ち上げ時、サービスフロントの翻訳にかけたお金は「15,000円」です。やっぱりアクションは大切だと改めて実感しました。ソーシャルウェブの大活躍により、会うべき人に会えて、事業立ち上げの懸念もある程度払拭でき、フェーズ1ローンチまでの道筋がはっきりと見えました。

サービスリリース後のユーザサポート

今回のサービス立ち上げでは、右も左も、言葉もわからない異国に向けたサービスということもあり、社内・社外問わずアウトプットをかなり意識的に、ややしつこいくらいしました。おかげで、出会いたい人に出会うことができたし、事業開始もカウントダウンに入りました。だけど、1つだけどうしてもソリューションしなければならないことがありました。リリース後のユーザーサポートです。

Facebookページを運用していてわかったことなんですが、正しい綴りでインドネシア語を書く人が圧倒的に少ないんです。。だから辞書で調べようもなく。。なので、やはり現地の言葉がわかるパートナーを探していました。実は3月時点ではお願いできそうな方がいたのです。ただ、お子さんがいらっしゃってちょうど震災もあり、結果叶わず。その後も、なかなか見つからず。。

でも諦めずに、ソーシャルウェブにひとりごとのようにPostしてみたり、社内の掲示板に書きこんでみたり、、としていたらある日、近くにいたグループ会社のクルーから、「私、インドネシア人の友達いますよ。」と、奇跡のお声掛けが。聞けば、学生の時に留学していたクラスメイトがインドネシアの方だったとのこと。

さらに、、、「その子、最近日本に来たとか・・・」

「え゛!!!!?!?」

まさに奇跡でした。

実際、数週間前に日本に語学留学に来ていて、まさにバイトを探していたと。日本の会社ががインドネシア向けにサービスを提供するということに興味を持ってくれたらしく、早速話を聞きたいと言ってくれました。

数日後、その彼と話をする機会をつくり、実際に彼と会い、とても気さくな青年で、たった2年間、しかも独学で勉強したとは思えないくらい上手な日本語で話していて、「声をかけてくれてありがとうございます!」と日本人以上に謙虚。こんなことあるんだ!と、これまでを振り返ってもうまくいき過ぎている話ですね。

ただ、とにかく「アクション」する。なんでも「アウトプット」する。この2つが出来なかったら、一歩も前に進めていなかったなと。わからないなら、わからないなりに一生懸命やり続けること。情報がほしいなら、そのことをひたすらに発信し続けること。とてもシンプルな方法。更に今は「Facebook」や「twitter」という「人」をつなげるツールがある。さらに「人」を介して情報が伝播する「仕組み」となる。本当に便利な世の中になりました。

アクション、アウトプット、ツールの活用

色々と困難はあったものの、3月に事業室を立ち上げから2ヶ月半。震災もありましたが、3月末から開発に着手し、わずか1ヶ月半でリリースまでもってこれました。

こうやって改めて振り返って体感してきた、海外に向けた事業に限らない話ではありますが立ち上げるにあたってとても重要だと感じた要素をまとめておきたいと思います。

その要素とは、「アクション」「アウトプット」「ツールの活用」の3つです。

◎アクション
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まず、未開のスタートアップ事業は考えているだけ、PCのモニターを眺めているだけじゃ何も進みません。とにかく、何でもやってみる。効率が悪いかもしれない。でも、効率が悪いと気づくことが重要。そのアクションは意味がないかもしれない。でも、その意味のなさに気づくことも重要。一生懸命時間をかけて考えて、その結果が真逆だった時よりは自分のハラオチ感も時間的にも良い結果になるのではないかと思います。

「うまくいかないかも…」って考えてるなら実際にやってみればいいんです。どれもこれも貴重な一歩。物怖じせず前に進むことが重要だと感じました。そのアクションが全ての学びにつながります。

◎アウトプット
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案外、自分では気づいていないことが沢山あると思います。僕の場合で言うと、自分のソーシャルグラフの少し先に、インドネシアに精通している人があんなにいるなんて思ってもみませんでした。また、その友達も僕がインドネシアの事業をやっているとは思いもしなかったと思います。

僕が何をやっていてどんな情報が欲しいか、それをアウトプットし、周りにアピールすることで思っているより早く目的の地点に到着することができるのだと思います。また情報の発信源には、新しい情報が自ずと集まってきます。

今回も沢山の方と出会い、沢山の情報と更なるご縁をいただきました。そんな循環を創るためには、積極的かつ継続的な情報発信をすることが重要なファクターだと実感ました。

◎ツールの活用
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インターネットの10年前と今を比べると、圧倒的に便利になっている世の中です。特にSNSというサービスがリリースされ人や情報をマッチングさせる確率が何十倍にも高まりました。今は誰でも発信できる環境があります。お金も必要りません。そんな自分が簡単に情報局にすらなれるこの世の中。そんな便利なツール使わない手はないですね。

日本とは勝手が違うのでもちろん全てが順風満帆にとは言いませんが、本当に日々エキサイティングなのは間違いありません。このお話が少しでも海外進出を考えている方の背中を押すものになれたとしたら嬉しく思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

StartupBase Profile

矢澤-修

People: 矢澤-修

株式会社ソーシャランド(Socialand, Inc.)代表取締役。兄と妹が先天性の障がいをもっていたことがきっかけで社会福祉を学び、今後の福祉をもっと発展させるべく成長市場であるインターネットの世界へ。2006年に…

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