中国のソーシャルコマースの現状- 2度目の正直となるか?

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

編集者注: 本記事の筆者は、現在Chemical Industry Pressでブランド&メディア・ディレクターを務めるYang Wang氏である。7冊の著書や翻訳本を手がけ、うち何冊かは台湾や韓国で翻訳出版されている。YangはThe Beijing News等の主要なメディアにも記事やコラムを執筆している。テクノロジーに関しては、業界のビジネスサイドだけでなく変貌しつつあるメディアにも大きな関心を持つ。

もともと北京出身のYangは家族でカリフォルニアに移り住み、カリフォルニア大学サンディエゴ校でコミュニケーションの学位を取得後、北京に戻ってきた。


もしある種のサイトのインターネットトラフィックが1年で10倍近くに増えたら、それはトレンドと言えるだろうか?いわゆるソーシャルショッピングと呼ばれるサイトはそう願っている。

MogujieMeilishuoといったマーケットリーダー、または知名度の劣る競合であろうと、過去12か月は飛躍的な成長がほぼ約束された期間だった。舵を取る人々も、その後ろ盾をする投資家たちも、明らかに自信に満ち溢れている様子だ。しかし、私のような懐疑派の頭にはインターネット企業への永遠の問いが思い浮かぶ。「これは永遠に続くのか?それとも単なる流行か?」と。

この懸念が頭にあるのは、私が目の前にある巨大な氷山を予見しているからではなく、このビジネスモデルがどこか別の場所で既に失敗しているからでもない。まったく同じモデルが既に失敗していて、それがほんの5年前のことだったからだ。

2005年にさかのぼるが、Thisnextはいわゆるソーシャルコマースのビジネスモデルの先駆けだった。FacebookやMySpaceの興隆で強化されたソーシャルネットワークの流行とB2Cを掛け合わせたものだった。例のごとく、中国のクローンサイトが大きく後れを取ることはなく、 2006年にはソーシャルコマースがBuykee.com等のサイトによって中国にも登場した。

しかし、アメリカのビジネスモデルを中国にそっくりそのまま移すことで大きな成功を遂げた他の物まねサイトたちと異なり、Buykee.comはみじめな形で失敗し、創業からわずか1年かそこらでそのドアを閉じることになった。Thisnextのビジネスモデルを真似た中国の他サイトは、Buykee.comよりはましだったものの大半は必死に何とかふんばっている程度で、当初思い描いた成功を見出したサイトは一つもなかった。

太平洋の向こうでも、物語はそれほど変わらなかった。その他の先駆けサイトと同様、Thisnext自体は大きなヒットとならなかったがまだ生き残っており、創業から7年間で3回のラウンドで合わせて1000万米ドル近い資金を集めている。

Thisnextの草分け的な動きから恩恵を受けたものたちは、先駆者のモデルを改良したサイトだ。Kaboodleはソーシャルネットワーキングに長け、2007年にHearst Corporationに数千万米ドルで買収された。Polyvoreは写真共有に特化したサイトとなり、Mountain Viewスタートアップは2011年に単独で黒字だったと公表した。

なぜ道は森の中で分かれてしまったのか? 一つには、アメリカには物流や決済等eコマースの成功を握るインフラが整っていたことがある。また、アメリカ人はクレジットカードを使うことに慣れており、およそ10年ほどの経験を経てオンラインショッピングにも慣れている。こうした点においてアメリカのソーシャルコマース市場は熟していて、成熟した市場の上に単に1枚かぶせたに過ぎないからだ。

一方中国はこれらを欠いていた。今となって振り返ってみれば、Buykee.comのような先駆者が失敗したのは驚きでも何でもない。インフラがそこにない時、ソーシャルショッピングサイトを作るのは砂の城を作るようなものだからだ。

しかしBob Dylanを引用するなら、時代は常に動いている。少なくとも多くはそう望んでいる。Taobaoは人々がオンラインショッピングに慣れ親しむ上で多大なる貢献をし、今や中国のeコマースの基盤は整いつつある。MogujieやMeilishuoは繁盛しており、同様のサービスがさらに生まれることが予想され、Buykee.comですら復活を遂げようとしている。3月の発表によれば、サイトを再オープンして本来のポジションを取り戻す用意ができたとのことだ。

しかし、アメリカの同様のサイトと比べると、中国のソーシャルコマースのサイトはTaobaoという1つのソースに大きく依存している。MogujieのチームはTaobao出身であり、そのためユーザにより良い経験を提供できると傲語さえしている。これらのサイトにとって、Taobaoのために働くことはそれが利益につながるうちは良い。しかし長期的にみれば、Taobaoの下請仕事をするのは唯一Taobaoにとってのみ都合が良い。ソーシャルコマースが飛躍するにはさまざまな店が必要だが、今のところ中国はそういう状況にはない。これらすべてのサイトが頼りにする Taobaoは、一連の独自ソーシャルショッピングサイトをローンチし、トレンドを利用している。これはMeilishuoやMogujieなどのサービスにとって脅威になりかねない。だから少なくともまだ今のところ、ソーシャル・コマースは実験的な段階にあるといえる。少なくとも中国では。

【via Technode】 @technodechina

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