様々な分野同士が近寄り、新たな領域に触れてつながっていく場、明星和楽。 [明星和楽・京都レポート]

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2011年11月に開催されたテクノロジーとクリエイティブの祭典「明星和楽」。2012年も開催されるこの祭典のプレイベントが、7月14日、京都で開催された。筆者は昨年福岡で開催された明星和楽には参加していないため、祇園祭で盛り上がる京都の老舗旅館、「きんせ旅館」で開催された今回が、初めて参加する明星和楽となった。

明星和楽はテック系と呼ばれる分野と、音楽や、デザイン、そのほかにも多種多様な何かを作り出す活動をしている分野についての祭典だ。京都で開催された祭典のコンセプトは「触れる」だった。では、「触れる」にはどういったことが考えられるだろうか。まず、何かに触れるためには、その対象に近づかなくてはならないのではないかと思う。

明星和楽に初めて参加した私にとって、明星和楽とは異なる分野を近寄らせ、触れて、その後のつながりを生み出す催しなのだと感じた。

異なる分野に歩み寄る機会の創出

今回スピーカーとして参加された方々には、コーヒー1杯を飲む時間を共有し、一緒に過ごしたい人と出会うネットサービス『Coffee Meeting』の山本 大策氏、京都精華大学芸術学部映像コース准教授の平野 砂峰旅氏。エクスペリメンタルライブデュオ「datavism」、京都・東山で舞妓変身体験サービスを提供する「花の絵姿」のオーナー、青木 みのりさん。頭に乗せたファミコンにカセットをさすと、そのゲームの音楽を演奏するというミュージシャン『サカモト教授』。今回の祭典の舞台となったきんせ旅館オーナー安達浩二郎氏などなど非常にバリエーション豊かな顔ぶれだった。

おそらく、ゲストの方々が普段招待されて、参加されるイベントには、それぞれの活動に興味関心を抱いた人が集まっていることが多く、その客層は毎回似通ることが多いのではないかと思う。

いくつもの分野の活動を横断できるテーマを設定して開催された明星和楽は、異なる分野の活動・人々とまず近づくには絶好の機会だったのではないだろうか。京都で開催されただけあって、伝統文化に近寄ることができたことも素晴らしいことだった。今回の舞台となったきんせ旅館のような建物や、舞妓の着付けの話など、歴史あることに普段人はなかなか触れることができなくなっている。今回企画が行われたことで、まず伝統文化に人々が歩み寄るきっかけを作り出したことが価値あることだ。

いつもは聞きなれない分野の話に耳を傾ける参加者の人々には何かしらの発見があったと思われるし、普段触れないような人々に向けてパフォーマンスを行うゲストの方々にも自身の活動の本質、価値がなんであるかを再考する機会になったのではないだろうか。

どの分野で活動する人にとっても、外に伝わるようにメッセージを発信していくことはとても重要なことだ。スタートアップの人々にも、スタートアップ以外の人々にどうしたらメッセージを届けられるかを考える場としても明星和楽は良い場となるのではないかと思う。

接触した異分野の活動とつながる

これまで身近でなかった分野に歩み寄り、触れることができたなら、次は触れた対象とつながり、生まれた関わりを持続させることが重要だ。

つながりを持続させるために必要なことはなんだろうか。それは人と人の交流なのではないだろうかと思う。これまで触れてこなかった分野に、突然強い関心を抱くことは普通難しい。だが、出会った人が興味関心を抱いている分野であれば、その後直接的、ソーシャルネットワークなどを介して間接的にその分野に触れていくことで少しずつ関心が高まっていくかもしれない。

人のつながりを生むという活動は、Startup Datingの目的とも通じるところがあるように思う。普段Startup Datingがミートアップイベントを開催しているように、明星和楽でも多様な人が集まった後には交流会が開催された。

楽しむことができる場となっていること。これがとても重要だ。明星和楽運営メンバーの方々による、楽しい場を創りだそうという意思、楽しいこと、クリエイティブなことが人々をつなげることができるという考えが、当日の会場からは感じられた。

交流する場を設けたときに、最も大事なことは参加者の人が楽しんでいることだ。プレゼンターも、普段接することのない人々の興味関心を引くにはどうしてもエンターテイメント性が必要になる。エンターテイメント性溢れるプレゼンテーションによって、楽しい気分になっている人々は楽しい気分で人と交流したくなるのではないか、そんなことを考えた。

「近寄る」「触れる」「つながる」。京都で開催された明星和楽はこの一連の流れを生み出す場となっていた。明星和楽は次回、9月に福岡で開催される。昨年は1200名以上もの人が参加した福岡での明星和楽。2回目となる今年は、さらに大きな規模で、刺激的な祭典となることが期待できる。

最後に、今回の明星和楽・京都の企画運営をされた関係者のみなさま、そしてゲストの方々。そして、一緒に場を盛り上げてくれた参加者のみなさんに、心から感謝したい。

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