[インタビュー]ネイティブアプリと遜色のないソーシャルHTML5ゲーム「NonStop Games」

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

ゲストライターのVlad Micuは、自身の会社であるVGVisionaryを運営する傍ら、5年以上に渡ってゲーム業界のフリーランスジャーナリストである。彼は、WindowsPhoneFans.comのMD(マーケティング・ディレクター)でもある。現在タイのバンコクに在住の彼は、ビデオゲーム制作の夢を実現するため、前途有望なカジュアルゲームスタジオarkavisでゲームプロデューサーとして活躍中だ。


以前シンガポール企業が入っていたオフィス内に、いくつものスタートアップが所狭しとそのオフィスを構えている。その中のぎりぎり十分といえるスペースに、Dollar Isleを制作し、以前はGamesMadeMeとして知られていたNon-Stop Games(nonstop-games.com)が入居している。Woogaの前責任者Henric Suuronenと、彼の友人であったNokiaの前事業開発マネジャーJuha Paananenによって野心とともに立ち上げられたこのスタジオは、クロスプラットフォーム型の楽しさあふれるコミュニティベース・ソーシャルゲーム体験の開発において、HTML5をどのように適用していくかを再検討している。

彼らは現在、最新のゲームPaint Stars(以下スクリーンショット参照)に取り組んでいるが、このゲームのコミュニティは先日、作品数50万点という数字を記録した。私は、お絵描き版 Instagram を作り上げること、アプリストアにばかり頼らないということ、そしてウェブ型のゲームを使用して作品共有を非常に簡単なものにすることについて、同スタジオの彼ら2人に話を聞いた。

友情、CTOの素晴らしさ、そしてスタートアップへ

SuuronenとPaananenは高校からの友人で、互いにゲーマーで似たような学歴ということもあり、共に会社を立ち上げるのを待ちきれずにいた。NonStop Gamesを立ち上げるにあたり、最初のアイデアが浮かんだのは2010年にブラウザベースのゲームが人気を博していたときだった。Paananenはこのように述べた。

当時、クライアントベースのゲームがブラウザベースのゲームへと徐々にシフトしていました。私たちは、携帯電話とタブレットにも間もなく同じような動きがあるだろうと感じていました。

NonStop Gamesのゴールは、あまりの速さゆえ、ネイティブアプリのようだと感じるような、独自の高速HTML5ソフトウェアを開発することである。Suuronenは次のようにつけ加えた。

HTML5の弱点はそこにあります。ボタンを押してもロードに時間がかかり、その時点では一体何が起こっているのか分からない。それではアプリらしくない。そこで、ボタンを押すと色が変わり、ボタンが押されことが分かるように、特に注力しました。ロード中はロードバーが必ず表示されます。こういった小さな点を取り込むことで、ちゃんと反応を示しているとユーザに思ってもらえるわけです」。

お絵描き版 Instagram

OMGPopのユーザ数と売上が著しく低下していることからも、お絵描きゲームをゲームスタジオが取り扱うことは賢い選択とは言えないだろう。だが、SuuronenとPaananenはこのゲームのコンセプトには開発の余地がかなりあると見ていた。InstagramやDraw Somethingなどのアプリの成功の鍵は、単なる写真撮影や絵を描くといったことではないということに2人は気づいた。Suuronenはこのように主張する。

人々は自分の作品を自慢し、みんなに見てもらいたいのです。確かに、自分のためだけに絵を描く人もいれば、自分のためだけに写真を撮る人もいます。しかし、多くの人々は自分が何をしたかを人に見せ、自らの写真や絵を用いてオンライン上のアイデンティティを築きたいと思っているのです。突如彼らにはフォロワーが現れ、コメントが残され、彼らの作品を「いいね!」と思ってくれる人やお気に入りにしてくれる人が出てきます。お絵描きジャンルの人気が出てきたとき、Instagram同様のインパクトを与えることができると私は気づきました。私は絵を描いたら、友達にコメントを残してほしいです。そしてアプリに再度アクセスすると、新たに20もの「いいね!」や50ものコメントをもらう。だからこそ、私はもっと絵を描きたいと思えるのです。

HTML5は、学校に設置されたコンピュータのどんなフィルタリングシステムをも回避することができるため、アメリカの学校のコンピュータ室では人気のPaint Starsが既に禁止されているところもあるらしい。

このゲーム内でのユーザアクティビティとユーザ同士の交流が急激に上昇している模様は、このインタビューが行われるわずか1週間前から、毎日約4000点もの絵が投稿されているのを見れば一目瞭然である。Suuronenはこのように語った。

1週間、2週間と経過するにつれ、その数字がどのようになるのかを考えるのも恐いくらいです。ユーザがお互いにコメントを残し、お互いの絵を気に入ってくれることが、私たちにとって非常に嬉しいことなのです。

今では毎日3万もの絵が描かれており、日に日にその数は増している。最近新たな機能が追加・改変され、1日にアップされる作品数が倍増した。「全ては細かい配慮にあります」とSuuronenはつけ加えた。

SuuronenとPaananenの次なるチャレンジは、このようなお絵描きをどのようにしてTwitterやFacebook以外のサービスへ拡散していくかということだ。

アプリストアなど必要ない

ネイティブゲームと同じように高速で作動するNonStop Gamesのブラウザゲームは、アプリストアに頼る必要などなくなるだろう。それに、ユーザは起動後すぐにアップデートされるHTML5ゲームをいつだってプレイすることができるのだ。Paananenは次のように説明した。

アプリストアが駄目なチャンネルだと言っているわけでは決してありません。アプリストアでもスタンダードアプリとして、いくつかのゲームをリリースする予定です。しかし、アプリストア外にいることで、有利となる点も多くあります。より速く作業を進めることができますし、何かを提出したり許可が下りるのを待ったりする必要もありません。そして、リアルタイムでアップデートすることができ、インストールも不要です。アプリストア外では、一切のことがすぐに、高い拡散性をもって実現するのです。

彼のパートナーであるSuuronenは次のようにつけ加えた。

私たちは別のソリューションの開発で既に利益を得ていますが、より多くの利益が得られるようになると思います。Facebook Credits というアプリはよい例で、日々改善されています。私たちは、HTML5がリアルなユーザ体験を生み出す新しいテクノロジーであると考え、HTML5を使用しています。しかし、新しいテクノロジーなので、困難な試みでもあるのです。私たちは初めてHTML5を適切に利用することができた会社の一つだと思いますが、これは一層の努力をした結果なのです。

NonStop Gamesは現在、次の段階に向けて準備中である。彼らは今年の夏にもその計画について発表したいとしている。Paananenは最後にこうつけ加えた。

単に簡単だからと言う理由で、人類は月に行ったわけではないですよね!

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【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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