インタビュー:タイのスタートアップを育て、シンガポールへと送り出すインキュベータExpara

by ThumbsUp ThumbsUp on 2012.8.14

【原文】

以前、我々はエンジェル投資家にインタビューする機会を得たが、今回は、VCに籍を置く投資家として、Expara IDM Ventures のマネージング・ディレクター Khun Suwida Gingmuanggou(คุณสุวิดา กี่งเมืองเก่า)にインタビューする機会を得た。

 


Thumbsup: Expara IDM Ventures と、スタートアップをどのようにサポートしているかをご紹介いただけますか?

Suwida: Expara はシンガポールのインキュベータで、アイデアはあってもバックエンド人材が不足しているスタートアップを支援しています。シード投資で、アーリーステージの事業にコンサルティングしてくれるメンターのように、我々は事業戦略に対してアドバイスを提供しています。

しかし、事業が面白いものとなり売上が増えてレイター・ステージになると、その役割をDouglas Abramsサシン経営大学院教授、Expara IDM Ventures CEO)が管理するファンドに引き継ぎます。

Expara に話を戻します。シンガポール政府は多額を投資してきましたが、同時に、シンガポール政府のプロジェクトに参加可能な資金力のあるインキュベータを選ぶため、i.JAM (The IDM Jump-start and Mentor) というプロジェクトを立ち上げました。インキュベータには、政府より投資金額は少ないものの、戦略、機会、ネットワーキング等さまざまな面で、スタートアップをサポートできることが期待されます。Expara は、シンガポール政府が資金援助の判断をする前に、成長力のある先進的なプロダクトを持ったスタートアップかどうかを審査する役割を担っています。

Expara は2007年 i.JAM プロジェクトに加わり、それ以来、シンガポール政府と仕事してきました。最初のフェーズでは、よい条件で14のスタートアップを選出し、5.5万シンガポールドル(約346万円)を調達しました。第2段階では、同じ募集方法をとりましたが、スタートアップはアイデアを伴ってインキュベータを訪れるようになり、25万ドル(約1570万円)から資金調達を開始することができました。成長の可能性を見出せれば、我々はシンガポール政府に打診して、承認してもらう手続をとります。シンガポール政府は承認にあたり、概ね3人の専門家を抜擢します。得られる資金は多額ではありませんが、ビジネスプランで示された目標に応じて調達することが可能です。このプロセスの間、ネットワーキング・イベントが開催されますが、起業家には投資家に会ったりビジネス機会を得たりしてもらうため、これらのイベントに参加することが義務づけられます。

Thumbsup: どんなビジネスモデルを持ったスタートアップが、Expara の対象となりますか?

Suwida: インタラクティヴ・デジタル・メディアの業種、例えば、オンライン・ビジネス、アプリ、eコマース、ソフトウェア、ゲームなどです。我々は東南アジアの起業家に、資金源へのアクセスを提供します。さらに、バイオテクノロジーの業種にも関心を持っています。

Thumbsup: B2B ビジネスには興味ないのですか?

Suwida: B2C に特化しているわけではありません。イノベーションとは何か、顧客に提供できるソリューションは何か、例えば、業務を迅速に処理するとか、素早く販売するとか、そのようなことを重視しています。それらの問題に答えたり解決できるなら、B2B であったとしても、その事業モデルには関心があります。

Thumbsup: 現在、タイのスタートアップとしては、どの会社をサポートしていますか?

Suwida: 確かにタイ出身のスタートアップをサポートしていますが、ここで名前を出すのは差し控えたいと思います。そのうちの一社は非常に有名なスタートアップとなっており、既にシンガポールでビジネスを開始しています。

Thumbsup: アジアのスタートアップのエグジット戦略について、どう考えますか?

Suwida: 可能性があるのは、IPO か買収されることでしょうね。しかし、アジアの多くのシステムは、まだアメリカのように整備されてはいません。まだ注意すべき段階にあるでしょう。複数のスタートアップがアメリカのようなレベルに達するまでには、中国政府やシンガポールにとって、まだ長い時間が必要だと思います。

Thumbsup: タイのスタートアップが成功するためには、どのような力を高めるべきかアドバイスいただけますか?

Suwida: 実のところ、タイの技術力は他国に比べて高くないですし、銀行や知人以外に資金調達先が無いなど、ビジネスを始めることにあたっても理解が不足しています。お話したように、批判は本来、自分の仕事の改善に役立つものなのに、我々には批判を受け入れる余裕がありません。

もっと全体を見て、地域市場に視野を広げる訓練をしなければなりません。タイの隣国のスタートアップは、既に地域市場を見ており、国内市場を見ていません。

Thumbsup: タイのスタートアップ・システムは、なぜ整っていないとお考えですか?

Suwida: 政府と民間企業間の調整が不足していると思います。タイ政府は、マレーシアやインドネシア以上に多くのものをスタートアップにサポートすべきだと思います。また、知識や理解を深めるため、教育機関が重要な役割を担うべきで、カリキュラムの中に起業家を養成する教育を組み入れるべきだと思います。

Thumbsup: もしスタートアップが Expara のプロジェクトに参加したいと思ったら、どうすればよいですか?

Suwida: suwida@expara.com にメールしてください。そして、プロダクト、そのルーツ、何が新しいのか、想定顧客は誰か、消費者の問題をどうやって解決するのか、市場の情報、必要な資金額を記した PowerPoint を用意してほしいと思います。その中に記し忘れてほしくないのは、チームに誰が居て、どのような経験を持っていて、どのような経験を持っていないかについてです。ベンチャーキャピタリストの立場から言わせてもらうと、投資は人に対して、すなわち、起業家に対してなされるものだからです。インキュベーションの段階においては、向こう4〜5年の財務予想は必要ではありません。ステージが変わるにつれ、VC は違うものを見るようになります。

もう一つ言っておきたいことは、VC に入った後、事業のオーナーシップを失うことを恐れるスタートアップが多いことです。VC は業務にはタッチしないしが、目標は見据えている。問題の有無に関わらず、サポートの必要有無に関わらず、例えば、スタートアップの CTO が退職して別な人材が必要であるとき、VC は必要な人材を探すのを手伝ってくれる存在でしょう。スタートアップとVCがどう付き合うかは、互いが結婚相手を探すことに似ているかもしれない。スタートアップがビジネスを拡大したいと思ったとき、誰かの面倒を見る必要が生じたとき、VCがいつでも手を貸すのは極めて当然のことだからです。

【via ThumbsUp】 @thumbsupTH

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