「大切なのはサービスのコアバリュー」ーーLINE事業戦略責任者の舛田淳氏が語るサービスデザインに重要な9つのヒント

by Junya Mori Junya Mori on 2012.8.28

LINEの勢いが止まらない。8月17日にサービス開始から約1年2ヶ月で、LINEの登録ユーザー数が世界5,500万人、日本2,500万人を突破し3週間で500万人ほどのユーザが増加しているという。

NHN Japan執行役員、ウェブサービス本部事業戦略室室長の舛田淳氏は、NAVERとlivedoor、LINEの事業戦略、アライアンス、マーケティング責任者を担当しており、LINEの成長を牽引している人物だ。

舛田氏が「MOVIDA SCHOOL」でスタートアップに向けて、LINEのケーススタディからわかるサービスデザインについて語った。

サービスをリリースするまでは「超ウルトラトップダウン」

最初に立ち上がったプロジェクトチームは5名程度。スマートフォンのコミュニケーションサービスを開発することになり、まずは「スマートフォンのコミュニケーションサービスとは何か?」と考えることから始めた。既存のコミュニケーションサービスはどうなっているのかをマッピングし、実際の人間関係との重ね合わせをおこなった。

その結果、FacebookのようなオープンなSNSではなく、クローズドなSNSがあってもいいのでは、という方向性が生まれた。

そのあとに開発者やデザイナーに入ってもらう。基本的にNHNの考え方は超ウルトラトップダウン。立ち上げるまでのWebサービスは、人数は数人単位、ある種、一人格で作りきるべき。そうしなければいろいろ余分な機能や考えがついてしまうことになる。合議制でやると決まらない。

合議制で始まったサービスで成功したものはない。そのサービスは誰のものでもないものになってしまい、非常につまらないエッジがきかないサービスになってしまう。

大切なのはサービスのコアバリュー

競合サービスと同じ機能をのせましょうという発想はいらない。その考え方は切り捨てたほうがいい、なぜなら戦力にならないから。練ったサービスコンセプトに対して、コアバリューを実現できる機能だけを考える。LINEの場合、元々のコア・バリューは「スマートフォンであること」、「リアルの関係を持たせること」、「メッセージ」の3つだけ。

通話、スタンプはあとからつけた機能。よく言うのは「幕の内弁当をもってくるな」ということ。いろんな機能を実装したサービスを開発しようとすると、開発リソースがかかっていつまで経ってもリリースできない、いろんな機能が詰まったものではなく、必要な機能は何か一個取り出すとしたら何かを考える。

デザインプロトタイプをとにかくつくる

サービスコンセプトが決まるとデザインが始まる。いきなりコードを書くことはせず、どういう機能をユーザに見せるかを決め、まずデザインのプロトタイプをつくる。結果、デザインのプロトタイプが死ぬほどできる。その中でコンセプトを練り上げる。

最初から企画や開発に入ってしまうと余計な機能が増えてしまう。ユーザに対してどうしたらコアバリューを伝えられるかを考えるにはデザインから考える。そうすると、余計なものが見えてくる。

リリースしたらスーパー低姿勢でボトムアップ

トップダウンだけだと失敗する。サービスをリリースした後は、ボトムアップが大切になる。それは社員という意味ではなくて、ユーザの声を聞くということ。まずサービスを出してみて、ユーザの声を聞く。コアバリューは伝わっているのか。エッジを明確にするにはどうするべきなのか、といったことはユーザが知っている。

ブログ、SNS,Twitter、直接の問い合わせ、スタッフへのソーシャルメディアを通じた問い合わせ、メディア掲載をモニタリングしていて、毎朝チェックしている。ユーザの反応を見て、プライオリティをつけ、それをどれだけ早く反映できるかが重要。トップダウンとボトムアップをステージによって使い分けることが、よいプロダクトを作る上では大切。

答えは数字が教えてくれる

ウェブサービスの一番いいところはすぐ反映ができる点。また、ほかの技術と違い、何年も先の計画をたてる必要がない。机上でどれだけ議論していても誰にも答えはわからない。だったらやってみたほうがいい。その機能はよかったのか悪かったのか、答えはやってみた結果わかる数字が教えてくれる。その数字に素直に従う。

PDCAを小さく早く回す

サービスを出した後は、いかに小さく高速でPDCA回せるかが大事。PDCAを大きく回そうとすると、回している途中でみんな疲れてしまう。大きく回そうとすると、改善している間に重要度は下がっていってしまうし、何より世界が変わってしまう。たとえば、国内でもそうだし、世界でもそうだが、ウェブサービスはいつでもリリースができて、いつでも改善ができてしまう。

そのため、ライバルは自分たちが寝てる間に改善をしてしまうかもしれない。いきなりモンスターのようなサービスは生まれない。小さくてもいいからまずプロダクトを出して、小さく改善を重ね、実際のサービスが見えるようになると、事業提携などの交渉もしやすい。

不可逆な流れは何かを読む

競合分析より重要なのは、市場分析。世界のトレンドをどうやってみるのか。逆戻りがないトレンドを読むことが戦略をたてる上で最も大事。LINEは「スマホは増えるしかない」、「フィーチャーフォンは減るしかない」、「PCはもう増えない」という3つのトレンドを考えた結果生まれている。不可逆な流れを事業としてはやるべき。この先もどこかのタイミングで逆戻りのないものが生まれるタイミングがあるかもしれない。

そのときは事業のチャンス。新しいものがでたときに、それが不可逆なものかどうかの判断ができるかどうか。トレンドを逃さないことがスタートアップにとっては重要。

インフルエンサーを見極める

スマートフォンが普及フェーズに入り、世界は変容しつつある。サービスの性質によっても異なるが、どのサービスにおいても、イノベーターやアーリーアダプターが同じ立場の人ではない。LINEは一般の主婦や学生の人がどんどん引っ張っていった。コミュニケーションサービスのイノベーターはコミュニケーション欲求が高い女性。必ずしもハイテクに詳しい人達ではない。

スマホサービス、インターネットサービスだからといって、必ずしも従来のキャズム理論を当てはめるべきではない。スマートフォンが人々が意識せずに手にしている今、これまでとは意識を変える必要がある。

世界にいかに進出するか

どこのエリアを狙って注力するのかを考える上で、自然にどこの国でダウンロードが増えるのかを見た。結果、台湾、香港、シンガポールは自然に増えていった。そこでテレビCMを台湾でうっていった。

今では台湾スマホユーザへのリーチは約70%。自然とダウンロード数が増える国を探して、PRする。効果が出てくればアドネットワーク、クリエイティブチェックをして数字がでるかをみる。その後、マスマーケティングやアライアンスを組むなどのアプローチをおこなっていく。

いきなり、多くの国に展開することを狙うのではなく、基盤を作るためにユーザ数の多い、強い国を作っていくことが大事。人と人がつながって、もっと大事な人とのコミュニケーションがアクティブになってほしいと考えて事業を展開している。自分たちのサービスを世界の共通言語にしていきたい。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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